- 吉田修一さんの小説『太陽は動かない』あらすじと感想・ネタバレ
- 『太陽は動かない』原作小説の登場人物と映画のキャスト
- 鷹野&田岡コンビの過酷な活動
- 宇宙太陽光発電をめぐる暗躍
- 簡単な解説とアンディ・黄の企み
- ハマれなかった理由
- 結末と続編について
ネタバレあります。ご注意ください。
裏で糸を引くのは―。
吉田修一さんの小説『太陽は動かない』感想です。ハードボイルド小説、産業スパイものです。展開が早くスピード感がありました。
鷹野一彦シリーズは『太陽は動かない』『森は知っている』『ウォーターゲーム』の3部作。
映画は2020年5月に公開予定。(『太陽は動かない』と『森は知っている』を基に制作) ドラマ版は WOWOWにて放送予定です。
もくじ
『太陽は動かない』あらすじ・評価
産業スパイ小説
新油田開発利権争いの渦中で射殺事件がおきた。AN通信の鷹野一彦は、部下の田岡と共に背後関係を探っていた。ウイグルの反政府組織による爆破計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された・・・。陰で糸引く黒幕の正体は?
『太陽は動かない』原作小説の登場人物とキャスト
原作小説の登場人物とキャストをまとめました。
- 鷹野一彦 (藤原竜也)・・・AN通信情報部の情報員
- 田岡亮一 (竹内涼真)・・・AN通信情報部の情報員 (鷹野の部下)
- 青木優・・・AN通信上海支局の文化記者
- 風間武・・・AN通信情報部の部長
- AYAKO・・・謎の美女
- デイビッド・キム・・・鷹野の商売敵
- アンディ・黄・・・香港トラスト銀行の頭取
- 五十嵐拓・・・民主党の代議士
- 丹田康祐・・・五十嵐の秘書
- 広津陸・・・太陽光パネルの改良版を作った人物
- 河上満太郎・・・MET (日本の大手電気メーカー) の取締役
登場人物が個性的でした。主人公・鷹野や田岡もそうですが、ハンサムなデイビッド・キムに、謎の美女・AYAKO。
代議士・五十嵐と丹田コンビも良い味だしています。最初は登場人物があまり好きになれなかったけど、最後まで読むと愛着が持てました。
『太陽は動かない』感想・レビュー (ネタバレ)
様々な要素がてんこ盛りでした。正直、リアル感に欠ける展開です。でも読んでいくうちに面白くなってきました。
【産業スパイ】AN通信・鷹野&田岡コンビの過酷な活動

『太陽は動かない』は 産業スパイ小説です。
企業の秘密情報を不正に入手して高値で売りつける人たち。
情報を欲しがっている人はたくさんいますからね。
AN通信は 表向きアジアの情報を発信していますが、裏ではスパイ活動をしていました。主な諜報員は鷹野と田岡です。
危険な状況にあると分かれば、俺たちは一瞬で消される。
彼らの胸に埋め込まれている爆破装置。タイムリミットは24時間です。連絡が取れなければ爆発します。
恐ろしいですね。
1番の読みどころは過酷なスパイ活動
田岡が拉致されて爆破会場で放置されたり、鷹野が乗ったヘリが撃ち落とされたり、沈んでいく船の中に置き去りにされたり・・・。
映像化が不可能と言われていた本作。原作小説を読んで納得でした。ハードすぎますもの・・・。
これが映画になるのだから楽しみです。
宇宙太陽光発電をめぐる暗躍
香港トラスト銀行頭取のアンディ・黄と中国のCNOXが暗躍を繰り広げます。
アンディ・黄と中国のCNOXが手を組んで、油田より魅力的なものを狙ってるってことですか?
油田より魅力的なもの → 宇宙太陽光発電です。
宇宙太陽光発電(うちゅうたいようこうはつでん、英:Space-based solar power、略記 SBSP)とは、宇宙空間上で太陽光発電を行い、その電力を地球上に送る、というコンセプト、アイデアである。―Wikipediaより
すごい技術ですね。裏で糸を引くアンディ・黄の思惑に気づかずに、日本では国家プロジェクトが進んでいました。
簡単な解説とアンディ・黄の企み

少し展開に混乱したのでまとめました。
簡単な解説
MET (日本企業) は CNOX (中国企業) と手を組み普通の太陽光発電事業を進めていました。政治家も絡んだ国家プロジェクトです。
でもアンディ・黄と裏で繋がっているCNOXは、METの蓄電池技術が欲しかっただけなのです。
METとの計画はフェイクだ。・・・・・・最初から、旧式の太陽光発電になんて興味がない。ただMETが開発した新型蓄電池の技術が欲しかっただけだ
CNOX は MET と組んで普通の太陽光発電事業を進めるが、実はフェイク計画 (蓄電池技術を手に入れるのが目的) だった。全ては CNOX と裏で手を組んだアンディ・黄が宇宙太陽光発電事業で他を出し抜くため。
産業スパイと聞くと顔をしかめてしまうのですが、鷹野たちが抜いた情報は日本の役に立つんです。それによって計画が破綻したりと、様々な人の思惑が渦巻いていました。
世の中に存在している貴重な情報。取扱いは慎重にしないといけませんね。
AN通信の彼らを見なおしました。
ハマれなかった理由
面白かったけどハマれなかった理由を考えてみました。
良かったところ
- スピーディだからドキドキした
- 鷹野の生い立ちが泣ける
イマイチだったところ
展開がワンパターン
- 誰かが敵に捕まる
- 助け出す
これが3回繰り返されます。捕まるのは田岡、鷹野、謎の美女・AYAKOの順でした。
鷹野と田岡の絆が強くなるのが実感できたのには ジーンとしました。・・・が、3回も似たような展開だと もういいかなと。
ホッとした結末と続編『森は知っている』
鷹野&田岡コンビに加え代議士・五十嵐らによって中国の出し抜きは阻止されました。結末にホッとします。
『太陽は動かない』は 続編『森は知っている』『ウォーターゲーム』と続きます。『森は知っている』は 鷹野の過去が描かれているようなのでエピソード0的なお話かな。
気が向いたら読んでみます。



