- 森絵都さんの小説『つきのふね』あらすじと感想
- みんな必死に生きている
- 宇宙船を設計する智さん
- 月の船
- グサリとくるリアル感
- 素敵なラスト
少しだけネタバレあります
みんな必死に生きている!
森絵都さんの小説『つきのふね』感想です。森さん2冊目『カラフル』に続き『つきのふね』を読みました。友だちとの関係、進路のこと・・・。中学生は悩みがつきません。
最近、子どもの目線で書かれた本をよく読んでいます。辻村さんの『かがみの孤城』、森さんの『カラフル』、そして本作。
その影響か学生時代に思いを馳せてしまいました。
『つきのふね』簡単なあらすじ
ファンタジーのようでリアルな物語。
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【簡単なあらすじ】
親友を裏切ってしまったさくら。悩みながらも必死に生きていく姿を描いた青春小説。
『つきのふね』感想
私も中学生だったころは 色んなことで悩んでいました。自分のこともよく分からなくて、周りの目も気にしていました。
みんな必死に生きている

森さんの『つきのふね』を読んでいて感じたのは、みんな必死に生きているということ。
主人公のさくらも、勝田くんも、梨利も、へび店長も、智さんも。物語のはずなのに、それが伝わってくる。すごいですよね。
1999年のノストラダムスの予言。大ブームになりました。地球が滅びるなんて嘘だと思いながらも、どこかで信じていた自分がいて。
宇宙船を設計する智さん
さくらのよりどころ
友だちとうまく行かなくなった主人公のさくら。彼女のよりどころは 智さんのお家でした。彼は造ることのない幻の宇宙船の設計を書いていました。
静かに、けれど確実に精神を病んでいく智さん。彼の家に入りびたるさくらの気持ちがわかります。2人の会話を読んでいると不思議と心が休まるんですよね。
月の船

さくらの後をついてくる勝田くんが良いですね。智さんを救いたい一心で古文書を発見したとうそぶく勝田くんです。
さりげなく、さくらと梨利のことも仲直りさせようとする。
勝田くんの願いが痛いほど伝わってきました。
グサリとくるリアル感
『つきのふね』はリアルな物語
『つきのふね』というタイトルからしてファンタジーっぽいのですが、これはファンタジーではないです。わりとリアルな物語。痛いくらいに心に刺ささりました。
だれだって自分の中になんか怖いもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ
ここで描かれている中学生のさくらや梨利も同じです。幼いから、その気持ちをどうしたら良いのかわからずに持て余してしまう。
大人になった私は、切り替え方も心得ているから落ち込みっぱなしにはならずに済んでいるけれど。それでも勝田くんの言葉にハッとしてしまいました。
満月の夜に・・・素敵なラスト
満月の夜に水城小学校の屋上で
智さんの家によりどころを求める さくら。未来に希望が持てなくなった梨利。幻を追いかける智さん。空回りしてばかりの勝田くん。
素敵なラストでした。生きていくためにはお互い助けあう。そうすれば間違った方向に行ってもまたやり直せます。
森さんの本は 今回も素晴らしかったです。
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