- 安房直子さん『ハンカチの上の花畑』あらすじと感想
- つぼの中の住人と約束
- シルバニアファミリーを連想したこと
- 小人の世界
- 安房直子さんが伝えたかったこと
ハンカチの上の幻想世界。
安房直子さん『ハンカチの上の花畑』感想です。1枚のハンカチの上に広がる幻想世界。・・・実はこのお話、ファンタジーなのですがちょっぴり怖いんです。
『ハンカチの上の花畑』あらすじ
不思議な小人の世界
本の評価
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【あらすじ】
良夫さんが、おばあさんから預かった古い壺。その中には小人の家族が住んでいました。1枚のハンカチの上にくりひろげられる小人の世界。
『ハンカチの上の花畑』感想
安房さんの作品の中では1番ゾッとしました。それだけに印象の強い物語です。
つぼの中の住人と約束
良夫さんが おばあさんから預かった古い壺。その中には5人の小人がいました。お母さん、お父さん、3人の子供たちです。
青いハートの刺繍が隅に入った白いハンカチを広げてその上に壺を置きます。そして歌を歌うと小人たちが出てくるのです。
小人たちは菊の苗を植えて 菊からできる菊酒を作っていました。その光景を想像すると ほのぼのします。
小さい頃は シルバニアファミリーが家にあって、それを眺めてほんのりしていました。小さい家の中にシルバニアファミリーがいて・・・。
ハンカチの上に広がった菊畑からできるお酒はとても美味しいものでした。おばあさんは良夫に壺を預けるのですが 2つの約束をします。
- 小人のことは秘密にすること
- 菊酒で金儲けをしてはいけないこと
それを破ると良くないことが起こるのですが、約束を破ってしまうのです。
小人の世界

良夫さんと奥さんは、おばあさんとの約束を破った罪悪感からビクビクして暮らすようになりました。そんなとき、ある広告を目にします。
『郊外の緑の中の家。あしたから住めます』
彼らは逃げるように移り住みます。電車に乗ってトンネルを抜けて。異世界への入口です。
2人が住む家の隣はもう一軒家があり、そこに住んでいたのは・・・なんと小人たちでした。
約束を破った2人を待ち受けていたのは小人の世界です。そこにはその家族以外、誰もいませんでした。
小人の国の空は、まっ青でした。ちぎれちぎれの白い雲が、とんでいました。けれども、ああ、これは、ほんものの空なのでしょうか。今もし、この土地を、上から見おろしている人がいたら・・・・・
ここの部分を読んだ時 ゾッとしました。
私が今いる世界も誰かが見おろしている世界かもしれない。小さい頃 シルバニアファミリーを上から見おろしていたように・・・。思わず天井を見上げてしまいました。
安房直子さんの物語は、時たまそんなことがあるんです。それでもやっぱりファンタジーで幻想的な異世界に憧れを抱くのですが。
『ハンカチの上の花畑』で安房直子さんが伝えたかったこと
『ハンカチの上の花畑』は 約束を破った奥さんのえみ子さんの欲深さが描かれています。
現実世界に戻ってきたのか来れなかったのか。
ここでは書きませんが、1度でも安房さんの幻想世界に足を踏み入れるとその虜になります。私みたいに。
1枚の魔法のハンカチの上で繰り広げられる幻想世界。安房さんの文章は魔法のような力があります。不思議で憧れを抱いてしまうような世界でした。
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