- エリンケ・バリオス『アミ 小さな宇宙人』あらすじと感想文
- 心に響かなかった理由
- ペドロの元にやってきた小さな宇宙人
- 子どものような大人の世界
- あおい惑星・地球
- 愛の数値化
ネタバレあります。
愛をもって生きるほうが、ずっと楽しく生きられる。
エリンケ・バリオス『アミ 小さな宇宙人』感想文です。さくらももこさんのイラストが可愛い。世界中で翻訳されて人気の本なんですね。
そのことも含めての辛口レビューになります。予めご了承ください。
もくじ
『アミ 小さな宇宙人』あらすじ・評価
理想の愛って何だろう?
宇宙の彼方。少年ペドゥリートが訪れた場所。そこは 決して人を傷つけない世界だった―。
『アミ 小さな宇宙人』ネタバレ感想文|テーマは「愛」
冒頭に注意書きがありました。
まさにこの注意書きに当てはまってしまった私(笑)。大人には、すばらしいことは面白くないってことか・・・。
『アミ 小さな宇宙人』は「愛」について描かれた物語です。共感できたこと、できなかったことがありました。それについてレビューを交えながら語っています。
心に響かなかった理由|共感できたこと、できなかったこと

ハマれなかった理由
マインドコントロールに近いものを感じました。批判しているわけではないけど、理想を押しつけすぎているんじゃないかと。
人を愛することや周りのモノに向ける愛情、母が子どもに向けるような無償の愛など。それらが一番大切で尊いことというのは理解できる。←この辺りは共感。
愛をもって生きる方がずっと楽しいというのも最もです。←この辺りも共感。
でも人の物を盗っても愛があるゆえに許せるとか (←他人に対しての無償の愛ですね)、イマイチしっくりきませんでした。
確かにすべての人が他人に対しても無償の愛を捧げられれば、この世界から争いごとや犯罪はなくなるんでしょうね。嫉妬や相手を憎む気持ちも。
理想と言えば理想だけど・・・。みんながみんな聖人君子っていうのはどうだろう?きれいごとを並べたように感じました。
人って相手を憎んだり嫉妬したり、そんな自分が嫌いになって悩んだりしながら成長していくものです。
ペドロの元にやってきた小さな宇宙人・アミ
もうすぐ10歳になるペドゥリートの元に突然やってきた小さな宇宙人・アミ。勝手に女の子だと想像してたけど、ちがいました。
宇宙船で一緒にたくさんの惑星を回りながら、愛についてを説いていきます。児童文学なので、わかりやすく描かれていますが哲学的なお話。
テーマは 「愛」。それにつきます。
「愛」 については、先ほど感じたことを書いたので割愛します。宇宙船でいろんな惑星を見て回ったりしながら友情を深めていく設定は面白くよめました。
子どものような大人の世界|想像力について

印象的な子どものような大人の世界
アミとペドロが訪れた惑星に遊園地みたいなところがありました。
子ども心を持ち合わせた大人がたくさんいる惑星です。ほんの少しの描写で終わってしまうけど、印象に残りました。
「より進歩した人間ほど、子どものようになってくるんだ」
アミの言葉から連想したのは『ちいさなちいさな王様』です。

王さまの世界では成長するにつれて小さくなっていきます。大人から子どもへ。大人でも子どもが持つような想像力が大切というお話です。
遊園地のような惑星を見ていると、ここの大人たちは想像力や無邪気な気持ちを忘れていないんだと羨ましくなりました。
それが発想になり、創造することに繋がるんです。人の痛みを知るにも想像力は必要。
あおい惑星・地球
ステキな文章がありました。
2人が宇宙に旅立って、そこから見た地球を眺めながらペドロが思っていることです。さくらももこさんのイラストと一緒に書かれていて心に染みました。
イラストにもほっこりします。この文章、さくらももこさんが添えられたのかな。ジーンとしました。
「愛の数値化」に感じた違和感
愛の度数が699以下の人は救ってもらえないのでしょうか・・・。
度数700以上じゃないと見捨てられるということ? ベジタリアンになれというのも・・・。その辺り、なんだかなぁと違和感を感じました。
申しわけないけど共感できません。冷めた気持ちになっちゃった。
確かに愛のある社会は理想で大切ではあります。でもそんなこと分かりきってるから、今さら言われなくても・・・。
アミを通して著者の理念を押しつけようとしているように感じました。愛を数値化するのも受け入れ難く、とても偏った愛ですね・・・。


