- 安房直子さん『みどりのスキップ』あらすじと感想
- みみずくの恋と 花かげちゃん
- 儚いひととき
- 印象に残ったラスト
とうとう、緑のスキップがやってきた
安房直子さん『みどりのスキップ』感想です。久しぶりに安房さんの本を読みました。昔から好きな物語です。『だれにも見えないベランダ』に収められている1話。
『みどりのスキップ』あらすじ
みみずくの恋物語
本の評価
おすすめ
かんどう
ほっこり
せつなさ
【あらすじ】
みみずくが出会った女の子。切ない恋の物語。
『みどりのスキップ』感想
『みどりのスキップ』を読み終わったあとに感じるのは 切なさと淋しさ、そして儚さです。心が静まり、しばらくその余韻にひたっていました。
みみずくの恋と 花かげちゃん

みみずくは恋をします。
季節は春。きれいな桜の咲く時期です。女の子は 花かげちゃんといいました。桜の花の影の花かげちゃんです。
花が散ってしまうと、花かげちゃんは消えてしまいます。ミミズクは桜の番をするのです。健気で胸がキュンとしてしまいました。
儚いひととき
桜の時期は短いものです。やがて山から緑のスキップがやってきます。
トット トット トット トット足音を響かせて・・・。
「緑のスキップ」 って、なんだか名前が可愛いなと思いました。春から夏へ。季節は慌ただしくやってきます。
でもこのお話では、花かげちゃんが消えてしまうので少ししんみりします。大泣きしたいくらいの悲しさではなくて静かに悲しい。シンとした もの悲しさを感じます。
・・・綺麗なものって儚いんですよね。
印象に残ったラスト

最後は みみずくの苦労も報われず桜は散ってしまいます。仕方がないことだけど可哀そう。このお話の最後の部分がとても印象強く残っています。
疲れ果てて眠ってしまった主人公。目を覚ました時、桜の花はありませんでした。あったのは眩しいほどの青葉です。
青葉からは、これから始まる輝かしい未来を連想します。花かげちゃんはいないけれど・・・。
未来がすぐそこにあるのに、心をどこかに置き忘れてきたような寂しさが心に染みる。
いずれ季節はまためぐってくるものです。これでお別れじゃないよと、みみずくに言ってあげたい。また来年。桜の季節になると思い出す物語です。
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