- 成田名璃子さんの小説『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』あらすじ
- 本の目次と登場人物
- テーマ 「愛」 と 「恋」 について
- 共同台所・すみっこごはんについて
- 『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』それぞれの感想
少しだけネタバレあります。
「愛」 と 「恋」 の物語
成田名璃子さんの小説『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』感想です。すみっこごはんシリーズ3。
涙もろくなったかな。さいきん本を読んで泣いてばかりです。
もくじ
『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』あらすじ
ふんわりと優しい4つの物語
商店街の脇道にある 「共同台所 すみっこごはん」 には今日も様々な人が訪れます。恋愛に無関心なOL、誰にも言えない片思いに悩む高校生、無愛想な常連・柿本、シングルファーザーと結婚したキャリアウーマン。いつでも、誰でも、やさしく迎えてくれるごはん屋さんは みんなの憩いの場でした。大人気シリーズ第3弾。
- 念のための酢豚 (友菜ちゃん)
- マイ・ファースト鱚 (毅くん)
- 明日のためのおにぎり (柿本さん)
- 親子丼に愛を込めて (繭子さん)
東京すみっこごはん3 テーマは 「愛」 と 「恋」
『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』のテーマは 「愛」 と 「恋」 でした。
前半の2つは 「恋」 で、後半の2つは 「愛」 です。初めての恋と誰にも言えない切ない恋、愛によって救われた過去とすれ違う親子愛。
どのお話も最後はほっこりと和むところが心地よかったです。お味噌汁を飲んでひと息つく心地良さに似ていました。
共同台所 「すみっこごはん」 のルール
東京の一角にある共同台所 「すみっこごはん」 はちょっと風変わりなごはん屋さんです。いくつかルールがありました。
- クジで当たりを引いた人が その日の料理当番
- 当番は レシピノートから好きなメニューを選び、レシピ通りにつくる
- 料理がまずくても文句を言わない
- 店の奥の椅子は永久予約席
・・・など。
全くの他人が集まってご飯を作り、食べる場所。楓ちゃんや純也くん、田上さん、金子さん、奈央さん、柿本さん・・・などの常連さんを初め、また新たな人が仲間入りしたりします。
『東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて』感想

4つのレビューを簡単に書きました。
- 念のための酢豚
- マイ・ファースト鱚
- 明日のためのおにぎり
- 親子丼に愛を込めて
「マイ・ファースト鱚」 と 「明日のためのおにぎり」 が良かったです。涙がとめどなくあふれました。
念のための酢豚
コスパ最強女!?
恋愛に無関心なOL・友菜の章
生活のためだけの仕事、コスパの悪い恋愛、結婚には無関心。友菜を見ていると冷めてるなぁ・・・と思いました。コスパが良いって理想かもしれませんが 面白味がなさそうです。
そんな彼女が仕事の上司・牧原さんに恋をするというお話です。友菜とは正反対の情熱的な彼と接するうちに仕事に対する姿勢が変わっていくのが印象的でした。
すみっこごはんで 彼のための酢豚を練習する奈央さんに徐々に影響されていく友菜。心が揺れている描写が可愛いなと思いました。
マイ・ファースト鱚 (キス)
彼が恋したのは彼!?
誰にも言えない片思いに悩む高校生・毅の章
主人公・毅が恋をしているのは同級生の純也でした。でも純也は楓のことが好き・・・。
楓のことが嫌いな毅に 彼女が言った言葉が好きです。
「深町くんには深町くんにしか出せない味があって、それを押さえこんじゃもったいないよ。この世界に、思い切り味を出しちゃうべきだよ」
素敵なことばです。彼にしか出せない味。みんなそれぞれ違う個性の持ち主で、ひとりひとり味があるんですよね。どれが良い悪いではなく。
世界はお味噌汁。人は昆布やワカメなどの具。
東京すみっこごはん1を読んだときに、確かそんな描写があって思い出しちゃいました。
最後は清々しい毅くんが印象的です。辛いことには変わりないけど良かった。・・・鱚の天ぷらが食べたくなりました。
明日のためのおにぎり
柿本とすみっこごはんの出会い
無愛想な常連・柿本の回想の章
すみっこごはんの常連でもある元ボクサー・柿本の過去の回想です。この章も優しくて泣けました。
1番美味しいのは 愛情がこもったごはん。
ごはんと溶け合うおかかの甘み、鮭の旨味。塩加減が、具に合わせて丁寧に加減してあるのが憎い。
手で握ったシンプルなおにぎりですが、とても美味しそうです。愛情を込めて作ったご飯は 食べる人を立ち直らせることもあるんですよね。
無愛想な柿本でしたが、過去の回想とすみっこごはんとの関わりを読むとまた熱い思いが込み上げてきました。
親子丼に愛を込めて
血が繋がってなくても・・・
シングルファーザーと結婚したキャリアウーマン・繭子の章
洋次さんと結婚した繭子が、彼の子供・蓮花ちゃんと本当の親子になれなくて苦しむお話です。
すみっこごはんに通ううちに元気が出てきて、親子丼をつくる描写には鬼気迫るものがありました。でも愛情がこもった親子丼は美味しそうです。
強い思いとお互いを思いやる愛情があれば、血の繋がりはなくても親子になれると信じたいです。
【レビューまとめ】愛情たっぷりの料理
どの料理にも愛情がこもっていました。
酢豚、天ぷら、おにぎり、親子丼。そして楓ちゃんがつくるお味噌汁。
すみっこごはんの常連さんと温かな料理に ほっこりと癒されました。疲れているとき、優しい気持ちになりたいときにオススメの小説です。



