- 道尾秀介さんの絵本『緑色のうさぎの話』あらすじと感想
- 仲間はずれ
- 大事なのは言葉にすること
- 読んだ後に残る切なさ
みんなと違ううさぎのはなし。
道尾秀介さん × 半崎信朗さん『緑色のうさぎの話』絵本の感想です。17歳の時に書いたお話で『プロムナード』に掲載されているようですね。
半崎信朗さんの可愛らしい絵がマッチしています。可愛いけど どこか哀愁ただよう絵。
『緑色のうさぎの話』あらすじ
道尾秀介のせつなく心あたたまる絵本
本の評価
おすすめ
かんどう
ほっこり
せつなさ
【あらすじ】
みんなと色が違う、みどり色のうさぎのはなし。いじめにあったみどり色のうさぎ。彼はある行動に出るのだが・・・。
『緑色のうさぎの話』感想
せ、切ない・・・。可愛い緑色のウサギが主人公のお話です。読みながら泣いてしまいました。
仲間はずれ

主人公は緑色のうさぎ。
周りはみんな白いのに、このうさぎだけ緑色でした。みんなと違うから仲間はずれ。子供の世界にはよくある情景です。見た目が違うからという理由で避けたり 仲間はずれにしたり・・・。
絵本を読んでいると、心がズキンとえぐられるような感覚になりました。
少なからず私にもそんな経験があったからです。子供の頃は見て見ぬ振りをし、大人になった今はどうだろう?知らずのうちに人を傷つけてしまっていることがあるかもしれません。道尾さんの本は心が揺さぶられます。
もう ひとりぼっちは いやだ・・・・・。
切なくなりました。外見が違うというだけで仲間はずれにされて、みんなと同じになりたいと願う。
人もうさぎも誰ひとり同じではありません。みんな同じだったら、それはそれで気持ち悪いです。個性がなくなってしまいます。
言葉にするって大事
思い詰めていた主人公は、ある行動を起こしてしまいます。でもそれがきっかけで180度、物語は変わるのです。良い方向に。
仲直りです。・・・良かった。安心してまた泣けてきました。緑色がうさぎの個性だと周りが分かってくれた瞬間。言葉って大事だなと思いました。
でも喜んだのもつかの間。緑色のうさぎには更なる試練が待っていました。
読んだ後に残る切なさ

読み終わったときに切なくなりました。そして悲しく儚い。こんなことを書くと結末が想像できてしまうかもしれません。リアルな感じがしました。
楽しい時間ほど あっという間に過ぎていってしまいます。ずっとそのままでいたいのに叶わない。過ぎゆく「時の儚さ」が感じられました。
楽しさを1度でも味わったことで感じる孤独感。だったら初めから楽しい時をナシにしたいとは思いませんが、道尾さんらしい結末ですね。
精一杯、今を生きる
楽しいことがあっという間に終わってしまうなら、精一杯たのしもうと思いました。
『緑色のうさぎの話』は 物語のようであって人の人生を描いているかのような現実感があります。17歳の時に書いたのだから道尾さんは凄いですね。
悩み、楽しさ、孤独、儚さ。
それらがあったからこそ精一杯生きようとする気持ちになれる。
こちらもオススメ


