- 鈴木まもるさんの絵本『いのちの ふね』あらすじと感想
- とりのふね
- 雲の世界
- 命のつながり
- 残されたもの
つながる命。
鈴木まもるさんの絵本『いのちの ふね』感想です。人は生きて、やがて死んでいく。悲しいことだけど、いつか私にもそんな時が訪れます。
『いのちの ふね』あらすじ
大切な人を亡くした時に読みたい絵本
命は失われてもつながっている。大切な人を亡くしたときに読みたい絵本。
『いのちの ふね』感想
死んでからのこと、残された人たちのこと、そして新たな「いのち」。
この先 大切な人を亡くすかもしれません。その時に改めてもう一度 読みたいなと思いました。
とりのふね

死んだ者たちを迎えに来る「いのちの ふね」。鳥の形をしていて 夜があける少し前に空からやってきます。
イラストが可愛くて。どこへ連れて行ってくれるんだろうとワクワクしました。人だけではなく犬も猫もキリンやゾウもいます。
鳥の舟は たくさん乗せたあと、大きな雲の中へと入っていきます。そして着いたところは「雲の世界」でした。
雲の世界
死後の世界
人は死んだらどこに行くんだろう。
ここで描かれている「雲の世界」は「死後の世界」です。
みんな楽しそうでした。好きなことをして過ごして若返っていく。本当にこんな世界があったらいいのに。
命の繋がりが描かれています。前に読んだ『ちいさなちいさな王様』を思い出しました。

王様はだんだん若返っていくんです。死んだら星になって王様として生まれ変わる。
『いのちの ふね』もそうです。雲の世界で過ごすうちに あかちゃんになって、また地上に新たな命が誕生します。
命はめぐり、つながっていく―。
この世界はもしかしたらそんな風に成り立っているのかもしれません。心が穏やかな気持ちになりました。
命のつながり

鈴木さんは、空を飛ぶ鳥や、鳥の巣、空に浮かぶ雲を見るのが好きなんだそうです。その理由として「きっと、この絵本を描きたかったから」と書かれていました。
その言葉を聞くと、なぜ「いのちの ふね」が鳥の形をしていて「死後の世界」が雲なのかわかるような気がします。
亡くなった人を想う時、空を見上げます。空にその人がいるような気がするから。
そして 空から赤ちゃんを運ぶのはコウノトリ。楽しい時を過ごして若返った人たちを運ぶのは、鳥の形をした舟と鳥たちです。
・・・そう思うと、鳥の舟も雲の世界もしっくりきます。命ってつながっているんだなと。
残されたもの
もし大切な人が亡くなったら 残された者は何をより所として生きていけば良いのか?
雲の住人からの、生きている人たちへのメッセージに胸を打たれました。亡くなった人の声はもう聞けないから、想像するしかないのだけど。救われる思いがします。
残された者は 辛くても生きていかねばなりません。
『いのちの ふね』は癒しの絵本
素敵な物語です。ふわふわのイラストも可愛くて、時間がゆっくり流れているような感じ。何よりも雲の住人たちがみんな楽しそうでした。


