『注文の多い料理店』教科書あらすじ・読書感想文|山猫軒に学ぶこと|宮沢賢治
- 宮沢賢治さん『注文の多い料理店』あらすじと感想文
- 怖さと面白さ
- 想像力が欠けている紳士たち
- 西洋料理店・山猫軒
- 軽視される命
- くしゃくしゃの顔
少しだけネタバレあります。
山猫軒に学ぶ「命」と「想像力」
学校の教科書でおなじみ、宮沢賢治さんの『注文の多い料理店』です。読書感想文の定番にもなっていますね。
小さい頃以来、読んでいなかったのだけど、また読み返しました。
教科書の名作。
『注文の多い料理店』簡単なあらすじ
若い紳士が2人で猟にでて、山おくに西洋料理店を見つけました。お腹が空いていた2人はお店に入りますが・・・。
『注文の多い料理店』読書感想文
『注文の多い料理店』は、人間の傲慢さと命について描かれています。物語の深さに感嘆しました。
ピリっとした怖さと、マヌケな人間の面白さを感じたよ。
ピリっとした怖さと面白さ
『注文の多い料理店』は簡単に言うと、お腹を空かせた2人の紳士が料理店に入り、逆に食べられそうになるお話です。
怖い。ゲーム『ポポロクロイス物語』の敵にも、そんなのがいたような・・・。
ちょっぴり怖さを感じるストーリーですね。紳士たちがマヌケすぎて可笑しいんです。
可笑しな注文にも首をかしげず、自分の都合の良いように納得してしまうところに笑ってしまいました。
彼らに欠けているのは想像力。
想像力が欠けている紳士たち
不思議な注文がありました。
クリームを顔や手足に塗ってください。
壺の中に入っていたのは牛乳クリーム。美味しそう・・・。なぜ顔や手足に塗らなくてはいけないのかな?変な感じがします。
でも彼らは何も不思議に思わない。読者は、薄々「何かおかしい」と思いながら読み進めるはずです。内心ハラハラしながら。
彼らはどうして気づかないのか?
想像力が足りないのです。助かったから良かったけど、想像することがいかに大切なことかと感じました。
犬がいなかったら、食べられていたかもね。
彼らが入った料理店「山猫軒」は実在するようです。
RESTAURANT 西洋料理店
WILDCAT HOUSE 山猫軒
岩手県花巻市、宮沢賢治記念館の一角にあるのだとか。クリームも置いてあるようで。・・・でもまさか、本当に食べられたりはしないですよね!?
軽視される命
『注文の多い料理店』で描かれているのは、人間の傲慢さと軽視される命です。
主人公の紳士たちに眉をひそめてしまう。彼らは自分より弱いもの(動物)の命を軽視していたからです。
連れていた犬が山で死んでしまったとき、死を悼むでもなく「二千四百円の損害だ」と言い放つ紳士たち。最後には死んでしまったはずの犬が生き返って(?)、彼らを救うのだから面目ないです。
見下していたものに救われるんだね。
彼らがとても哀れに思えました。物事を自分の都合でしか考えない。・・・こうはなりたくないです。
ひょっとして、宮沢賢治さんは彼らを人間の象徴として描いたのかな。ちょっぴり複雑な気持ちになりました。
『注文の多い料理店』シュールな結末|くしゃくしゃの顔になった紳士たち
恐怖のあまり、紙屑のようにくしゃくしゃになった紳士たちの顔はもう元には戻らない。
彼らは食べられずにすんだのだけど、一生消えない傷が残りました。シュールな物語です。
残酷だけど、これで彼らはもう命を軽々しく扱うことはしなくるんじゃないかな。