- 奥田英朗さんの小説『ナオミとカナコ』あらすじと感想
- 親友の絆
- DV夫の排除計画
- 崩れ始める思惑と綻び
- 衝撃の結末
少しだけネタバレあります。
私も共犯者!?意外な結末とは・・・
奥田英朗さんの小説『ナオミとカナコ』感想です。面白いです。広末涼子さんと内田有紀さんのW主演でドラマ化されました。
『ナオミとカナコ』あらすじ
最後までドキドキが止まらない!
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
直美と親友の加奈子。彼女たちの殺人計画は成功するのか―。
『ナオミとカナコ』感想
親友の夫のDVにより2人は殺人計画をねり、実行する。たえ難い日常生活の中でおこる前代未聞の殺人劇です。面白く読み応えがありました。
『ナオミとカナコ』は2章に分かれており、それぞれが主人公でした。
- 「ナオミの章」・・・・・葵百貨店 外商部で働く直美 (広末涼子さん)。親友の加奈子 (内田有紀さん)と殺人計画を立て、実行するところまでが書かれています。
- 「カナコの章」・・・・・計画を実行後の加奈子の生活や、完璧に思えたものが破綻していく様子が書かれています。
どちらもスリリングな展開でテンポよく進んでいきます。最後までドキドキがとまりませんでした。
親友の絆

強く感じたのは親友の絆でした。
ここまで強い絆がなかったら この計画は成り立たなかったのではないかしら。友達を救うために殺人まで犯してしまう。
傍から見たら狂っていることだけど、感情移入してしまうんですよね。お互いを思いやる気持ちにグッときました。
彼女たちは大学時代からの友人で性格は正反対。
ナオミは葵百貨店の外商部に勤めて忙しい毎日を送っていました。外商は大変ですね。(李朱美とのやり取りが面白く、徐々に変わっていく彼女が印象的でした)
カナコは銀行員の夫・服部達郎からDVを受けていました。最低な男です。直美は親友を不憫に思い、ちょくちょく家へと出向きます。
責任感が強い彼女。次第に達郎がいなくなってしまえばいいと考えるようになります。
勢いで言った言葉がすべての始まりでした。そこから間違った方向へと向かいます。
DV夫の排除計画
2人はDV夫の排除計画を立てます。・・・とは言っても実行するのはごく普通の女性たちです。一線を超えることに対する抵抗感。
彼女たちは完全犯罪を目指して計画を練ります。この計画には無くてはならない人物・林竜輝。彼がどんな役割を担うのかは書かないでおきますね。
あまりにも導かれるように進んでいく完璧なプランにヒヤリとしました。
思いつきで始めたことだけど、だんだん加速していき間違った方向へと誘う。本当に実行してしまうの?とハラハラしますが、計画は実行に移されるのです。
崩れ始める思惑と綻び

完全犯罪なんて、そうそう出来るものじゃありません。少しずつ意外なところから破綻し始めます。
破綻しはじめた時の2人の心境が苦しいくらいに描かれていました。焦りと怯え。でも少しも後悔してないところが印象的です。
犯罪を犯すことは間違っているという認識を持ちながらも熱い気持ちになりました。
計画を立てるところから、たぶん私も共犯者だったのかもしれません。最後の方はどうか捕まらないで!!と思う自分がいました。
まさに「やがて読者も2人の共犯者になる」です。不思議な気分でした。それも奥田さんの手腕によるものでしょうね。
『ナオミとカナコ』衝撃の結末
結末は 読者によって解釈が分かれそう。意外なラストにあ然となってしまう人もいれば、逆に納得する人もいるかもしれません。
私は後者です。これしかないような気がします。絶対に最後はこうなるんだろうな・・・と思いながら読んでいましたが、いい方向に裏切られました。
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