- 波多野聖さんの小説『メガバンク絶滅戦争』あらすじと感想
- 内部分裂と頭取の思惑
- 破綻をかけた戦い
- 相場師の熱い思い
- 陰の策士・魔術師
少しだけネタバレあります。
日本国債が暴落!?
波多野聖さんの小説『メガバンク絶滅戦争』感想です。もし日本国債が暴落してしまったら!? そんな想定で書かれたお話でした。WOWOW連続ドラマ原作小説。
『メガバンク絶滅戦争』あらすじ&登場人物
もし、日本国債が暴落してしまったら!?
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
もしも日本国債が暴落してしまったら? 銀行VS外資ファンド。生き残りをかけた闘いが幕を開ける!
〈TEFG行員〉
- 頭取・・・西郷洋輔
- 副頭取・・・有村次郎
- 専務・・・桂光義 (相場師)
- 常務・・・山下一弥、下山弥一 (関西お笑いコンビ)
- 本店総務部長・・・二瓶正平 (あだ名ヘイジ)
- 湯川珠季 (銀座のクラブ ナンバー1)
VS
- 〈金融庁〉長官・・・五条健司
- 〈アジア最大のヘッジ・ファンド〉エドウィン・タン(塚本卓也)
〈オメガ・ファンド〉
- ヘレン・シュナイダー
- 佐川瑤子
『メガバンク絶滅戦争』感想
1990年以降、バブル崩壊により絶対潰れないと思われていた銀行も破綻してしまう時代になりました。そんな中で銀行同士が合併をくり返しメガバンクが誕生します。
現在、日本の3代メガバンクといえば・・・三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループです。
この小説では 架空の東西帝都EFG銀行 (TEFG) が舞台になっていました。
合併による合併をくり返し誕生したTEFG。合併をせざるを得なかった銀行マンの悔しさや、銀行内部の軋轢などが浮かび上がってきます。
外部にいただけでは分からない人間ドラマと様々な思惑が描かれていました。
内部分裂と頭取の思惑

4つの銀行が合併をくり返し誕生したTEFGというメガバンク。内部で力を持っていたのが、(元) 帝都銀行の社員たちでした。
ヒエラルキーを感じました。合併とひとことで言っても別々の会社が1つになるわけですからこういう問題も実際にはあるのかもしれませんね。
内部軋轢がある会社の中で、帝都グループである頭取・西郷洋輔には、ある思惑がありました。東西帝都EFG銀行 (TEFG)という名前を帝都銀行に戻すこと。
名実ともに帝都にする野望があったのです。そのためにバカなトップたちは 金融庁と財務省の条件を飲んでしまいます。
超長期国債 (四十年債) の五兆円購入です。
国が発行する債券で その期限が10年を超えるもの。
・・・その後、日本国債が暴落してしまうのです。
破綻をかけた戦い
異常なまでの執着心。それって、そんなに大事なこと?と思ってしまいました。そのために破綻に追い込まれることになります。
専務であり相場師でもある桂光義がカッコ良い。私が1番好きなキャラです。桂と総務部長・二瓶正平 (ヘイジ) がコンビとなって戦います。
破綻寸前の銀行。次々と乗っ取ろうとする輩が現れます。アジアのヘッジ・ファンドや、オメガ・ファンドなど・・・。それをどう乗りこえていくのか。その過程がドキドキで面白かったです。
相場師の熱い思い

桂さんを通して 取り引きにおける熱い思いが描かれていました。
作者の波多野さんは ファンド・マネージャーの経験をお持ちのようです。だからこんなに詳しく書かれているんですね。
株取引の現場のシーンは、私も一緒に取り引きをしているかのような臨場感が味わえました。・・・株や投資に疎い私は全てを理解出来たわけではなかったのですが。この本、そういう事に詳しい人の方がより楽しめそうです。
全ては仕組まれていた!?
全てはある人物によって巧妙に仕組まれていました。
陰の策士・魔術師。
過去の事件と結びつき、明らかになります。TEFGも二の舞になってしまうのでしょうか!?
『メガバンク絶滅戦争』最終決戦の結末
「オメガ・ファンド」 VS 「TEFG」
最終決戦は TEFG株をめぐって争います。大株主の争奪戦です。ここでキーマンとなるのが、ある人物。以外な人による以外な展開になりました。
『メガバンク 絶滅戦争』は 会社をかけた戦いの中で繰り広げられる人間ドラマを描いた作品です。株取引の熱い思いがあり、銀行内部の軋轢があり、果ては色恋沙汰までもあります。
様々な人間の感情が渦巻いていて1冊でボリューム感を感じさせてくれました。銀行の内部をチラっと覗けた気がして面白かったです。
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