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『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』清武英利【あらすじと感想】外務省機密費を暴いた男たち

この記事に書かれていること
  • 清武英利さんの小説『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』あらすじと感想
  • 「なぜ?」 から始まった取材
  • 領収書のいらないカネ
  • 外務省機密費流用事件と逮捕された松尾克俊
  • 名もなき4人の刑事
  • 刑事たちのその後と結末

少しだけネタバレあります

二課刑事を描いたノンフィクション

清武英利さんの小説『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』感想です。読み応えたっぷりの小説でした。

清武さんの本を読むのは 山一證券を扱った『しんがり 山一證券 最後の12人』以来です。詳細なインタビューを重ね、破綻した山一證券を描いていました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
『石つぶて』も かなりのインタビューを重ねて書いたんだろうな。

外務省の機密費流用事件を軸に、二課刑事を描いたノンフィクションです。WOWOWドラマ原作小説。

『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』あらすじ

二課刑事を描いたノンフィクション!!

あらすじ

外務省機密費流用事件を元に詳細な取材を続け、書き上げた渾身の一作。

「なぜ?」 から始まった取材

ジャーナリスト・清武さんが詳細な取材を始めたきっかけは、「なぜ?」 という疑問からだったと言います。

「最近、汚職って摘発されていないな。なぜだろう?」

本書を読むと 必ずしも汚職が減っているわけではないと気づきます。

昔ながらの型破りの刑事、彼らを信頼して野放しにする上司がいなくなっていることや、捜査の可視化で情報が命の汚職捜査がやりづらくなっていること・・・。

いろんな理由が挙げられる中で、それでも必死に事件に食らいついていく刑事魂を感じました。

『石つぶて』は 警視庁捜査二課の刑事たちが描かれています。

警察小説って、捜査一課とかの殺人事件を扱ったものが多いイメージ。二課刑事が扱うのは知能犯で、同じ刑事でも全然違うんですね。

主に扱うのは 警察用語で「サンズイ」すなわち 「汚職」 です。

自らを 「瀆職刑事」 と評する彼らの地道な捜査と意地を感じました。

発端は 政治家・水野清からの電話。受けたのは警視庁、捜査二課の刑事です。2001年の外務省機密費流用事件が扱われていました。

『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』感想

史実を元にしているから興味深かったです。二課の刑事さんたちや横領した外務省の人、政治家などが本名で記されていました。

ひつじくん。
ひつじくん。
リアル感、半端ない。

領収書のいらないカネ!?

2001年に発覚した外務省機密費流用事件。

外務省の三悪人と呼ばれていた人物。浅川明男、松尾克俊、小林祐武です。そのうちの1人、松尾克俊を調べるうちに、とんでもないことが明らかになっていきます。

2課刑事の中島政司&中才宗義は 松尾の口座に入金されていた巨額のカネに目をつけました。

その資金はどこから?

総理の? 領収書がいらない経費なんてあるのか。

領収書のいらない総理のお金・・・。この展開、ちょっとビビります。彼らは とんでもないものを見つけてしまったんですね。

逮捕された松尾克俊

機密費を流用してしまった外務省の松尾克俊という男。馬を14頭、高級マンション、愛人が複数いたそうです。競走馬には 「アケミボタン」 とか 「アケミタンポポ」 など 愛人の名前を文字ってつけていて。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
呆れるけど、マメな男ほどモテるんですよね。

ここで描かれている松尾という人物、極悪人には思えなくて不思議な気持ちになりました。流用はしたけど、詐取ではないと最後まで否定していたのが印象的です。

私は ニュースを覚えていないのですが、もし記憶にあったなら極悪人のような印象を受けたと思うんです。

そうならないのは、彼の人柄を詳細なインタビューによって描いた清武さんの力なのかもしれません。とてもリアルに感じられて人間味がありました。

ひつじくん。
ひつじくん。
なぜ彼は機密費に手をつけてしまったんだろう。

バカじゃないの?と思いますが、お金というものは人を狂わせるものだと怖くなります。取り調べで松尾が言ったひとことに、ヒヤリとしました。

一度やったら引き下がれない・・・。ドツボにハマっていく恐ろしさと同時に 人間の弱さも感じました。

もちろん悪いのは彼だけど、それを許してしまったチェック体制の甘さとかも問題はあるわけで。煮え切らない気持ちになりました。

メインは名もなき4人の刑事

『石つぶて』は 流用事件を描きながらも、メインは名もなき刑事たちでした。

ひとりひとりの力は小さくても、その力が集まれば外務省という大きな組織にも太刀打ちできる。

名もなき4人の刑事とは、中才宗義、中島政司、萩生田勝、鈴木敏を指しています。

彼らにスポットがあたって良かったです。彼らを始め、多くの捜査員の底力を目の当たりにした気分。

本当に地道な捜査が描かれていて。でもひとつひとつウラをとっていくことで、外務省の闇を暴き出すのだから、小さくても1人の力はあなどれませんよね。

刑事たちのその後と清々しい結末

ラストは 刑事たちのその後が描かれていました。リアルだと思うのは、決して彼らが出世したわけではないということ。

警察の捜査体制が大きく変わっていきます。やがて〈取り調べの録画・録音による可視化法案〉が可決。密室捜査から可視化捜査へ・・・。

サンズイ摘発が激減している事実についての記述があるのですが、現場で働く人しかわからない思いに胸を打たれました。

それでも必死に食らいついていく1人の女刑事が描かれていて 胸が熱くなりました。清々しい結末です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
彼女以外は名前も実名だし、本当にありのままを描いたノンフィクションなんだ。

驚きとともに力強さを感じる1冊でした。

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