ミステリー・サスペンス

『誤断』堂場瞬一【あらすじと感想】正義か、隠蔽か・・・

正義か、隠蔽か・・・。

堂場瞬一さん『誤断』
なかなか面白かったです。ボリュームのある本でしたが、ほぼ一日で読み切りました。

少しだけネタバレあります。

『誤断』あらすじ

隠蔽か、公表か。

『誤断』
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【あらすじ】
製薬会社で働く槙田は、ある調査を命じられた。会社の製品に欠陥がある可能性がでてきたのだった・・・。

『誤断』感想

会社を守るために隠蔽するか、全てを公表して正義を貫くか。

続きが気になり止まらなかったです。戸惑う社員の心境、そして製薬会社の闇。サラリーマンであることで生じる様々な問題が浮き彫りにされています。それが会社勤めの悲しさなのかなと心の片隅で思いながら読みました。

隠蔽か、公表か

サラリーマンは辛い・・・・・と思いました。主人公である槙田の苦しみがリアルに描かれているからです。会社のトップが不都合な事実を隠そうとした時どうするか? 一緒になって隠すのか、それとも公表するのか。

ある薬を服用したせいで人が亡くなってしまったという事実が発覚します。その薬とは D07。副社長の安城は事実を公表せず、お金でカタをつけるよう指示を出します。

納得できない槙田。当たり前ですね。今どき隠蔽などと言った考え方は古いような気がします。平成生まれの主人公に対して、昔ながらの考えがある副社長。・・・・・世代の違いを感じてしまいました。

でも彼は結局、上司の命令には従うしかありませんでした。そこにあるのは自分の立場が悪くなる・・・・・という気持ちです。悪いことだと分かっていながら、そうせざるを得ない彼に悲しさを覚えます。誰にも話せない秘密を抱え怯えながら過ごす毎日。そして罪悪感。主人公が可哀想にさえなります。

槙田の苦しみはまだ終わらないんです。今になって発覚する40年前の不祥事。かつて長原製薬が隠した過去がありました。

浮かび上がる製薬会社の闇

会社の体質というのは、なかなか変わらないものなのかもしれません。一度でも事実の隠蔽に成功してしまうと、また同じようにしてしまう。恐ろしいことですが。

過去の公害騒ぎが、今になって大問題になります。

40年前。当時、畑井にあった長原製薬会社。大型台風の影響で、湾岸にあった工場の廃液タンクが倒壊する事故が起こります。湾内に廃液が流れ込み、汚染された魚を食べた近隣の人たちが5人亡くなったという事実。

当時の社長と今の副社長である安城が、被害者遺族にお金を渡して闇に葬った過去。その事実を知らされた主人公は愕然とします。事実を隠すことはその場しのぎにはなるかもしれませんが、あとで必ずツケが回ってくるものです。

畑井市に住んでいる「湊病院」の医師、真島は、製薬会社に訪れます。

また、同じような症状を訴える人が出てきた。

こういうの怖いですよね。

真島医師はそれを「長原病」と呼んでいます。
過去の公害は公表しなかったため治療法の研究はされず特効薬もない。40年経った今、そのツケが回ってきたのです。真島は裁判を起こす用意もあると言いますが、安城はまたお金で解決しようとします。・・・・・本当にトップが腐っているとどうしようもないですね。

天罰と懺悔

40年前の社長だった長原さん。当時の首謀者です。最後の方で悲しい事実が発覚します。息子が「長原病」にかかっていたのです。

これも天罰でしょうか。その代償はあまりにも大きく皮肉なものです。

隠蔽というのは多くの人たちの運命を変えてしまうものです。そして一生苦しみの中で生活していかなければならない。現役を引退した長原が地元に戻って被害者の墓参りを続けていることからも、懺悔の気持ちが伺えました。

注目した人物

このお話のキーパーソンとなっている人物が、高藤弁護士です。

彼は長原製薬会社の顧問弁護士であり、槙田の「蕎麦友」であり良き相談相手です。私が一番好きな登場人物。このお話はドラマ化されましたが、柳葉敏郎さんが演じていました。渋くてカッコイイです (*^_^*)

・・・実は彼は「長原病」の被害者なのです。裏で糸を引く高藤弁護士。病が進行していく過程は読んでいて切なくなりました。でもこの本の中で一番好きなシーンが高藤弁護士と幼なじみの真島医師のやり取りです。

患者と医師の立場になってしまったけど同士でもあり友達でもある。二人の友情はずっと続いていくのでしょう。

『誤断』気になる結末は・・・

「長原病」をめぐっての結末はどうなるのでしょうか。事実は公表なるか? そして槙田の運命は・・・・・。

決して悪いラストではなかったです。でも、たぶんここからが新たな始まりなんだろうな。続きが気になるラストでした。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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