- 堂場瞬一さんの小説『社長室の冬』あらすじと感想
- インターネットが普及した今
- 新聞社、身売り!?
- 新聞紙とネットニュース
- AMC・青井VS政治家・三池
- 南の記者魂
少しだけネタバレあります
新聞社が、まさかの身売り!?
堂場瞬一さんの小説『社長室の冬』感想です。『警察回りの夏』『蛮政の秋』に続く「メディア三部作」完結編。前2作をすっ飛ばして読んでしまいました。
だからかな。なかなか登場人物に感情移入ができなかったです。そしてスッキリしない。
『社長室の冬』あらすじ
危機を回避するため、大手新聞社が行き着いた結末とは!?
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
日本新報の記者・南康祐が異動させられた先は、なんと社長室だった!? 危機を回避するため 大手新聞社が下した決断とは―。
『社長室の冬』感想
興味深いテーマでした。巨大新聞社の崩壊とメディアの再生。インターネットが主流になった今、メディアはどうなっていくのか。
時代の流れは もうしょうがないです。流れに沿っていかないと生き残れない。
インターネットが普及した今

興味深かったのは時代とともに変化していくものについてです。
SNSが主流になって変わっていくもの。
いろいろありますね。私が働いているアパレル業界もかなり厳しいです。通販などでも手軽にモノが買えるし、服が売りづらい時代。でも店頭でしかできないサービスもあると信じて頑張っています。
電子書籍がでできて、紙の本も買う人が減少しているのかな。私は紙の本も好きなんですけど。便利になっていく一方で、慣れ親しんだものが消えていく。寂しいですね。
『社長室の冬』では それが紙の新聞なんです。
新聞社、身売り!?
かつて日本新報の記者だった南は 誤報を流し社長室にて勤務していました。(たぶん前2作はそのことを書いた小説なのかな) 新たに社長になった新里とともに南が進めていた話。
新聞社、身売り!?です。
買収しようとしているのは 外資系IT企業・AMCです。中心となっている人物は、もと日本新報の記者だったAMC日本法人社長・青井でした。
身売りを進める南や新里社長に対して、反対派とのやりとりは胸が痛くなるほどです。
これはどちらも苦しい立場ですね。会社がつぶれるかもしれない。買収されたとしても 大掛かりなリストラになるかもしれない。
やめていく記者たちもいました。「新聞社にとっては、人材こそ財産だ」・・・というのに、その人材もやめていく。全てが悪循環になっていました。
新聞紙とネットニュース

買収のためAMCが出した条件は 過酷なものでした。
まさかの、新聞紙の発行停止!!です。新聞社なのに・・・。
紙の新聞は 発行部数が落ちている。仕方がないかなと思います。私は 新聞はとってないんです。やっぱりメディアはネットに頼ってしまいがち。
でも実家に帰ると新聞があって、パラパラめくったりする。ネットは自分の興味がある記事しかクリックしないけど、新聞だと活字がとびこんでくるから、興味がなくても読んでしまいます。
条件どおり廃止して身売りをするのか。
日新美術館・長澤が猛反対します。彼がまた曲者で、政治家からの圧力もかかる。圧力の矛先は 外資系IT企業・AMCでした。
AMC・青井 VS 政治家・三池
外資系IT企業・AMCは、名誉毀損で訴えられます。
日本新報の身売りをなんとしても阻止したい長澤と政治家・三池の陰謀。買収話をすすめる青井がちょっとカッコイイんですよね。
青井 VS 三池。
民主主義を守るための戦いです。
実はこの小説ドラマ化されました、WOWOWで。主演は三上博史さんです。小説の主人公は日本新報の南ですが、ドラマでは三上さん演じる青井の視点で描かれていました。
南の記者魂
結末はちょっと肩すかしでした。途中は面白かったのに・・・。でも主人公・南の記者魂が伺えました。
会社が危ないと悟りやめていく同期がいる中で、南は会社に留まるんです。そして社長室から、記者の仕事に戻してもらえるように社長に直談判する。南を見直しました。
前に読んだ『しんがり 山一證券 最後の12人』を思い出します。

破綻した山一證券についてインタビューをもとに書かれた実話。そこで描かれている人たちも、最後まで会社に留まるんですよね。
内容は全然ちがいますが、仕事に対する情熱を感じました。
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