- 米澤穂信さんの小説『さよなら妖精』あらすじと感想
- 天真爛漫な妖精マーヤ
- 小さな謎
- ユーゴスラヴィアの情勢
- 最大の謎解き
少しだけネタバレあります。
ユーゴスラヴィアからやってきたマーヤ。
米澤穂信さんの小説『さよなら妖精』感想です。古典部シリーズのような小さな謎がたくさんつまった小説でした。
『さよなら妖精』あらすじ
ほろ苦の青春ミステリー小説
外国からやってきたマーヤ。彼女との出会いが俺たちを変えた・・・。
『さよなら妖精』感想
古典部シリーズを連想しました。
雰囲気が似ているなと思ったんですが、それもそのはず。『さよなら妖精』は最初、古典部シリーズの続編として作られていたんですね。
天真爛漫な妖精マーヤ
米澤さんが描く登場人物はみんな味があります。主人公・守屋が雨の降る日に出会ったマーヤ。天真爛漫で好奇心旺盛な彼女は妖精のようでした。
疑問に思ったことがあった時に聞く「哲学的意味がありますか?」という言葉に思わず微笑んでしまいます。明るくて素直で優しくて・・・。
本の中のキャラなのに憧れを抱いてしまう。
彼女は政治家になることを夢見てユーゴスラヴィアからやって来ました。
しっかりと夢を持ったマーヤ。ほんの2ヶ月間の滞在でしたが、素敵な友達と過ごす日々は彼女にとって新鮮で 私も楽しくなりました。
小さな気になる謎
たくさんの謎掛けがあります。
- 雨が降っていて傘を持っているのに ささない男性の話。
- お墓に供えられた紅白饅頭。
などなど。
どれも小さなものですが気になる。見事に推理していく守屋と万智。謎解きが楽しかったです。
マーヤの帰るべきところは何処か。
それについて書く前に、まずマーヤの故郷であるユーゴスラビアについて。
ユーゴスラヴィアの情勢

地理や外国の歴史については全くの無知で、ユーゴスラビアと聞いてもいまいちピンときません。『さよなら妖精』では その国 (?) の情勢が大きく関わってきます。
舞台は1991年~1992年です。当時のユーゴスラヴィアは6つの共和国からなっていました。
- スロベニア
- クロアチア
- ボスニア・ヘルツェゴビナ
- セルビア
- モンテネグロ
- マケドニア
様々な民族が集まり 多くの言葉であふれていました。そしてスロベニア・クロアチアの独立宣言。内戦が始まるのです。
マーヤが日本にいる間に独立宣言、戦争が起こります。彼女は戦争の真っ只中の故郷に帰ってしまうんです。
最大の謎解き
『さよなら妖精』は 守屋がつけていた日記を元に進んでいきます。マーヤが故郷に帰ってしまった後に主人公が頭を悩ませる最大の謎解きが始まります。
マーヤの故郷は何処か?
推理を進める守屋と白河いずる。マーヤを案じる焦りと友情を感じました。
結論に至った彼はある決断をするのですが、最後は悲しい結末が待っていたのです。
『さよなら妖精』ほろ苦の青春小説
マーヤは自分たちの世界を築こうとしていました。戦争で滅びゆくとしても。彼女の決意がみてとれて愛おしかったです。
彼女との出会いを通して成長していく主人公たち。楽しい思い出も多かったけれど、心の底に溜まる苦いものもありました。
最後に手にする紫陽花のバレッタ。悲しい結末でした。


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