- 貴志祐介さん『ISOLA (イソラ) 十三番目の人格』あらすじと感想文
- 13番目の悪魔
- この小説が面白い理由
- 多重人格少女・ISOLAの正体
- 結末について
少しだけネタバレあります。
少女のなかには13番目の悪魔がいる
貴志祐介さんの小説『ISOLA(イソラ)十三番目の人格』感想です。貴志さんのデビュー作。『黒い家』『悪の教典』を読んだあとだったので、それほど怖くは感じませんでした。
デビュー作から順番に読んでいたら、こわっ!!となったかもしれませんが。
『ISOLA(イソラ)十三番目の人格』あらすじ
多重人格少女・イソラ
賀茂由香里は特殊な力、エンパスを持っていた。それは人の感情を読みとることができる能力だった。ある時、森谷千尋という少女に会う。彼女の中には複数の人格がいるようで・・・。
『ISOLA(イソラ)十三番目の人格』ネタバレ感想文
『ISOLA 十三番目の人格』は、タイトルからも想像できるとおり、解離性同一性障害(多重人格)を扱ったお話です。
今まで読んだ本では、今邑彩さんの『ルームメイト』も多重人格障害を扱っていました。
最も有名なのは、24人の人格をもっていたビリー・ミリガンですね。1人の中に24人の人格・・・なんてビックリします。
13番目の悪魔

13番目のイソラ
高校生の森谷千尋は13人の人格を持つ多重人格障害でした。その中の1人、13番目に現れた人格こそが磯良(イソラ)です。
主人格・千尋の他に、年齢も性別も様々な人格が存在していました。たまにしか出てこない謎な人格がイソラ。
主人公の由香里と臨床心理士の浩子は、千尋の人格を統合しようとカウンセラーを続けます。やがて千尋の周りで不可解な死が続き・・・。
絶対イソラが関係してる!!と思いながら読んでいました。
この小説が面白い理由
『ISOLA 十三番目の人格』の面白いところは、多重人格だけには留まりません。それ以外にも興味深い要素が散りばめられています。
1つは、由香里の共感する能力エンパス。相手の心から発散される感情の波動を感じる能力です。
テレパスとは違うようですね。人の心が読めてしまうんです。小さい頃から特殊な能力に悩まされてきた由香里は、千尋に宿る複数の人格を正確に把握することができました。
イソラの人格も気になりつつも、心動かされたのは 由香里の人生や生き方です。可哀想になるくらいの悲惨な過去。彼女の気持ちに共感しながら読んでいました。
2つ目の面白さは体外離脱。
私は経験ないけど、体外離脱(幽体離脱?)って生死をさ迷っている時に起こるイメージです。ベッドに寝ている自分を上から見下ろすような・・・。ちょっぴりオカルトですね。
多重人格少女・ISOLAの正体は?

物語のキーマンであるISOLA。彼女の正体が後半で明らかになります。
『雨月物語』は読んだことなくて、この小説で初めて知りました。その中に磯良という女がでてくるようです。生霊となって女を殺し死霊となって夫を祟り殺す女。
千尋に宿った13人目は、アルファベットでISOLAと名乗ります。
綴りはISORAではなくISOLA。
最後までよんで「そうか、そんな意味があったんだ」とスッキリしました。・・・でもこんな人格がいたら恐ろしいです。その前に多重人格もイヤだけど。
ビリー・ミリガンのように、別人格が実際に犯罪を犯してしまうこともあるんですよね。人の心って繊細で複雑。不思議に満ちています。
ゾッとする結末
結末に貴志さんらしさを感じました。
ただでは終わらないんですね。最後が1番ゾッとします。バッドエンドだけど、ニヤリともしてしまう私って性格わるい?
由香里の恋の行方は切なかったです。彼女には幸せになってほしい。エンパスをもつ由香里のこれからを、続編があれば読みたいです。
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