SF・ファンタジー

『存在しない時間の中で』ネタバレ感想文・あらすじ|この世界は創られたもの?|山田宗樹

「存在しない時間の中で」感想文
この記事に書かれていること
  • 『存在しない時間の中で』あらすじと感想文
  • 私たちの世界はまぼろし
  • 空が消えた「701」
  • クラウス問題|何のために三次元空間を作ったのか
  • 理数系ダメな私が興味をひかれた数学
  • 心に響いた言葉
  • タイトルの意味と結末

ネタバレあります。ご注意ください。

幻なんかじゃない。僕たちも、この宇宙も。

山田宗樹さんの小説『存在しない時間の中で』読書感想です。SFというよりは数学的な要素が多めの印象でした。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
面白かったよ。最後までヒヤリとした。

四次元、十次元と聞くと、本格SF小説『三体Ⅲ 死神永生』を連想します。同じSFでも『死神永生』とはまた趣きがちがう感じですね。

『三体Ⅲ 死神永生』
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『存在しない時間の中で』あらすじ・評価

SFミステリー小説

あらすじ

ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。つまり、この宇宙、そして世界の設計図を描いた〈何ものか〉が存在する可能性を示唆していたのだ。にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、〈神の存在〉にアクセスしようと試みる。そして、その日から現実は大きく変わることになる―。

『存在しない時間の中で』ネタバレ感想文|もしも宇宙が設計されたものだったら?

『存在しない時間の中で』は、もしもこの宇宙が「何者か」によって設計されたものだったとしたら?・・・というストーリー展開。

想像してみてください。

私たちの世界を外からみている「何者か」が存在しているんです。壊すも生かすも監視している「何者か」の思いのまま。

ひつじくん。
ひつじくん。
怖いんだけど。

物語なのにリアルな感じがしました。実際、宇宙はまだ未知数。ほんとうにココで起きたことが現実で起こらないとは言えないんですよね。

ある日突然、この小説のように「何者か」の存在が明らかになったら・・・。

私たちの世界はまぼろし

最初から最後までノンストップの面白さでした。

「この宇宙の存在は幻かもしれない」問題が前半に浮上。

カピッツァ・クラブ(若手研究者たち主宰のセミナー)に突然やってきた青年が書き記した数式。それは、人類の宇宙観を根底からひっくり返すものでした。

「この宇宙の本質は二次元平面上にあって、我々のいる三次元空間は、そこから立ち現れた幻のようなものである。あの不等式の意味を簡単にいえば、そうなる」

理数系が苦手な私は半分くらい意味がつかめなかったけど、すごくわかりやすく言うとこういうことです。

三次元空間(私たちのいる世界)は、二次元から現れた幻のようなもの→この宇宙の存在は幻である。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
宇宙が幻なら、そこに存在している私は何なんだ・・・。

宇宙(それを創った「何者か」がいるなら、神さまに等しい存在)から見ると、人ひとりなんてちっぽけな存在に感じました。大きすぎる力の前では、どうあがこうとも太刀打ちできない。

絶望感を味わいつつも、それが真実ではないかと思わずにはいられなくなる展開になります。

7月1日、空が消える

ひつじくん。
ひつじくん。
「何者か」の存在が明らかになったような気がしてゾッとしたよ。

空が消えた「701」|宇宙は十年後に閉じられる!?

「何者か」の存在が明らかになった7月1日、空が消えました。

ほんの数秒間のことだけど、全世界の空が真っ白に変わったのです。これは空を消したり、元どおりにできる「何者か」が存在するということ。

消えた瞬間、文字を追っていた私でさえもヒヤリとしました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
たぶん「何者か」にとっては、この世界に生きている人々を消すことも造作ないことだから。

この日の出来事は、人々のなかで「701」と呼ばれるようになります。そして一年後の701の日、今度は「あと十年で宇宙が閉じられる」とのお告げが・・・。

「宇宙が閉じられる」とは、世界が終わるということなのか。「何者か」は何のために私たちの世界を創ったのか。

ひつじくん。
ひつじくん。
怖いけど面白い。どうなるんだ、この世界は。

クラウス問題|「何者か」は何のために三次元空間を作ったのか

この世界が「何者か」によって設計されたものだとして、なんのために創ったのか

それに答えたアメリカの物理学者、アレキサンダー・クラウスの仮説(クラウス問題の一部)が目を引きました。

  • 私たちが存在する世界は、時空シミュレーションのために「何者か」が創った
  • 「何者か」の最終目的は十次元時空モデル(九次元空間+時間)を完成させること
ひだまりさん。
ひだまりさん。
十次元とか『三体Ⅲ 死神永生』にも出てきたね。どんな空間なのか想像もつかないけど。
『三体Ⅲ 死神永生』
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本書にでてくる「クラウス問題」(アレキサンダー・クラウスの仮説)とよばれるものが、中盤より重要なキーワードとなります。そのなかで重要なところだけ簡単にいうと、

