『空にうかんだエレベーター』あらすじ・感想文|幻想エレベーターとうさぎ|安房直子
- 『空にうかんだエレベーター』あらすじと感想文
- 幻想的なエレベーター
- 空想の世界
- ともちゃんの夢と約束
満月の晩に また会いましょう
安房直子さんの童話『空にうかんだエレベーター』感想です。「夢の果て」 に収められている1話。満月の夜に、ウサギに会いに行くとエレベーターが空に浮かんで・・・。
幻想的で憧れる。
『空にうかんだエレベーター』簡単なあらすじ
8つの短編集
子ども服のショーウィンドウに飾られた可愛いうさぎ。ともちゃんは、このうさぎが大好きでした。ある日、ショーウィンドウを見ていると、うさぎの声が聞こえてきたのです。
『空にうかんだエレベーター』感想文
私が読んだのは文庫本 (夢の果て) に収められているものでした。イラストも素敵なんです。
鉛筆の優しく柔らかなタッチが幻想的。味戸ケイコさんのイラストです。
絵本も出てるけど、私にはこの挿絵の方がしっくりくる。
幻想的なエレベーター
子ども服のショーウィンドウにいるウサギ。子供の頃って、お店のショーウィンドウが別世界に思えたものです。
今でもそうかな。百貨店などのウィンドウって、独特の世界観がありますよね。ガラスで仕切られているから別世界に見える。
ともちゃんは、うさぎと満月の夜に会う約束をしました。
次の満月の夜。ともちゃんとウサギはエレベーターにのって、お月さまにいちばん近いところまで行きます。
四角い箱の空にうかぶエレベーター。エレベーターはどんどん上っていきます。
安房さんの手にかかると、エレベーターまでもが幻想的になる。
目を閉じてしばらく思い描いていました。上にはお月様があって、そこから見える夜景は素晴らしいかも。
あれは、風の音
あれは、雲の動く音
あれは、月の光がゆれる音
本当に聞こえてきそう。
空想の世界へ
安房さんの物語を読む時は、いつも途中で目を閉じます。そうすると本の情景がうかんでくる。
エレベーターという身近にあるものを幻想的なものに変えてしまう。独特の世界観があって素敵です。ほんの少しの時間だけど、とても癒されました。
安房さんが描く世界が好き。優しくて温かで、愛にあふれているんだ。
『空にうかんだエレベーター』ともちゃんの夢と約束
空の上で楽しい時間を過ごす、うさぎとともちゃん。ともちゃんは大きくなったら洋服屋さんになる夢がありました。
うさぎさんに、たくさんのお洋服を着せてあげる―。
うさぎと交わした約束が心に響く・・・。
やがて楽しい時にも終わりが訪れます。これも私が安房さんの童話の好きなところなんですよね。最後に、ちゃんと現実に戻る安心感がある。
楽しい時は長く続かないものだけど、だから後から思うと輝いているのかもしれない。
安房さんの物語は、ときに残酷な終わり方をするものもあります。でも今回は素敵なラストでした。
ともちゃんの夢、叶うといいね。
安房直子さん『夢の果て』2冊の違い
安房直子さんの短編集『夢の果て』2冊の違いをまとめました。「空にうかんだエレベーター」が収録されているのは8つの短編集の方になります。
収録作品8つ
収録作品17つ