『夢の果て』あらすじ・感想文|青いアイシャドウの幻想|安房直子|ほんのたび。読書感想文とあらすじ

『夢の果て』あらすじ・感想文|青いアイシャドウの幻想|安房直子

ひだまりさん。
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この記事に書かれていること
  • 『夢の果て』あらすじと感想
  • 青いアイシャドウの魅力と比喩
  • 夢で出会う若者
  • 青いアイリスと花言葉
  • ヒヤリとするラストと青い海

あたしの目が、きっとあたしの運命をひらいてくれる

安房直子さんの童話『夢の果て』感想です。タイトルは可愛いのに、ちょっぴり怖い。でも大好きな1話です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

幻想にのまれた少女の物語。

『夢の果て』のイメージカラーは青。読むと青色が好きになります。

安房直子『夢の果て』あらすじ

安房直子さん短編集

あらすじ

あるところに、とても美しい目をした娘がいました。彼女はやっと13歳でしたが、大人に褒められるたびに、誰が見ても自分は美しいんだと思うようになりました。ところが、ある日のこと。彼女は電車の中で これまで見たことがないほど素敵な目の人に出会ったのです。

収録作品

ほたる、夢の果て、声の森、秋の風鈴、カーネーションの声、ひぐれのひまわり、青い貝、天窓のある家、奥さまの耳飾り、誰にも見えないベランダ、木の葉の魚、花の家、ある雪の夜のはなし、小鳥とばら、ふしぎな文房具屋、月の光、星のおはじき

安房直子『夢の果て』感想文

『夢の果て』をはじめて読んだとき、「青いアイシャドウ」 がめちゃくちゃ魅力的なアイテムに感じたのを覚えています。それをつけたくなるくらいに。

ひつじ。
ひつじ。

「比喩」 と 「色」 の表現が素晴らしい。

安房直子さんの童話で目を引くのが 「比喩」 と 「色」 の表現です。

アイシャドウが比喩によって魅力的に描かれていました。そして物語に登場する色。海の青からは冷酷だけど開放感が感じられます。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

『夢の果て』は 比喩と色のイメージも楽しめる童話。

青いアイシャドウの魅力|安房直子が描く比喩

安房さんが描く 「青いアイシャドウ」 は、私だけじゃなく主人公の女の子をも虜にさせてしまう魅惑的なアイテムです。

物語の主人公は美しい目をした13歳の女の子。周りにチヤホヤされて高慢に育ちました。

あたしの目が、きっとあたしの運命をひらいてくれるわ

ひつじ。
ひつじ。

この言葉どおり、美しい目が彼女の運命をひらいたワケだけど・・・。

女の子は電車の中で、彼女よりも綺麗な目をした若い女性に出会う。その人のまぶたは青かったのです。

青いアイシャドウがその人を、「古い絵の中のなぞめいた肖像のように」 みせていました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

安房さんの、~のように・・・などの比喩表現が好き。

他にも、「スポットライトをあびた芝居のヒロイン」 「どこか遠い国の妖精」 という比喩が描かれています。

青いアイシャドウの比喩
  • 古い絵の中のなぞめいた肖像
  • スポットライトをあびた芝居のヒロイン
  • どこか遠い国の妖精

青いアイシャドウは女性をこんなに素敵に見せてくれます。憧れないワケがありません。

夢で出会う若者

女の子は青いまぶたの女性から青いアイシャドウを買いました。そしてあることに夢中になります。

青いアイシャドウをつけたまま眠ると毎晩同じ夢をみる。

辺りはいちめんの青い花畑。女の子はアイリスの花畑の中を毎晩走っています。花畑の終わりに近づいたとき、その先には1人の若者がいました。

あの人に会うために、あたし、きょうまで走っていたんだ。毎日毎日、いっしょうけんめい走っていたんだ

夢の果てで、彼に出会うために。

こういう夢って、たいがい良いところで目が覚めるものなんですよね。彼の姿が見えたところで目が覚めてしまいます。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

アイシャドウ、もうなくなっちゃったみたい。

彼女は諦めきれず、青いアイシャドウの販売元 「ドリーム化粧品株式会社」 を訪ねます。

でもそこに行くまでに目にしたのは、夢の中と同じアイリスの花畑でした。そして花畑の先には夢で見た彼がいたのです。

ひつじ。
ひつじ。

夢と現実が溶けた瞬間。この後の展開が冷酷なんだけどね・・・。

青いアイリスと花言葉

『夢の果て』には、アイシャドウの他にも青いアイリスの花が出てきます。2つ目の青。

なぜアイリスなのか。

アイリスはアヤメ科で、鮮やかできれいな色の花が咲きます。アヤメ、アイリス、花菖蒲、ジャーマンアイリスなど多種類。

花言葉は 「希望」、「信じる心」、「知恵」、「吉報」 など。

安房さんの『夢の果て』では連想しにくい言葉ですね・・・。不思議に思っていたら、花の色によって花言葉が異なってました。

青いアイリスはジャーマンアイリスというのがあって、花言葉は 「燃える思い」、「情熱」

ひだまりさん。
ひだまりさん。

この物語にピッタリな花言葉、発見。彼女の恋心が花言葉に表れてる。だからアイリスなのかな。

アイリスを調べてると、黄色いアイリスの花言葉が怖いことにも気づきました。「復讐」 ・・・だそうです。

『夢の果て』で描かれているアイリス、黄色じゃなくて良かった。

ひつじ。
ひつじ。

安房さんは青い花が好きなんだね。・・・というより 「青」 が好き?

青い花で思い出すのは、安房さんの代表作『きつねの窓』。桔梗の花が出てきます。

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他にも安房さんの幻想的な 「青」 が描かれている作品は多数。『鳥』『青い花』『だれも知らない時間』もそうですね。

安房さんの童話を読むとき 「色」 を連想することが多い。合わせて色のイメージも楽しめます。

ヒヤリとするラスト|青い海

ラストがまたヒヤリとします。安房さんの童話は幻想的でほっこりするものが多いけど、意外と現実的なんです。

若者と女の子が手を取りあったとき突風が吹き、そのまま2人は崖から落ちて海にのまれて消える。

アイリスの花畑の果てにあったのは、若者と崖と海でした。

ひつじ。
ひつじ。

うわぁ、けっこう衝撃なラスト。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

ピリッとするけど、この結末が物語に深みを出していて好きなんだ。

そして、ここでも青が登場します。『夢の果て』では3つ目、海の青。

アイシャドウ、アイリス、そして海。

海の青からは、冷酷だけど開放感も感じました。安房さんの童話を読むと色のイメージが広がって好きな色も増えますね。

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