ふしぎな世界

『アライバル』ショーン・タン【感想】文字のない絵本/想像の世界へ・・・

文字のない絵本

ショーン・タン『アライバル』The ARRIVAL

1文字もない絵本というのを初めて読みました。絵だけで深い感動を味わえる想像で読む本です。

図書館で借りたのですが、普通の絵本の大きさを想像していた私は、デカイ!!とびっくりしてしまいました。しかもずっしりと重い・・・。でも読み終わってから思ったのですが、この本はこれくらいの大きさの方が良いのかも。雰囲気も味わえるし、絵がコマ割りになっていたりするのであまり小さいと見づらくなるかも。

『アライバル』あらすじ

想像で読む絵本

『アライバル』
おすすめ
かんどう
ほっこり
せつなさ

【あらすじ】
移民をテーマに繰り広げられる物語。想像でよむ文字のない絵本。

『アライバル』感想

『アライバル』は 、新たな地を目指して移民した者が新天地で人生を切り開いていくお話です。言葉がないのにたくさんの物語が詰まっていました。

新たな地を求めて・・・

主人公は新天地を求める1人の男。愛する家族のために1人で見知らぬ地へと足を踏み入れます。

愛する家族の写真。折り鶴。娘が描いた家族の絵・・・。

一つ一つに思い出が詰まっていて胸がキュンとなりました。

特に家族の写真を大事に包んでカバンの中へ入れる絵や、娘のために折った折り鶴からは家族への愛が感じられます。たった1枚の写真を持って男は旅立ちます。家族と離れ遠い異国へ・・・。

人の表情がとても豊かなんですよね。

登場人物たちが語りかけてくるようでした。絵自体は色がなくモノトーンなんですが、どこか温かさを感じます。繊細でしっかりしたタッチなのに少しも硬さは感じない。

すうっと絵本の世界にひきこまれるんです。・・・不思議な感覚。コマ割りになっているからか映像を見ているかのようでした。言葉がなくても胸がキュンとしたり温かい気持ちになったりするものなんですね。

ファンタジックな世界観

ファンタジックな世界

絵本で描かれている新天地は不思議な生き物がいたりと、どこかファンタジックな世界。その独特な世界観が素敵です。不思議がたくさん詰まっていて、でもどこか懐かしさを感じてしまうような くすぐったい心地がします。

テーマは「移民」です。

見知らぬ地というのは不思議な感じがするものなのかもしれませんね。

過去を捨てて、そこで生活しないといけないという重圧と期待。

ショーン・タンの作品は、マレーシアから西オーストラリアに移住した経験を持つ父親の影響を受けているようです。文化も暮らしも全然ちがうから、ポツンと1人紛れ込んでしまったような不安な気持ちになってしまう。主人公の男の戸惑いが感じられました。胸が張り裂けそうです。

出会い

初めての地に戸惑いを感じてしまう男ですが、新たな出会いがありました。右も左も分からない彼に優しく手を差し伸べてくれる人々に温かさを感じます。その人たちも故郷を追われて、そこに住み着いた人たち。

様々な人の過去が描かれていて、本の登場人物ひとりひとりに物語があるんだなと しみじみしちゃいました。自分が苦労した分、人の痛みがわかるから人に優しくできる。人々の苦難と優しさの両方を感じます。

『アライバル』想像で味わう悲しみと喜び

この絵本からは悲しみと喜びが感じられました。そして家族と暮らせる幸せな気持ちも。絵を眺めていくだけなのに、たくさんの感情や物語が伝わってくるんです。

読み終わってから、しばらく目を閉じてその世界の余韻に浸っていました。とても心に染みる絵本。言葉がない分、とらわれずに自由に読むことができます。人によって様々な感想がありそうですね。忘れられない物語になりそうです。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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