- 岩瀬成子さん『竹』あらすじと感想
- 気ままな猫
- 「わたし」の心理描写
- 竹と八兵衛
- 愛は恐ろしい
「100万分の1回のねこ」2回目のレビューは、岩瀬さんの短編です。飼い猫の行方がわからなくなり懸命に探す姉妹。
『竹』あらすじ
「わたし」 の知らない 「竹」 の世界

竹が帰って来ない―。飼い猫が行方不明になった。小学生の「わたし」と中学生の姉は竹の行方を探すのだが・・・。
『竹』感想
初めて読んだ作家さんでした。面白いなと思ったのは 猫と人の描写です。
気ままな猫

何も関心がないように見えるネコと、彼を愛してやまない姉妹。その対比が面白い。
本当に猫ってなんなんだろうと思います。飼い主が可愛がってもどこ吹く風・・・という感じ。
いつの間にか家をでて、この本のように姉妹が心配して探してもまるで関心がないように見える。
「わたし」の心理描写
「竹」が行方不明になり、姉妹はあれやこれやと想像をめぐらせます。
普段から折り合いが悪いお爺さんが遠くに捨てたんじゃないか?車にはねられたんじゃないか?
探すも見つからず、知らない人たちがみんな悪者に見えてしまう。
猫がいなくなったくらいで大げさなと思うかもしれません。でもここで描かれているのは、まだ小学生の子どもなんですよね。
例えば仲の良い友達とケンカしたときや、いじめられたとき。子どもの視界って狭いけど想像力は無限に広いものです。
小学生・菜々の心理描写が巧みに描かれていました。
- 好きな寺山くんのこと。
- いなくなった猫のこと。
いろんなことがクルクルと頭の中を駆けめぐっています。小さい頃って私もこんな感じだったかも。
竹と八兵衛

主人公「わたし」は、ある家で「竹」に似た猫を見つけます。
でもそこに住むおばあさんは、彼は「竹」ではなく「八兵衛」だと言い張る。
猫っていろんなところを放浪するから、もしかしたら向こうの家では「八兵衛」として生きていて、菜々の家では「竹」として生きているのかもしれせん。
「竹」が帰ってきたか 来なかったのか。続きはぜひ本を読んでみてください。
愛は恐ろしい?
それぞれの作家さんが佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』について書かれている文章がありました。
自分のネコに「あんた、50万回くらい生きたの」と聞く岩瀬さん。思わずクスリと笑ってしまいました。もし今、私の隣にネコがいたら間違いなく訪ねていると思います。
岩瀬さんの言葉にドキッとしました。
愛は恐ろしい!?
あの絵本を読んだとき、愛することができて良かったと思いましたが、こういう捉え方もあるんですね。なるほど的を得ています。




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