SF・ファンタジー

『HUMAN LOST 人間失格』小説 あらすじ・感想 (ネタバレ) 葵遼太&冲方丁|SFアニメ・ノベライズ

HUMAN LOST 人間失格
この記事に書かれていること
  • 『HUMAN LOST 人間失格』あらすじと感想・レビュー
  • なぜ太宰治の『人間失格』を元にしたのか
  • 医療革命により実現した無病長寿社会
  • 大庭葉藏 VS 堀木正雄
  • バアのマダム (女主人) の言葉
  • 『HUMAN LOST 人間失格』こんな人にオススメ!

ネタバレ・辛口レビューあります。ご注意ください。

人間合格か、人間失格か―。

葵遼太さんの小説『HUMAN LOST 人間失格』感想です。太宰治 生誕110年ということで劇場アニメ化される『HUMAN LOST 人間失格』ノベライズ版を読みました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
原案は冲方丁さんです。

冲方さんのSFは読んだことなかったけど、安楽死を扱っている『十二人の死にたい子どもたち』は面白かったです。

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『HUMAN LOST 人間失格』あらすじ・評価

SFアニメ、ノベライズ版!

本の評価

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サクサク

【あらすじ】
昭和111年、医療革命により死を克服し、GDP世界第1位の大国となった日本。体内ナノマシンをネットワークに繋ぎ、管理することで成立した無病長寿社会。だが、その陰で人が異形化するヒューマン・ロスト現象が起きていた。人間を「失格」しているという絶望。死への逃避を奪われた大庭葉藏は、その果てに何を見るのか。太宰治『人間失格』を原案とする SFアニメ、ノベライズ版。

『HUMAN LOST 人間失格』感想・レビュー

太宰治『人間失格』を読んでの、本書『HUMAN LOST 人間失格』です。これは全くの別ものですね。片方はSFなので当たり前か。

登場人物の名前、関係性など『人間失格』そのものでした。主人公・大庭葉藏に始まり、友人の竹一、悪友の堀木正雄、ヨシ子、バアのマダム・・・。

名言もところどころに描かれていて、やはり『人間失格』を原案にして匂わせているシーンが多々あります。でも、

感想をひとことで言うと、『人間失格』を絡めなくてもよくね? です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
そして、少しグロい。

以下、辛口レビューが続きます。未読の方、好きな方はご注意ください。

なぜ『HUMAN LOST 人間失格』は太宰治の『人間失格』を元にした?

『HUMAN LOST 人間失格』は 太宰治の『人間失格』を元にして書かれています。先日読んだばかりでした。

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『人間失格』の登場人物の名前、人間関係も含めていたりするのは面白いですが、やはり全くの別もの。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
あえて太宰治の小説を元に作る意味がわからない。・・・生誕110年だから?

『人間失格』を絡めずに作ったほうが面白かったのではないかと。・・・ちょっと無理やり感が否めません。

例えば 『人間失格』の、あの有名な名言 「恥の多い生涯を送って来ました」。本書では1番最後に書かれているのですが、とってつけたように感じてしまいました。

太宰治ならではの名言。他で使うと違和感が残る。

主人公の大庭葉藏にしてもそうです。どうしても太宰治の葉藏を連想しますが、別人なんですよね。名前を同じにする必要性が全く感じられませんでした。

ひつじくん。
ひつじくん。
ノベライズ版だからかな。アニメで見るとまた違うのかもしれないよ。

医療革命GRMPと無病長寿社会

舞台は 昭和111年の日本。医療革命 「GRMP」 (グランプ) と健康保障機関 「S.H.E.L.L.」 (シェル) により無病長寿社会が実現した世界です。

四大医療革命 「GRMP」
  • 遺伝子操作(Genetic manipulation)
  • 再生医療(Regeneration)
  • 医療用ナノマシン(Medical nano-machine)
  • 万能特効薬(Panacea)

