- 貫井徳郎さんの小説『誘拐症候群』あらすじと感想
- 多発する誘拐事件
- 非人間的な環敬吾
- 武藤の過去
少しだけネタバレあります。
正義に罪はないのか?
貫井徳郎さんの小説『誘拐症候群』感想です。症候群シリーズ2 (犯罪症候群 シーズン1原作)。『失踪症候群』に続き『誘拐症候群』を読みました。
ドラマは原作とは違うようです。托鉢僧の武藤が私立探偵だったり(原作では原田が私立探偵)。ドラマの武藤は環チームの3人が合体したかんじ?
原作どおりにはいかないものなんですね。
前作のレビューはこちら。
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『誘拐症候群』あらすじ
『症候群シリーズ』第2弾!!
警視庁人事二課・環敬吾の元に集められた特殊工作チームのメンバーが鮮やかに事件を解決する。
『誘拐症候群』感想
キャラが良い!!(前のレビューにも似たようなことを書きました)
前作は 環率いる特殊工作チームの私立探偵・原田にスポットが当たっていました。今回は、托鉢僧・武藤隆の視点で物語は進んでいきます。
謎な人物でしたが、彼の視点で描かれるとより人間味を感じることができます。特殊チームの彼らは 元警察官なんですね。
多発する誘拐事件

誘拐事件が起こります。
身代金が少額のものから多額のものまで。これらの事件は繋がっているのかと、ドキドキしました。
そのひとつに、武藤が巻き込まれてしまいます。托鉢僧である彼の近くでティッシュ配りをしていた高梨道典の子供が誘拐されてしまう。
身代金はなんと1億!!
高梨はいい所のボンボンだったんですね。お金の運搬に指名されたのが武藤でした。受け渡しに失敗してしまい、子供は・・・。
責任を感じた彼は 1人で犯人探しに躍起になります。この辺り、辛い心情がたくさん描かれていて胸がきゅっとしめつけられました。
その頃、環率いる特殊工作チームも動き出します。
私立探偵の原田に、肉体労働者の倉持。環チームは 別の小口誘拐事件の犯人を追っていました。武藤は別行動です。
彼らが追っていたのは ジーニアスという人物。誘拐事件とは知らずに手伝わされていた磯村咲子に目をつけます。
非人間的な環敬吾
前作では環がかっこよく魅力的に感じましたが、今回は少し怖さを感じてしまいました。そう感じたのは、犯人を追いつめる過程にあります。
追いつめられていくジーニアス。自業自得だーと思いましたが、それと同時に環の冷徹ぶりにもヒヤリとしました。
少しだけネタバレ
環の追っている事件と武藤の事件は同じく「誘拐」ですが、全く別々のものでした。・・・にもかかわらず、環はもう一つの事件を利用して自分が追っている犯人を追いつめようとする。
少し冷酷のように感じました。
明かされる武藤の過去

1作目では謎の男だった武藤が、本作では多くが語られています。自分の信念みたいのがあってイイ奴でした。暗い過去があって、そのために警察をやめたようです。
武藤の中に存在する<獣>。最後の方で彼の過去が明かされました。警察をやめて坊主になったわけとは?
衝撃の結末
最後は衝撃を受けました。色んなことが明らかになります。たとえば 武藤が運んだ1億円が燃やされていた謎。誘拐事件が殺人事件を呼びよせる・・・。
復讐は善か悪か―
ドラマでは全体を通して復讐の是非が問われています。
後味の悪い結末でしたが、武藤と環のすれ違いの方が気になってしまいました。
次は 面白いと言われている3作目『殺人症候群』。2人のすれ違いがどう転ぶのか気になります。


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