ミステリー・サスペンス

『ボトルネック』米澤穂信【あらすじと感想】僕が存在しない世界

想像力で挑む物語

米澤穂信さん『ボトルネック』
この物語は怖いですね。読み終わってからジワジワと怖さがやってきました。しかも様々な謎掛けになっています。

『ボトルネック』あらすじ

僕が生まれなかった世界―

『ボトルネック』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
目眩に襲われた僕が気づいたとき、世界が変わっていた―。そこは僕が生まれなかった世界だった。

『ボトルネック』感想

読んだあとに結末を想像する。『ボトルネック』は、読者に結末を委ねている小説です。

他の方のレビューを読んでいると、何回も読んでいる人が結構いることに気づきました。至るところに謎掛けがしてあって何度も読む気持ちが分かります。想像力が掻きたてられる作品ですね。

結末以外にもたくさんの伏線が張り巡らされています。それが興味深く、想像しながら読むことでいくらでも物語が広がります。2、3回読むとまた違うものが見えてくるのかもしれません。

自分が存在しない場所

主人公・嵯峨野リョウはパラレルワールドに迷い込みます。

自分が存在しない場所。そこには生まれなかったはずの「姉」がいたのです・・・。

サキと名乗る姉はリョウのいる世界で生まれなかったツユでした。ここではリョウは存在していないのです。ミステリーというよりホラー並の怖さがあるこのお話。読み進めていくうちにジワジワときます。

リョウは間違い探しをします。

彼がいた世界では割れたはずのお皿。仲違いしている両親。そして死んだはずの兄と友達のノゾミ・・・。

ここでは割れていないお皿。仲良しの両親。生きている兄とノゾミ。突きつけられる現実は彼にとって過酷なものでした。明らかに彼が生きているところよりも、好ましい状況だったからです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
こんな世界は嫌です。

作品の意図が分かったとき、ゾッとしてしまいました。もしも私の代わりに誰かがいる世界が存在していたとして、私の周りの状況が向こうの方が良かったら・・・。元の現実に戻るときに主人公と同じように絶望を感じそう。見なければ良かったと思います。

読み解く鍵

小説を読み解く鍵の一つとなるのは、タイトルの「ボトルネック」

ボトルネックって、瓶の首の部分です。細くなっているから水の流れを妨げてしまう。システム全体の効率を妨げてしまう部分のことを、ボトルネックと呼ぶそうです。

邪魔なボトルネック。これが物語にどう関わってくるのか、です。

この作品は なんとなく暗い雰囲気を感じます。登場人物の生き方にも影響しているのだと思います。悩めるノゾミ。生きることに投げやりなリョウ。絶望感を感じてしまいます。それでも強く生きて欲しいと願わずにはいられないのですが・・・。

『ボトルネック』結末の考察

ネタバレしないように私が出した結論を言うと、ハッピーエンドではないのではないかと思います。(どちらを取ってもハッピーエンドではない気がしますが・・・) リョウは帰ることなく・・・。その方がこの物語の雰囲気に合っているような気がするのです。・・・読んでない人にはよくわからないですよね (^-^;

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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