ミステリー・サスペンス

『救いの森』小林由香【あらすじ&感想】ライフバンドと児童救命士を描いた小説

この記事に書かれていること
  • 小林由香さんの小説『救いの森』あらすじと感想
  • 『救いの森』のテーマ、子どもの救済について
  • 「ライフバンド」 が義務付けられた世界と児童救命士について
  • 大人たちの願い

少しだけネタバレあります。

大人になるまで生きてほしい―

小林由香さんの小説『救いの森』感想です。デビュー作から読んでいますが、この方の本は毎回 衝撃の面白さです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
泣けました。

『救いの森』あらすじ

子どものSOSが聴こえますか

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
児童保護救済法の元、腕に「ライフバンド」をつけることを義務付けられた社会。子どもが いじめや虐待など命の危険を感じた時に起動させると、児童救命士がかけつける。新米児童救命士の長谷川は「ライフバンド」の検査で小学校を訪れ、そこでわざと警告音を鳴らす少年と出会う・・・。

本の目次と児童
  • 「語らない少年」 (誠くん)
  • 「ギトモサイア」 (美月ちゃん)
  • 「リピーター」 (涼太くん)
  • 「希望の音」

テーマは子どもの救済

『救いの森』のテーマは子どもの救済です。

身の危険を感じたときに すぐSOSを出してくれれば救えるかもしれない。児童救命士たちの仕事を通して、作者・小林さんの切実な思いが描かれています。

ひつじくん。
ひつじくん。
とにかく生きていてほしいと願う気持ちが痛いほど伝わってきたよ。

子どもに辛いことがあったとき、まわりの大人は気づいてあげられないことがあります。幼い子はなかなか言葉にできないものだから。

虐待、いじめ、誘拐・・・。誰にも相談できずに自ら命を絶ってしまう子たちがいると胸が痛みます。

『救いの森』で描かれている子どもを救済できる世界は魅力でした。そこに登場する子どもたち (誠くん、美月ちゃん、涼太くんなど) が ボタンひとつで助けを求められる世界です。

『救いの森』感想

とても心に響いて泣きました。4話からなる連作短編で どの章も良かったです。どれもが子どもの救済を描いていました。

本当は別の理由があってSOSを出していたり、少しどんでん返し的な展開が上手い。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
様々な家庭があって様々なSOSがある。子ども心は複雑ですね。

「ライフバンド」 が義務付けられた世界

小林由香さんが描く世界が魅力です。

デビュー作『ジャッジメント』では復讐法が定められた世界、次作『罪人が祈るとき』では復讐といじめがテーマでした。

本作『救いの森』は 児童保護救済法の元、義務教育の子どもの腕に 「ライフバンド」 をつけることを義務化された世界です。

もしも 「ライフバンド」 があったら

「ライフバンド」 によって、ボタンひとつでSOSがだせて、すぐさま児童救命士がかけつけます。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
作家さんという人は想像力が豊か。
ひつじくん。
ひつじくん。
どこか近未来的で、ありえないけど ありそうな世界観に魅了されるんだよね。

本書で描かれている 「ライフバンド」 はもちろんですが、『ジャッジメント』の「復讐法」 についても心のどこかで願う自分がいました。・・・あったらダメな法律かもしれないけど あっても良いと思ったり。

叶えられない願いが描かれている世界だから、こんなにも魅力に感じるのかもしれません。

児童救命士の熱い思い

主人公は新人児童救命士・長谷川です。先輩の新堂と子供の救済にあたります。

この世界ならではの職業ですね。子供はなかなか心を開かないけど、熱心に救命にあたる長谷川に胸が熱くなりました。

先輩の新堂のキャラがまた良かったです。仕事をサボっているようで、実は人一倍 子どもの救済に敏感な彼。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
意外にもするどい。

物語が進むにつれて 長谷川と新堂の過去や苦い経験が明らかになりました。その経験があるからこその熱い思いが伝わってきます。

大人たちの切なる願い

新堂の言葉にジーンとしました。

どんなに傷ついても、なによりも大人になるまで生きていてくれることが大切なんだ

これはきっと 作者の小林由香さんの思いでもあるんだろうなと思いました。本書で1番伝えたいことです。

小さな子が自ら命を絶ってしまうことほど残酷で悲しいことはありません。もしかしたら世界やまわりは冷たいかもしれません。

でもここで描かれている救命士たちのように生きてほしいと願う人は必ずいます。生きてさえいればまた道は開けるんです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
今見ている世界は狭くて小さいけど、大人になったら見える世界は変わる。だから生きてほしいな。

救命士たちを見ながら熱い思いが込み上げてきました。

『救いの森』レビューまとめ

『救いの森』とても良かったです。小林由香さんの描く世界が新鮮で面白いんですよね。これからも追いかけていきたい作家さんです。

心が揺さぶられる1冊でした。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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