- 角田光代さん『おかあさんのところにやってきた猫』あらすじと感想
- 好きな言葉
- 家出したおちびちゃん
- もし生まれ変わるとしたら?
少しだけネタバレあります。
「100万分の1回のねこ」5話目のレビューは、角田光代さんの短編です。
「ねこ」目線で描かれていました。私もネコの「おちびちゃん」になった気分になりました。おちびちゃんから見た人間、家の中と外の世界、そして幸せ。
さすがトリビュート作品集。
『おかあさんのところにやってきた猫』あらすじ
お母さんの愛を感じる1話
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
お母さんのところにやってきた一匹の猫。家の中で幸せに過ごしていたが、あるとき 窓から外に出て初めて外の世界を知ってしまい・・・。
『おかあさんのところにやってきた猫』感想
とても温かい物語です。もし生まれ変わるとしたら、今度はどんな人生を歩みたいか。想像してしまいました。
ふかふかのほわんほわん

好きな言葉
ふかふかのほわんほわん
幸せな気分になりました。角田さんは柔らかく優しい言葉を奏でる作家さんですね。
この物語は 全体を通してお母さんの愛が描かれています。
どんなことがあっても子供を見捨てない。母って、そんな感じです。
猫って 抱きしめるとぐるぐると喉を鳴らします。それって安心感や満足しているサインなんですね。自分のことのように幸せを感じました。
家出したおちびちゃん
外の世界を知らないネコは 窓の外にいる1匹のトラ猫のことが気になっていました。そして ついに未知の世界に足を踏み入れます。
広がっていたのは 知らない世界。
おちびちゃんの「初めて」が伝わってきます。初めての世界って怖いけど、ワクワクしたりする気持ち。私も一緒にワクワクしていました。
猫は家出をしてしまいます。
まるごとの人生
主人公は猫だけど、人の人生をまるごと経験したような気持ちになりました。
生まれて、ふかふかのお母さんに抱きしめられて、やがて社会に出ていきます。実家を出て辛いことも苦しいこともたくさん経験して人生を終える。
最後は歳を重ねた猫が人生を終えようとするところで終わります。主人公は飼い主の「おかあさん」のところに戻るんですよね。
でも、おかあさんは・・・。
もし生まれ変わるとしたら?
結末は心が温かくなりました。ちょっと目が潤んでしまいます。もし生まれ変わるとしたら 次はどんな人生を歩みたいですか?
佐野さんの絵本のトラ猫は 愛する白ネコが死んでしまったときに、もう生まれ変わるのをやめてしまいました。
あのトラ猫は もう充分に愛していた。生まれ変わらなくても良いくらいに。
佐野さんの絵本の主人公を思いました。ちょっと羨ましい。もう生まれ変わらなくてもいいと思えるくらい私も何ものかを愛してみたいです。
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