- 伊坂幸太郎さんの小説『バイバイ、ブラックバード』あらすじと感想
- 5人の彼女たち (登場人物)
- 子供のまま大人になった彼
- 〈あのバス〉
- 将来なりたかったもの
- 【考察】バイクのエンジンはかかったのか
少しだけネタバレあります。
伊坂幸太郎が送る 「ゆうびん小説」
伊坂幸太郎さんの小説『バイバイ、ブラックバード』感想です。50人だけのために書かれた 「ゆうびん小説」 。
疲れて帰ってきても一気に吹っ飛んじゃいそうです。物語がゆうびんで送られてくる企画。そんな素敵なことを伊坂さんはやっていたのですね。
WOWOWドラマ原作小説。
『バイバイ、ブラックバード』あらすじ
ユーモアたっぷりのサヨナラ・ストーリー。
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
主人公・星野一彦が5人の恋人たちに別れを告げるバイバイ・ストーリー。監視役の繭美と共に「大切な人にさよならを告げる」日々がスタートするが・・・。
『バイバイ、ブラックバード』感想
読みやすかったです。ユーモアたっぷりで面白く感動もあり!繭美のキャラが最強でした。
心温まるストーリー

ひとことで言うと
5股をかけていた主人公が ひとりひとりにサヨナラを言っていく物語。
6つの連作短編集。どんな修羅場が繰り広げられるんだろうと おそるおそる読んでいました。でも心が温まるストーリーです。
5人の彼女がまた良い味出しているんですよね。
- イチゴ狩りで出会った廣瀬あかり
- 子供がいる霜月りさ子
- ロープ女の如月ユミ
- 数字に強い神田那美子
- 女優・有須睦子
この物語に欠かせない重要な人物となっている繭美。彼女の存在感が凄まじい。話に深みが増しています。
子供のまま大人になった彼
バイバイ・ストーリー。どんな悪い男が出てくるのかと思いきや、主人公の星野一彦という男、憎みきれない奴でした。自分に正直、子供のまま大人になったような人です。
大抵はそこに狡い計算だとかが働いて損得勘定がでてくるものだと思いますが、どうやら違うらしい。彼のサヨナラ・ストーリーがコミカルに描かれています。
ねじめ正一さんの『荒地の恋』を思い出しました。

詩人・北村太郎という実在の人物の恋 (不倫) を描いた物語です。この物語の星野とダブってしまいました。
両方とも 主人公を憎みきれないんですよね。
〈あのバス〉に乗る前に

どうして主人公が彼女たちに別れを告げることになったのかと言うと・・・
黄〈あのバス〉に乗らないといけないから。
星野は 借金の清算として組織に連れ去られようとしているようです。それでお別れしないままだと彼女たちは次に進めないからサヨナラを言いに行くことにしたらしい。律儀な男ですね。
〈あのバス〉や ある組織、監視役の繭美について、ラストの展開までも全てが謎のまま。・・・これは想像で補えということか。
将来なりたかったもの
女優の有須睦子に別れを告げる5番目のストーリーが好きです。
子供のころ 将来なりたいものについて考えました。小学校の文集とかに書かされた記憶があります。マンガばかり読んでいた私は、漫画家になりたいとかって書いたような・・・。
星野のなりたかったものが可愛いんですよね。ジーンとしてしまう。彼がなりたかったものは、「パン」 らしいです。
やりとりを聞いていた有須睦子と、彼女のマネージャーが泣き出すんです。ジーンとしてしまいました。とても心温まるお話です。
繭美は彼を救うのか? 結末は・・・
最後の6話は書き下ろしのようです。このラストを読むと繭美がより好きになる。
果たしてバイクのエンジンはかかったのか。
結末は読者の想像におまかせという展開です。続きが気になる、とても。
そして、もちろん繭美ならば彼を軽々と救い出すでしょう。そんなラストを想像してしまいました。
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