- 逢坂剛さんの小説『さまよえる脳髄』あらすじと感想
- ざっくりレビュー
- ネグレクト・シンドローム
- 大脳に障害を負った海藤刑事
少しだけネタバレあります。
彼の中にいる2人の男―。
逢坂剛さんの小説『さまよえる脳髄』感想です。逢坂さんの本は初めて読みました。百舌シリーズを書いた人。← ドラマは途中まで見ましたが、暴力的なシーンが多くて見るのをやめてしまいました。
『さまよえる脳髄』も残酷なシーンが出てくるから、うーん・・・と思いながら読んでいました。あとこれはセクハラ!?
『さまよえる脳髄』あらすじ
人間の脳にひそむ闇
精神科医・南川藍子の前にあらわれた3人の男たち。彼らは脳に「傷」を持っていた。やがて藍子に危険が迫り・・・。
『さまよえる脳髄』感想 (ネタバレあり)
怖かったです。そして脳ってフシギ。描写は好きではなかったけど、テーマが興味深く止まらず一気に読んでしまいました。
テーマは 「ヒトの脳」 と 「心理学」 。
人間の脳にひそむ闇を描いています。脳に損傷を負った人たちが殺人を犯したり、人格が変わってしまったり・・・。
自分じゃ制御できないから恐怖を感じました。
ざっくりレビュー

ストーリーは面白かったのですが様々な感情を感じてしまうお話でした。ちょっとレビューを書きにくいなと思いまして箇条書きにまとめてみました。
ざっくりレビュー
まずはざっくりレビューです。
- 描写がキツかったのが連続殺人犯の男のシーンでした。・・・これはゾッとするし描写に嫌悪感を感じます。
- 胸を痛めたのが母の影響で殺人を犯してしまう彼のシーン。・・・家庭環境や育て方で、そこまで子供の人格に影響してしまうんだと恐ろしくなります。
- 若干うんざりしたのが藍子と丸岡のシーンです。・・・これはセクハラ?だよね。あまり良い気分ではなかったです。
ネグレクト・シンドローム
未知なるものの恐怖
主人公は 精神科医・南川藍子。彼女の元には脳に損傷を負った患者が集まってきます。
興味深かったのは 「ヒトの脳」 について書かれていたことです。右脳と左脳が連携できていない刑事・海藤が登場しました。
ネグレクト・シンドローム、無視症候群という言葉があります。もしも右脳に損傷を受けて機能しなくなると 左側をムシしてしまう症状です。
結果、どういうことが起こるのかというと・・・、例えば化粧をするとき。右側だけバッチリ化粧で、左側はスッピンだったり。
海藤刑事の症状はもっと深刻なものでした。
1人の中に2人存在する

大脳に障害を負った海藤刑事。下された診断は 脳梁の断裂。左脳と右脳を繋いでいて連携している部分が傷ついてしまいます。
彼は二つに分割された脳を持っている。つまり彼の中には今、二人の男が存在するわけだ
2人の男が存在する。多重人格? 多重人格って、精神障害だとばかり思っていましたが脳にも関係あるものなんですね。
「脳移植」 を扱っている小説です。もし私の中に違う人の脳が移植されたら、それでも私は私と言えるのか? ・・・とヒヤリとした記憶があります。
自分をカタチ作っているところだから。・・・未知の領域な分、怖いです。
衝撃の結末
結末は衝撃でした。まさかあの人が・・・。リアルに恐ろしかったです。
登場人物があまり好きになれなかったけど、海藤刑事は好感が持てました。