「S.H.E.L.L.」 とは・・・Sound Health Everlasting Long Life の略。国民の健康を管理し無病長寿を保障する国家機関。

「S.H.E.L.L.」 は、全国民に投与された 「GRMP」 をネットワークで繋ぎ、健康基準合格者たちの健康状態とリアルタイムで同期させることで、国民の健康を保っています。

国民の健康を管理する社会。いくら健康長寿のためとは言え、管理されるのはイヤだと思ったり。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
伊藤計劃さんの『ハーモニー』を連想しました。

管理されればされるほど、反発したくなるのが人間というものです。『ハーモニー』でも 本書でも 反発している人が描かれていました。

『ハーモニー』のトァン、ミァハ、キアン。そして『HUMAN LOST 人間失格』の主人公・大庭葉藏、友人の竹一、堀木正雄です。

ひつじくん。
ひつじくん。
葉藏の友人・竹一も堀木正雄も、太宰治『人間失格』に登場してるよ。

「第二の手記」 の章、中学生になった葉藏の道化を見破った人物・竹一。ほんの少しの描写でした。

『HUMAN LOST 人間失格』では 程なくして死んでしまいますが、葉藏にとっては 大切な友人です。

大庭葉藏 VS 堀木正雄|アプリカントの戦い

『人間失格』で 大庭葉藏の悪友として登場したのが堀木正雄。葉藏に、酒やタバコなどを教えた人物です。

本書にも登場しました。ロスト現象 (ヒューマン・ロスト) を引きおこす 「アンチGRMP薬」 をばら撒く謎の男として。

ロスト現象とは

S.H.E.L.L.のネットワークから外れ、体内GRMPが暴走してロスト体と呼ばれる化け物になる現象。ヒューマン・ロストとも呼ばれる。

堀木正雄は 葉藏の敵のような役柄でした。竹一は正雄から渡されたアンチGRMP薬により、ロスト現象を引き起こし死んでしまうのです。

葉藏もアンチGRMP薬を飲むのですが、彼はアプリカントなので大丈夫でした。

アプリカントとは・・・ロスト現象を起こしても体内GRMPが暴走せず、人の姿を維持できる人間。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
この辺り、ちょっと難しい。ロスト現象、アプリカントとか。

自分を傷つけてロスト体になったりするのを読んでいると『進撃の巨人』みたい・・・と思いました。

なぜ 竹一は死ななければならなかったのか。

やるべきことのために、この体が役に立つのであれば、人間を失格することに思うことなどなにもない。

確かに人間でないロスト体になるのは 「人間を失格すること」 になるけど・・・。太宰治の 「人間、失格」 という名言の方が深みがありました。

バアのマダム (女主人) の言葉

バアのマダム (女主人) の言葉も書かれていました。太宰治『人間失格』を読んだときに、気になった言葉です。

「私の知る葉ちゃんはとても素直でいい子よ」

でもこの言葉も 本書で読むとあまり印象に残らない。太宰治の小説を読んでなければ、サラリと読み流してしまいそうです。

葉藏がそこまで 「人間失格」 に思えないから。

太宰治が描く葉藏は、本当にろくでもない男だったから、マダムの言葉が強く心に残りました。

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でも本書の葉藏は、それほどろくでもない男ではないのです。

『HUMAN LOST 人間失格』こんな人にオススメ!

太宰治『人間失格』が好きな人には あまりオススメしません。名言がところどころに描かれていますが、心に響かないからです。名言は太宰治の小説で味わう方が良い。

オススメなのはこんな人
  • 多少、グロくても平気
  • 『進撃の巨人』や『PSYCHO-PASS サイコパス』のような戦うシーンが好き
  • アニメを見る前 (後) に原作を読みたい

『HUMAN LOST 人間失格』劇場アニメの原作ノベライズ。小説はあまり好きではなかったけど、アニメはまた違う面白さがあるかもしれません。

ひつじくん。
ひつじくん。
確かにこのお話はアニメ向きかも。アニメの小説版だからね。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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