SF・ファンタジー

『モナドの領域』筒井康隆【あらすじと感想】時空を超えて

この記事に書かれていること
  • 筒井康隆さんの小説『モナドの領域』あらすじと感想
  • 神以上の存在 GOT
  • タイトル (モナド) の意味
  • 影響しあうパラレルワールド
  • 無条件の愛

少しだけネタバレあります。

時空を超えて・・・。

筒井康隆さんの小説『モナドの領域』感想です。筒井さん自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と言っていた小説。新潮社 2015 10月号の雑誌に掲載されて、ファンの間では話題になっていたようですね。

330枚をこえる物語は、筒井さんのこれまでの作品を思い起こさせるようなものだったようです。

『モナドの領域』あらすじ

ミステリー、SF、哲学・・・全てを味わえる物語

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
結野楯夫教授に突如 降臨した “GOD”。彼は全ての謎を解き明かしていく。

『モナドの領域』感想

ひだまりさん。
ひだまりさん。
ミステリーというより哲学的な物語でした。

私は筒井さん2冊目なので、どの作品を思いおこさせるのかは分からなかったです。でも他の作品も読んでみたくなりました。それくらい内容が濃く、少し難しくもありましたが楽しめました。

中心にいるのは 自らを「GOT」と名のる人物。彼によって興味深くも哲学的な話がくり広げられるのです。

神以上の存在 GOT

物語は 河川敷で片腕が発見されるという猟奇殺人を思わせるところから始まります。その捜査にあたる上代警部 (50代、美男子)。やがて別の場所から片足も見つかるのです。

アートベーカリーというパン屋がありました。そこの臨時アルバイト店員である栗本は、河川敷で発見された片腕とそっくりなパンを作ります。刑事さんもアートベーカリーに足を運ぶのですが、そこで出会った人物こそが後に「GOT」と名乗り世間をさわがせることになる結野楯夫教授です。

彼の意識はなく、どうやら神様がのり移ったようです。少しオカルトチックですね。(ミステリーに始まりオカルト?と思いつつ、でも読み進めていくとSFにもなり哲学の話にもなります) 筒井さんの持っている魅力を全部あつめて詰めこんだ物語と言えるかもしれません。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
神様と聞いて私が真っ先に思いうかべるのはイエス・キリストです。

でも結野教授に乗りうつった神さまはそうじゃないようです。すべての創造者。

GOTは何のためにこの世界にやってきたのでしょうか?

タイトル (モナド) の意味

教授が公園でたくさんの人々の相談にのっている時に、ある男を突き飛ばしたと暴行傷害の容疑をかけられてしまいます。そして前代未聞の裁判がはじまります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
面白くドキドキでした。

最初は裁判官も検事も神の存在を否定していたけど、徐々に信じていく過程がおもしろいです。存在を証明するために宇宙の話になったり哲学を織りまぜていたり。

世界で起こることは予めプログラミングされていて決まっている。

GOT はこの判決がどのようになるのか全てわかっているのです。彼の目的はいったい何なのでしょうか?

この本を読む前にやったことがあります。

「モナド」とは何かを理解しようとしたことです。この本のタイトルにもなっている「モナド」。何やら聞きなれない言葉です。とりあえずネットで検索してみるも・・・む、むずかしい。少しも理解できずに挫折。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
うーん・・・。よく分からない。
ひつじくん。
ひつじくん。
小説のタイトル『モナドの領域』というのは、プログラミングされた事象が起こった時に影響がでる範囲ということなんじゃないかな。

未来に起きる出来事は予めプログラミングされて決まっている。ゴッドは全てを知っているのです。そして世界には同時に存在していて交わることのない無数のものがあります。パラレルワールドです。

影響しあうパラレルワールド

私が最も興味を持ったのが平行世界、いわゆるパラレルワールドです。

宇宙が誕生してから無数にあるかもしれない私が知らない世界。私が今とは全く違うふうに存在しているかもしれません。もしくは私自体が存在していないかもしれません。

ひつじくん。
ひつじくん。
小説も一つの平行世界かもしれないね。

本書は実在の哲学者の名前と思想が関連して出てきます。トマス・アクィナス、ライプニッツ・・・などです。そしてここで出てくるアメリカの哲学者、ディヴィド・ルイスの可能世界の理論。

私たちが存在しているここは無数にある現実世界の一つであるというもの。

平行に進んでいくけれど、お互いに影響しあっているのかもしれません。ふとしたことで本来なら存在しないものが別のところに存在したり。その範囲が「モナドの領域」でしょうか。それも予めプログラミングされているようですが・・・。

無条件の愛

最後は冒頭で描かれていた片腕にも一応の決着がつきます。まったく予想外のことでしたが、筒井さんっぽい解決だなと思いました。そしてゴットが現れた目的もわかり 全てがすっきりとまとまっていました。不思議と安らぎます。

最後のほうの彼の言葉に「ああ、神さまってこうだよなぁ」と思ってしまいました。

母のような無条件の愛。安らぎを感じました。

『モナドの領域』は 哲学などに詳しい人が読むとまた違った面白さがありそうです。内容をすべて理解できなかったことに心残りがありつつも面白かったです。読めば読むほど味が出てきそうな物語でした。

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ひだまりさん。
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