「何者か」は、人類が自我をもつ生命体なのかを証明することを望んでいる。証明できれば人類がいる限り三次元空間の存続、証明できなければ十年後に閉鎖。

人類は「何者か」に我々が自我をもつ生命体であると証明しなければいけなくなりました。

ひつじくん。
ひつじくん。
そもそも、どうやって証明すればいいんだ?

私たちには自我があるけど、今までのように普通に生活しているだけでは「何者か」に伝わってないのです。生命の存続をにぎられている状況って恐ろしいですね・・・。

以前によんだ貴志祐介さんのSF小説『新世界より』を連想しました。

貴志祐介『新世界より 上』あらすじと感想 / 消えゆく子供たち貴志祐介さん『新世界より』上巻のあらすじと感想です。世界観がすごくて、かなり面白かったです。おすすめのSFホラー小説。最後までドキドキ・ハラハラの展開でした。...

そのなかに出てくるバケネズミです。彼らも今と同じ状況のなかで生きていたんだよねと。

理数系ダメな私が興味をひかれた数学

『存在しない時間の中で』をよんでいて、理数系ダメな私でも興味をひかれたところがあります。

ひとりの人間を数式に置き換えることが可能だと仮定した例題、クラウスの仮説です。

あなた自身に関して、あなたが知っているすべての情報をもとに、一連の数式を組み上げたとする。その数式さえあれば、あなたに関することなら、どのようなことでもわかる

ひとりの人間を数式に・・・。もしも数式に置き換えられたとして、私自身の情報を入れたらどんな答えがでるのか。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
面白そうと思いながらよんでいたら、さいごにヒヤリとしたよ。

私がこれからどのような人生を歩んで、何歳まで生き、そしてどのように死をむかえるのか。数式はすでに答えを知っているのです。

自分の未来は気になるけど、何もかもわかるのは怖いですね。しかも解を出すのは数式。

あなたの情報からこの数式が生まれたのではなく、この数式をもとにあなたという存在が作られたのだとしたら

この世界は「何者か」が創ったことになっているから、私も創られた存在になってしまうようでヒヤリとしました。

『存在しない時間の中で』心に響いた言葉

世界が創られたもので、ひょっとしたら十年後に終わるかもしれない。絶望的な状況で、心に響いたのは主人公・平城アキラのことばです。

僕たちはたしかにこの四次元時空で生きている。ここで生きて、ここで死んでいく。ここが僕たちの世界なんです。幻なんかじゃない。僕たちも、この宇宙も

ひつじくん。
ひつじくん。
ちなみに、四次元時空とは三次元空間+時間のことだよ。

たとえ創られた世界でも、幻だといわれようが今生きているのは現実で宇宙も存在している。アキラのことばに頼もしさを感じました。

『存在しない時間の中で』タイトルの意味と結末|リセットの果てに・・・

ラストまでよむとタイトル『存在しない時間の中で』の意味が、こういうことなんだなとわかるんです。

「十年後に宇宙が閉じられる」とは、「何者か」が時間をもどしてリセットするということでした。

リセットされれば前の記憶は人々の中から消え、「存在しない時間」になるワケです。ほんとうは存在していたはずなのに・・・。それをふまえると『存在しない時間の中で』は、ちょっぴり切ないタイトルですね。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
時間ループ展開?シュタゲみたい。

『シュタインズ・ゲート』。元はゲームだけど、アニメやノベライズ化されている時間SFを扱った作品です。アニメがめちゃめちゃ面白くてハマりました。

『存在しない時間の中で』は、「何者か」に人類が自我をもつ生命体であることを証明しない限り、延々とリセットされ続ける(宇宙が閉じられる)結末っぽいです。

ときおり、リセットされても前の記憶を残したままの人々がいて「何者か」のメッセージを伝える役目をになう。物理学者クラウスや、後の莉央のように・・・。

ひつじくん。
ひつじくん。
『シュタゲ』用語でいうと、彼らはリーディングシュタイナーってところかな。

ただ、リセットされた世界では701が起こらないようです。前の世界とは違っていました。すべては「何者か」の思いのままに・・・。

リセット前の記憶がなければ「存在しない時間」があったなんて気づかない。でも実際は「何者か」の意図により、世界は維持されているんだ・・・と思うと怖いですね。

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