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『三月十三日の夜』今江祥智/100万分の1回のねこ/空に想いをのせて

この記事に書かれていること
  • 今江祥智さんの短編『三月十三日の夜』あらすじと感想
  • ねこが見た景色
  • 他者への愛
  • からっぽの空
  • 佐野洋子さんへの想い

ネタバレあります。

『100万分の1回のねこ』7話目は、今は亡き今江祥智さんの短編『三月十三日の夜』のレビューです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
最後には死んでしまう猫。でもそこには「他者への愛」が描かれていました。

『三月十三日の夜』あらすじ

大阪空襲を描いた物語。

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
1945年3月13日、深夜から翌未明にかけて大阪の町に200機をこえるB29が飛来した。その時 ねこは・・・。

『三月十三日の夜』感想

鳥肌が立ちました。大阪大空襲をねこ目線から描いたお話です。

ねこが見た景色

1945年3月13日、大阪にB29が飛来しました。

そのとき初めて大阪にきた1匹のねこ。とつぜんサイレンが鳴きます。

戦争に関する本を読むと、今はとても恵まれているんだなと思わずにはいられなくなります。作者の今江さんは 大阪大空襲を経験されているのですね。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
ネコが見た景色は、今江さんが見た景色そのものかもしれません。

空に鳥のように飛んでいるB29。逃げ惑う人々・・・。その光景を目を瞑って想像します。胸騒ぎがするような落ち着かない気持ちになりました。

他者への愛

周りが炎に包まれていく中で主人公の「ねこ」は、逃げ遅れている仲間がいないか辺りを見回します。一刻を争うときです。他者を思いやる主人公に「愛」を感じました。

ひつじくん。
ひつじくん。
こういう時って、とっさに地がでるものだよね。

ネコなのに人を見ているかのような気持ちになりました。これが人間の本来の姿だといいなと思いながら。

結末に鳥肌がたちました。主人公は炎に巻き込まれて死んでしまいます。かわいそう・・・。

からっぽの空

空に浮かんだ「ねこ」が空を見上げます。そこにはもう、あの奇妙なトリはありませんでした。

何もなかった。だれもいなかった。空はきれいに “からっぽ” でした。

からっぽの空。

気の抜けたような安心感を感じました。ついさっきまで恐怖を感じていた空です。でも今はそれが嘘みたいにキレイに「からっぽ」。

私は空を見上げるのが好きです。いつも見ているわけではないけれど、ふとした瞬間に目にすると心が和みます。

でも今江さんのように空襲を経験した方は、もしかしたらまた違った思いで空を見上げているのかなと思ったりしました。

佐野洋子さんへの想い

今江さんは、佐野洋子さんへの想いを冒頭に綴っています。

絵本『100万回生きたねこ』の宙返りするトラ猫の目つきから、佐野さんの目の表情を思い起こされるそうです。

亡くなった人を思う時、たいてい空を見上げます。

トリが飛んでいて恐ろしい時もあったけれど、空は特別なんですよね。そこには故人がいるような気がする。・・・いや、きっといるのでしょう。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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