経済・警察小説

『撃てない警官』安東能明【あらすじと感想】エリート警官の決意と思惑

出世を狙うエリート警察官

安東能明さん『撃てない警官』
初めて読む作家さんです。短編集ですが、それぞれがリンクしていて全部繋がっている印象を受けました。

『撃てない警官』あらすじ&目次

日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録。

『撃てない警官』
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サクサク

【あらすじ】
不祥事の責任を負って、左遷された柴崎令司。でも彼は出世を諦めていたわけではなかった―。

【目次】
  • 撃てない警官
  • 孤独の帯
  • 第3室12号の囁き
  • 片識
  • 内通者
  • 随監
  • 抱かれぬ子

『撃てない警官』感想

7編のうち「随監」は、日本推理作家協会賞受賞作品で面白かったです。私はこのお話が一番好きかも。

この本を読んでいて感じたことがあります。警察小説なんですが、私が今まで読んできたものとは趣が違う!!ということです。

出世を狙うエリート警察官

警察小説と言えば、今野敏さんの『隠蔽捜査』や、佐々木譲さんの『笑う警官』などが真っ先に思い浮かびます。いずれも事件を解決するために奔走するお話で、ベテランの刑事さんが出てきますよね。

事件を解決していくのですが、主人公のエリート警部である柴崎の頭にあるのは第一に「出世」です。

こんな刑事さんもいるんだ・・・・・という思いで読んでいました。なんだか内輪のドロドロを描いたものと言いたくなる小説。部下が拳銃自殺して、主人公が責任を取らされ左遷される・・・・・。

いったい誰が? 何のために自分を陥れたのか?

柴崎は疑いを持ちます。そして割と早い段階で1人の男に到達します。柴崎の上司である中田課長です。嫌ですね、部下を嵌めるなんて・・・・・。

変わりゆく心

この本の読みどころ

主人公が事件の捜査をしていくうちに変化していく心が面白い。

でも出世は諦めていません。段々と事件慣れしていく柴崎の成長を感じました。助川という良い (?) 上司に恵まれ、次々と事件を解決に導きます。 最初は不慣れな捜査でしたが、読み進めるとその進展にドキドキ感が生まれます。

一緒に味わえる達成感。柴崎の心境の変化に注目です。

綾瀬署では様々な事件が沸き起こります。

  • 極秘の警備計画書が盗まれ、発覚する留置担当官の便宜供与。(「第312号の囁き」より)
  • 警察官のストーカー!?(「片識」より)
  • 中田課長の裏金疑惑!! (「内通者」より)
  • 被害届の隠匿!? (「随監」より)
  • 新生児の行方不明事件。その裏には・・・・・。 (「抱かれぬ子」より)

淡々とお話は進んでいくのですが、以外な人物が関わっていたりと次第に引き込まれていきました。その中で私の一番好きなお話に絞って感想を書きたいと思います。

「随監」の感想

「随監」というタイトルは随時監察の略です。方面本部から抜き打ちの監察が入りました。そこで明らかになる不正。

「タレ」というのは被害届のこと。傷害の被害届が放置されていたようです。柴崎は捜査に乗り出します。

このお話では一人の警官が登場します。 広松巡査部長です。ある過去の事件により、警察組織に嫌気がさしてしまった彼。でも地域住民から愛されていて組織に染まらない警察官でした。

柴崎とは正反対。相反する2人が描かれていたのが印象的でした。

その広松に被害届隠匿の容疑が掛かってしまいます。

彼はなぜ、それを隠匿したのか?

そこには第一に地域住民のことを考える広松ならではの理由があったんです。・・・間違いを犯しているけど好感を持ちました。こんなお巡りさんがいたら安心して暮らせそうだなと。彼の柴崎に向けた最後の言葉には悲しさが感じられました。

ろくでもない組織・・・・・。それでも警察官をやっている広松。出世なんて考えていません。彼の登場により物語により一層深みが増しています。柴崎は出世を諦めてはいません。それぞれの生き方を見せつけられたようなラストでした。

『撃てない警官』謎が残る結末

最後のお話「抱かれぬ子」で幕を閉じます。でもなんだか謎は解明されないまま終わってしまいました・・・・・。この本には続編があるようなんですが、そっちで解決されるのかしら?少し消化不良です。

柴崎にとって、ある重要な人物が事件に絡んできます。そこは面白かったです。

田辺誠一さんが主演でドラマ化

最後まで読んだのですが、この本の主人公である柴崎令司がどうも好きになれなかった・・・・・。内容は良かったですが。田辺誠一さん主演でドラマ化されました。田辺さん素敵です (*^^*)

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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