- 森絵都さん『リズム』あらすじと感想文
- 幸せな日常と変わっていくもの
- 自分のリズム
- 独特のリズムとリアル感
少しだけネタバレあります
自分だけの自分のリズム。
森絵都さんの小説『リズム』感想です。デビュー作なのですね。ページ数が少ないからすぐに読めました。
森さんの本は、最後に心がほわほわと温まるから良いです。
『リズム』あらすじ・評価
自分だけのリズム
中学生のさゆきは、いとこの真ちゃんが大好きだった。ある日、彼の両親が離婚するかもしれないと耳にしたさゆきだったが・・・。第31回講談社児童文学新人賞受賞作。
『リズム』ネタバレ感想文
子ども目線で描かれた『リズム』は、心が温まる物語です。
中学生のさゆきちゃんと、いとこの真ちゃん。2人のやりとりが微笑ましいんですよね。
幸せな日常と変わっていくもの

何気ない日常がとても幸せだと感じました。
楽しいことばかりじゃなくていろんな悩みもあるけど、過ぎ去った時はもう戻ってきません。そして物事は少しずつ変わっていく・・・。
さゆきちゃんも大人になっていくし、真ちゃんも東京に行ってしまうんです。
ふと、江國香織さんの『ホテル カクタス』が思い浮かびました。そこに登場する帽子が「世の中に、不変なるものはない」と言っていたんですよね。

切なくなるけど、これが世の道理です。まわりは刻一刻と変わっていく。
時々、不安になることがあります。周りが成長してて、1人だけ取り残されているような焦りを感じたり・・・。歳はとりたくないけど成長はしたいですね。
自分のリズム
心に響いた言葉がありました。
おれのリズム。まわりの音なんて関係ない、おれだけのリズム
自分だけの自分のリズム。
私にとってはこれが大事です。・・・たまに人と比べて落ち込むときがあるんですよね。自己嫌悪に陥って、でもふと気づく。
「私は私、人は人」ということに。
独特のリズムとリアル感
森さんの小説は、会話に独特のリズムを感じました。
真ちゃんの両親が離婚すると聞いて、さゆきちゃんが自宅のトイレに一泊したのは、クスクスと笑ってしまいました。・・・可愛いです。
心がホワホワとしながらも、けっこうリアルにグサっとくるところもあって深い一冊でした。



