- 雫井脩介さんの小説『引き抜き屋 鹿子小穂の帰還』あらすじと感想・レビュー
- 「引き抜き屋の苦心」 すれ違う父と息子
- 「引き抜き屋の報復」 宮前の思惑
- 「引き抜き屋の帰還」 フォーンの危機
- 心温まる結末
ネタバレあります。ご注意ください。
ヘッドハンターは会社を救えるのか。
雫井脩介さんの小説『引き抜き屋 鹿子小穂の帰還』感想です。(1) に続き (2) を読みました。
(1) よりも (2) の方が好きです。2冊ともWOWOWドラマ予定作品。

もくじ
『引き抜き屋 鹿子小穂の帰還』あらすじ
ヘッドハンター・鹿子小穂の流儀
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
父の会社を追い出された鹿子小穂は ヘッドハンターとして働き始めた。実績を積んでいく小穂に 父の会社が経営危機に陥っているとの報せが届く・・・。ヘッドハンターは会社を救えるのか!?
- 引き抜き屋の苦心
- 引き抜き屋の報復
- 引き抜き屋の帰還
『引き抜き屋 鹿子小穂の帰還』感想・レビュー
泣きました。1巻目から続けて読んでいくと、小穂の成長がよくわかります。大槻とソリが合わなくて 父の会社を追い出された彼女が戻ってくるシーンはカッコ良くて。
「引き抜き屋の苦心」 すれ違う父と息子

小穂がヘッドハンターとして働いて半年。会社の忘年会でのこと。いつもメールでしか会話をしない井納が小穗に言ったことが印象的でした。
- 結果がでないとき 楽な道を選んだら成長は止まる
- 妥協した瞬間が自分の限界になる
井納の言うとおり、小穂の苦心が描かれいる 第1章 「引き抜き屋の苦心」。
ガンを患っている 「二見鞄」 の社長・二見邦久の後見者探し、会社の経営を任せられる社長のヘッドハンティングを小穂は担当します。
白羽の矢が立ったのは二見の息子・晴久でした。でも過去のイザコザで父と息子は仲違いしたままです。
晴久を説得する中で、最後に父と息子が話すシーンにジーンとしました。
「そうか、メイド・イン・ジャパンか」
「二見鞄」 は メイド・イン・ジャパンにこだわっていました。息子の会社のイチオシ商品が メイド・イン・ジャパンのソファー。
良いモノ作りの精神は 父から息子へ受け継がれていると思った瞬間です。
懸命に仕事をしても成果があるとは限らないのがヘッドハンター。なかなか難しいですね。
「引き抜き屋の報復」 宮前の思惑
2章 「引き抜き屋の報復」 では 「フィオーレ・ピッコロ」 ジェラート屋さんの人材探しを左右田と2人で担当します。
ヘッドハンターにも 色んなタイプがいるんですよね。
担当する会社のため・・・というよりは、自分の私怨を晴らすために 人材を紹介しようとします。
左右田のイチオシは 「ドラゴンフライ」 眼鏡チェーンの宮前。彼はとても優秀な人物でした。
「ドラゴンフライ」 の人材探しを、左右田は断られたことがあり、それなら その会社からヘッドハンティングしてやれという経緯です。
宮前は ヘッドハンターを利用して、仕事ができない上司・進藤を辞めさせようと画策するのです。
結果的には 進藤の仕事の出来なさぶりが発覚して、ヘッドハンティングせずにすむのですが、危ないところでした。
誰でも良いってわけではないんですよね。面談とリサーチを繰り返して その人の人となりを確認していく。
経験がものを言う職業です。
「引き抜き屋の帰還」 フォーンの危機
最終章 「引き抜き屋の帰還」 では メンズコスメ 「ジェレミア」 日本法人の社長探しを担当することになりました。
小穂が押すのは 畔田という男です。
最終章は 小穂が父の会社に帰還するんですよね。
父の会社 「フォーン」 に経営危機が訪れます。大槻と 「インフィニティ」 という会社が裏で画策していたようで・・・。
経営陣に自分の息のかかった人間を送りこみ、〔ウルソン〕を買収させたあとで、それもろとも〔インフィニティ〕傘下に引きこむ
要は 「フォーン」 の買収です。
あれよあれよという間に、父は社長退任に追い込まれます。このままだと 「フォーン」 は 「インフィニティ」 に取り込まれてしまう・・・。
「私はヘッドハンターです」
小穂が父に言った言葉に胸が熱くなりました。彼女は 「フォーン」 経営者のヘッドハンティングに挑むのです。
心温まる結末 (ネタバレあり)
ラストが素敵でした。小穂が見つけてきた経営者候補。
「ザ・サザンクロス・ジャパン」 の前社長・醍醐達郎。 「ザ・サザンクロス・ジャパン」 を大きくした実績を持った人物です。
小穂のヘッドハンティングで メンズコスメ 「ジェレミア」 日本法人の社長に就いた畔田の紹介でした。
人と人とのつながり。思いもよらぬところから 助けられたりするんですよね。ジーンとしました。
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