『終わらない夜』セーラ・L・トムソン&ロブ・ゴンサルヴェス|想像の世界へ
- 『終わらない夜』あらすじと感想文
- 幻想的な雪のシーツ
- そら高く
- どこまでも続く夜
- 想像がかき立てられる世界観
ロブ・ゴンサルヴェス&セーラ・L・トムソンの絵本『終わらない夜』です。
幻想的な、だまし絵本。
この絵本すごい!!鳥肌がたちました。・・・といっても、怖くはありません。いや、少しだけ怖いか。
不思議な絵本だったよ。
『終わらない夜』あらすじ
眠りとめざめのあいだの時間
あなたをふしぎな世界へと誘う、だまし絵本。
『終わらない夜』感想文
絵本『終わらない夜』は、ロブ・ゴンサルヴェスさんの絵に詩をつけたものになっています。
詩も素敵で、でも感嘆したのは幻想的な絵の世界でした。
幻想的な雪のシーツ
ページをめくると、不思議な絵と詩で始まります。
シーツが雪になっていますね。ザク、ザクと歩く音が聞こえてきそうです。現実と物語の世界観が一体化したような世界。
エッシャーやマグリットのような騙し絵というやつでしょうか。幻想的で素敵でした。
想像してごらん・・・と言われると、想像してみたくなる。
そら高く
部屋のベッドから飛びあがると、はるか上空にいるかのような感覚になります。キルトの布団が畑や林になっている。
この絵本は想像がすべて。
飛行機のように、さながら天使のように空を飛んでいる気持ちを想像しました。
自由気まま。ヒンヤリとして、とても気持ちよさそう。
どこまでも続く夜
絵本『終わらない夜』で描かれているのは「夜」です。
タイトルの通り、終わらない夜。本の中から2つほど紹介しました。すべてが夜の世界です。
だからかな。夢が膨らむと同時に少しヒンヤリともしてしまう。
想像したが最後、現実に戻れないような不安な気持ちにもなりました。想像の世界がずーっと続いていきます。
あまりのすごさに鳥肌がたったよ。
森見登美彦さんの『夜行』を連想しました。永遠の夜が描かれていてヒヤリとする一冊です(森見さんのは、また別の怖さもあるけど)。
「夜」って奇妙なことが起こっても不思議じゃない気がするんですよね。この絵本を見て『夜行』が思い浮かんだのだけど、真っ先に連想したのは、実は違うものでした。
宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』です。
想像がかき立てられる世界観
『夜行』と同時に『銀河鉄道の夜』も連想しました。
思い浮かべたのはアニメ映画の方だよ。ジョバンニやカムパネルラが猫のやつ。
現実世界にいたのに、いつの間にか幻想世界に入っている・・・という感覚になるのが魅力のアニメです。
これらの作品に共通しているのが、どこまでも想像がかき立てられるということと、すんなりとその世界に入っていけること。
『終わらない夜』を読んでいると、しばらく目が離せなくなって、絵に吸い込まれるような感覚になりました。
『終わらない夜』いま始まる冒険の旅
『終わらない夜』は、ヒンヤリと同時にワクワクもする不思議な絵本。
これから冒険の旅に出るような気持ちになりました。ドラクエの主人公みたいですね。
もしも「終わらない夜」に朝がきたら、現実世界に戻ってきてしまうのかな。
がっかりするけど安心もする。そんなことを考える私はひねくれている? そして、あした仕事だから夜が永遠に続けばいいのに・・・とも思いました。