『楽園のカンヴァス』あらすじ・ネタバレ感想文|アンリ・ルソー「夢」原田マハ
- 『楽園のカンヴァス』あらすじと感想文
- アンリ・ルソー『夢』と『夢をみた』について
- 絵画を鑑賞したくなる小説
少しだけネタバレあります。
アンリ・ルソー『夢』と『夢をみた』
原田マハさんの小説『楽園のカンヴァス』感想文です。最初の方はなかなか物語に入り込めず読むのを止めようかなと思ったのだけど、やめなくて良かった。かなり面白かったです!
『楽園のカンヴァス』は、アンリ・ルソー『夢』と似て非なる『夢をみた』の真贋を明らかにしていくヒューマン小説です。
原田さんの言葉でアートを鑑賞できるのが魅力。本を読んでから、ルソー『夢』をみると感慨深いんですよね。
小説で絵画鑑賞できちゃう。
『楽園のカンヴァス』あらすじ
この絵は真作か、贋作か
アンリ・ルソーの大作『夢』。その絵画とほぼ同じ構図で描かれた『夢を見た』が、スイスの大邸宅にあった。ティムと織絵はその絵画が、真作であるか贋作であるかの判定を依頼されるのだが・・・。
『楽園のカンヴァス』ネタバレ感想文
『楽園のカンヴァス』を読みながら、絵画鑑賞をしている気分になりました。
原田マハさんの言葉の魔力がすごいんです。圧倒的な文章力にドキドキがとまりませんでした。
ティムと織絵が絵を鑑定することになった場面から、一気に面白くなったよ。
アンリ・ルソー『夢』と『夢をみた』
『楽園のカンヴァス』には2つの絵が出てきます。
ひとつは、アンリ・ルソー『夢』。この本の表紙にもなっています。有名な絵ですね。
アンリ・ルソーはフランスの画家で『夢』は1910年の油彩画です。
ジャングルの中で長椅子に寝そべっている女の人。その傍らにはたくさんの動物がいて、現実離れした不思議な感じがします。絵を深く理解してもらうためにルソー自身が作った詩があるようですね。
ヤドヴィガが見ている夢なのかな。目を瞑ると笛の音が聞こえてきそう。
もうひとつの絵は、『夢』と似て非なる『夢をみた』です。
『夢をみた』は原田さんの創作ですね。ティムと織絵は、この絵が真作であるか贋作であるかの判定を依頼されるのです。
推理をしていく過程がミステリー仕立てでドキドキだったよ。
『楽園のカンヴァス』で描かれている絵画への情熱。原田さんが描く言葉の一つ一つが素晴らしかったです。
私も美術館にいて、ティムや織絵と一緒に絵画を見ているかのような気持ちになりました。
小説で絵画鑑賞!?言葉の表現力がすごい
アンリ・ルソー『夢』を原田さんが言葉で表現した部分がありました。
それを読むと、実際に絵画鑑賞している気分を味わえるんです。その感覚がとても心地良くて・・・。
原田さんの言葉の表現力はすごいですね。絵画にかける想いが伝わってくる小説です。
『楽園のカンヴァス』はモダン・アートの先駆者、パブロ・ピカソとアンリ・ルソーを深く描いた物語。現代美術の素晴らしさを伝えています。
美術に疎い私でも楽しめたのは原田さんの深い情熱が伝わってきたから。それと文章力にあります。
『夢をみた』をめぐる駆けひきがドキドキだった。
『楽園のカンヴァス』はモダン・アートへの情熱を感じる小説
この作品には、情熱がある。画家の情熱のすべてが。
原田さんがルソーの絵画に感じた想いが伝わる言葉。・・・そう感じられる絵画というものは素晴らしいですね。アートに疎くても楽しめる一冊でした。
モダン・アートに深く心酔したくなったよ。