- 『ソードアート・オンライン2』「心の温度」あらすじと感想
- キリトとリズベットの冒険
- キリトの苦い過去
- リズベットとキリトが見つけた真実
- 叶わぬ恋と世界の終焉
ネタバレあります。ご注意ください。
俺も、他の誰だって、決していつか死ぬために存在してるわけじゃない
川原礫さんの小説『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』「心の温度」 感想です。リズベットとキリトの冒険が描かれた1話。
時系列では、「赤鼻のトナカイ」 → 「黒の剣士」 → 「心の温度」・・・となります。「赤鼻のトナカイ」 でのキリトの苦い過去の描写もありました。


もくじ
『ソードアート・オンライン2』あらすじ・評価
小説版『ソードアート・オンライン2』
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
クリアするまで脱出不可能のMMO『ソードアート・オンライン』に閉じ込められた主人公・キリト。最上階層を目指す “攻略組” の彼以外にも、様々なプレイヤーが存在していた。ビーストテイマーのシリカ、鍛冶屋の店主・リズベット、謎の幼女・ユイ、そして黒い剣士が忘れることの出来ない少女・サチ。ソロプレイヤー・キリトが彼女たちと交わした 4つのエピソード。
- 「黒の剣士」 (2024年2月)・・・ビーストテイマーのシリカ
- 「心の温度」 (2024年6月)・・・鍛冶屋の店主・リズベット
- 「朝露の少女」 (2024年10月)・・・謎の幼女・ユイ
- 「赤鼻のトナカイ」 (2023年12月)・・・月夜の黒猫団のサチ
『ソードアート・オンライン2』「心の温度」 ネタバレ感想
「心の温度」 は 武器屋を営むリズベットとキリトの冒険物語。リズベットがキリトに恋をします。
過酷な仮想空間では何が本当なのか。全てがデータで作られた世界です。・・・だから何を信じて良いのかわからなくなる。
リズベットはキリトを通して、仮想空間でも信じられるものを見つけました。
キリトとリズベットの冒険

リズベットの武器屋を訪れたキリトは、彼女に剣を注文します。そして剣に必要な金属をリズと一緒に取りに行く。
第55層・氷雪地帯です。氷山に出現するドラゴンが貴重な金属を精製すると聞いて。
ドラゴンの巣穴でした。転移結晶は使えない。ダンジョンだから助けも呼べない。
壁を走って登ろうとしたキリトが可笑しくて笑ってしまいました。アニメを先に見ていたので、そのシーンが浮かびます。
穴の中で ご飯を食べるシーンに ほっこり。アニメにはなかったところで、小説では細かいところも描かれていました。
キリトの苦い過去

リズベットは不思議に思っていました。
どうしてキリトは、危険を顧みず自分を助けたのか。
運良く助かったから良かったものの、死んじゃう確率の方が高かったのに。その理由をキリトに聞くと・・・、
誰かを見殺しにするくらいなら、一緒に死んだほうがずっとましだ
キリトの本心です。小説版では 最後の4つ目のストーリー 「赤鼻のトナカイ」 での出来事を匂わせているんですよね。
キリトの苦い過去。アニメは時系列順に沿っているから、リズベットのストーリーよりも前に描かれています。
リズベットとダンジョンで一夜を明かすことで、キリトの苦しみは少し紛れたようです。
リズベットが見つけた真実

キリトがリズベットを助けたこと。変なやつだけど、彼には心がありました。リズは今まで何も信じることができなかった。
でもキリトと出会い、彼の心や温かい手の温もりを感じてリズの気持ちは変化していきます。
心を感じること──現実世界でも、この仮想世界でも、それだけが唯一の真実なんだ
全てがデータで作られた仮想空間での唯一の真実です。キリトの手の温かさもデータによるものかもしれないけど、彼の手から心を感じ取ったリズ。
Twitterやブログなどリアルの自分を、いくらでも偽れる場所も、言ってしまえば仮想空間。
気軽に自分の気持ちを伝えれる場は一方的で、つい自分の気持ちにばかりに気がいってしまうけど、その向こうには心を持った人がいるということ。
仮想空間でも現実世界でも、相手を思いやる気持ちが 「心を感じること」 に繋がります。
リズは データで作られた偽物の空間でも、唯一の真実を見つけました。
キリトが見つけた真実

キリトもリズベットと過ごすことで、過去の苦い経験が少し和らぎます。
「赤鼻のトナカイ」 で描かれているギルドの全滅・・・。彼はそれ以来、ソロプレイヤーとして1人で戦っていました。
人の戦闘を見るのがイヤだったからです。足が竦み、その場から逃げ出したくなるから。
このストーリーで、初めてキリトの胸のうちを知りました。
キリトはリズと穴に落ちたとき、1人で生き残るくらいなら死んでも良いと思っていました。でも彼女の手の温かさを感じて、生きていることが嬉しく思えたのです。
俺も、他の誰だって、決していつか死ぬために存在してるわけじゃない、生きるために生きてるんだって思えた
周りのプレイヤーが力尽きていくのをたくさん見てきたキリト。生への執着が薄れていた彼がたどり着いた答えです。
叶わぬ恋と世界の終焉
キリトを好きになったリズベット。でも彼がアスナの好きな人だと知って、身を引くのが切なくて泣けました。
リズベットのストーリーの最後に、時間は飛んで、世界の終焉が描かれています。リズベット視点でのゲームクリア。
だからココに入れたのかな? これから 「朝露の少女」 と 「赤鼻のトナカイ」 が続くけど、クリアされちゃった・・・(笑)


アニメのレビュー