『朝のリレー』谷川俊太郎【教科書の解説と感想】いつもどこかで朝がはじまっている『マボロシの鳥』との共通点
- 『朝のリレー』全文
- 『朝のリレー』簡単な解説と感想
- 『朝のリレー』と『マボロシの鳥』共通点
いつもどこかで朝がはじまっている。
谷川俊太郎さん『朝のリレー』感想文です。『朝のリレー』は中学校1年の教科書に掲載されていました。ずっと前にネスカフェのコーヒーのCMにもなっていましたね。
実は、絵本『マボロシの鳥』を読んでいたら『朝のリレー』を連想したのです。
小さな頃から好きだった詩だよ。
『朝のリレー』全文
カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき ローマの少年は 柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へと そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
『朝のリレー』解説と感想文|繋がっている朝
『朝のリレー』を読むと世界って広いと感じます。そしてつながっている。・・・安心感があるんですよね。
簡単な解説と感想を書いたよ。
この地球では いつもどこかで朝がはじまっている
『朝のリレー』のこの部分がとても好き。
カムチャツカの若者が きりんの夢を見ているとき メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
小さい頃は、カムチャツカという聞き慣れない単語が印象に残りました。きりんの夢という可愛らしい表現にほっこり。
おなじ時間に存在する自分とは違う人の朝。
不思議な感覚を抱いたのを覚えています。そして、いつもどこかで朝がはじまる。
当時は、この詩の言わんとしていることを理解するのは難しかったのだけど・・・。大人になった今読むと、その表現の素晴らしさに感嘆します。
ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へと そうしていわば交替で地球を守る
時差があるからリレーのようになるのですね。素敵な表現です。どこかで夜を迎えたとしても同じ時刻にどこかで朝がはじまっている。
『朝のリレー』と『マボロシの鳥』共通点|世界の繋がり
谷川俊太郎さんの『朝のリレー』と、太田光さんの絵本『マボロシの鳥』には共通点がありました。
『朝のリレー』と『マボロシの鳥』から連想したのは世界の繋がりです。
『マボロシの鳥』は「この世界は、きっとどこかとつながっている」という人との繋がりをテーマにした絵本でした。谷川俊太郎さんの『朝のリレー』からも世界の繋がりを連想します。
それぞれ全く違うものだけど、読んだあとに感じる想いは一緒でした。
一人じゃないということ。
眠る前のひととき耳をすますと どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
この表現からも感じる人との繋がり。『朝のリレー』を読むと、自分は一人じゃないんだと実感するんですよね。今でもずっと心に残っている詩です。
誰かが送ってくれた朝なら、目覚まし時計の音も嫌いにならずにすみそう。