- 麻野涼さんの小説『死の臓器』あらすじと感想
- レストア・キッドニ (修復腎) 移植
- 臓器売買の闇
- 医師の使命
少しだけネタバレあります
腎移植を取り上げた医療サスペンス
麻野涼さんの小説『死の臓器』感想です。WOWOW連続ドラマ化されましたね。主演は小泉孝太郎さんです。
『死の臓器』あらすじ
腎移植を取り上げた医療サスペンス
聖徳会日野病院の医師・日野誠一郎は、ある日、臓器売買の容疑をかけられる。その頃テレビディレクター・沼崎恭太は、事件を感じ調べ始めるのだが・・・。
『死の臓器』感想

『死の臓器』は、腎移植を取り上げた医療サスペンスです。序盤は難しい表現が多かったですが 後半にいくにつれて面白くなりました。
レストア・キッドニ移植
頻繁に登場する言葉、レストア・キッドニ (修復腎) 移植。
初めて聞く言葉でした。レストア腎移植と言われていますが、腎ガンなどで取り出した腎臓の病変部分を切除・修復して必要とする人に移植するものです。
びっくりしますが、切除などをして低い確率で再発などのリスクはあるものの、必要としている人には生きる望みが持てるものらしいです。そんな方法があるなんて知りませんでした。
「臓器売買」の容疑をかけられた日野医師は マスコミなどからバッシングを受け、レストア・キッドニにも影響を及ぼします。問題視されたのがこちら。
- もし、がん細胞が取りきれていなかったら?
- 移植する腎臓に発がん誘発因子が付着していたら?
確かに。がんに侵された腎臓を (たとえ切除したとしても) 移植して大丈夫なんだろうかと不安に思いました。
この本を読むと人工透析を受けている患者さんの切なる願いに胸を打たれます。
透析を受けながら制約された人生を選ぶのか、低確率のがん再発のリスクを背負いながらも移植を受けるのか。
なかなか難しいところがあります。医療も進んでいるのですね。
臓器売買の闇
『死の臓器』は レストア・キッドニ移植に続き、臓器売買も描かれています。
こういう闇は外国を想像してしまいます。でも過去に日本でも裁判になった事件があったのですね。宇和島臓器売買事件というものです。
本書では日野医師に容疑がかけられました。1人のテレビディレクターが事件の裏に陰謀の匂いを感じ調べ始めます。その闇は上海にありました。
この辺りはミステリー感が強く一気に読んでしまいました。
医師の使命
日野医師の想いが深く心に残りました。
「生きたい」と願う患者の期待に応えるのが医師の使命。
自分の信念をしっかり持った日野医師に共感。レストア・キッドニの重要性にも。たくさんの患者さんが助かるのなら、それは間違いなく希望の光ですね。



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