ヒューマン・ラブストーリー

『海に降る』朱野 帰子【あらすじと感想】深海の宇宙 マリンスノーと白い糸

夢とロマンが眠る場所、深海―。

朱野帰子さん『海に降る』
潜水調査船のパイロットを目指す一人の女性の姿と、未知の世界に情熱を燃やす人たちを描いた物語です。

『海に降る』あらすじ

壮大な深海の世界

『海に降る』
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【あらすじ】
天谷深雪は、女性初の有人潜水調査船パイロットを目指していた。しかし、父への不信から船に乗ることができなくなってしまう。そんなとき、高峰浩二と出会う。

『海に降る』感想

壮大な物語でした。深海って まだまだ謎が多く神秘的な感じがします。太陽が届かない領域で地上とは違った環境。まるで異世界ですよね。

夢とロマンが眠る深海

深海。太陽が届かない暗闇の世界です。

水圧が高く低水温という過酷なところ。地上とは全く違った環境で育つ生物は、環境に適応するために独自の進化を遂げています。本書では所々に未知の世界で生きる生物が描かれていて、自分が物知りになったかのような気分になりました。

ナガヅエエソ、初めて耳にします。ネットで検索してみると、なんだか面白い形をした魚でした。ちゃんとその環境に適応した形になっているんですね。

深海で真っ先に思い浮かぶのはダイオウイカと、「生きている化石」と言われているシーラカンスです。

それらの生態は未だに謎が多い。他にも未確認生物がたくさんいそうです。解明されてないからこそ夢とロマンが溢れます。見てみたいと思ったのが「マリンスノー」。深海に降る雪です。

写真で見ただけでも綺麗。実際に見たいと思いました。「マリンスノー」という名前をつけたのは、海中調査を行っていた北海道大学の研究者たちでした。『海に降る』というタイトルと、主人公の深雪という名前は「マリンスノー」からきているようです。

潜水調査船と約束

主人公、深雪は潜水調査船のパイロットを目指していました。有人潜水調査船「しんかい6500」です。

「しんかい6500」は、深度6,500mまで潜ることができる船。これは実際に実在するもので、地球内部の動きをとらえたり生物の進化を解明するなど様々なことに役立っています。

特殊な職業で、全世界でも少人数のようです。私も本を読むまでこんな職業があるなんて知りませんでした。女性でしかもパイロットを目指すなんてすごい。その背景には父を想う健気な気持ちがあったのです。

父との約束―。娘にとって父親というのは偉大な存在なのかもしれません。素直で健気な主人公が好きです。頑張れと応援したくなりました。

父への不信

アメリカにいる父親に手紙を出しても返信がなく、父への不信から閉所恐怖症になってしまう深雪。潜水調査船に乗れなくなってしまうんです。彼女の葛藤には胸が痛みました。

信じるべきは父じゃない。すべては最終確認をしている自分の腕

パイロットというのは大変な仕事ですね。でも情熱と執念を感じます。

白い糸

もう1人重要な登場人物・高峰という男。彼は謎の未確認生物「白い糸」の実在を確かめたい一心で、調査に行きたいと願っていました。彼の亡くなった父親が以前に見たものです。

架空のもののようですが、未知の世界には絶対実在しないとは言いきれなくて。深海には「白い糸」に限らず、まだまだたくさんの未確認生物が実在するのでしょうね。なんだかワクワクしちゃいます。

スリリングな調査と結末

スリリングでワクワクしたのが「白い糸」を探しに行く場面です。

人類がまだ知らぬ世界―。

これこそがロマンです。深雪と高峰と一緒に私も味わうことができました。彼らが見たもの、そして調査の結末は・・・?

未知の世界へ

『海に降る』はドラマ化されました。4Kカメラの鮮明な映像とともに。この本を読むと未知の世界に旅立ちたくなってしまいます。人類が知らない海の神秘。もしかしたら「白い糸」に出会えるかもしれません。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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