- 佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』あらすじと感想
- 悲しまないネコ
- 幸せ時間
- なぜ生きるのをやめたのか?
- 彼女のいない世界
少しだけネタバレあります。
心温まる不思議な猫の物語
佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』感想です。昔よんだことがあったのですが、また読みたくなって借りてきました。
『100万回生きたねこ』あらすじ
100万回死んで、100万回生きた猫のお話。
100万回死んで、100万回生まれかわったとら猫。ある日彼は1匹の白ねこと出会い・・・。
『100万回生きたねこ』感想
100万回死んで 100万回生きた猫。彼が最後にもう生き返るのをやめたのは、どうしてだと思いますか?
これには様々な解釈がありそうです。・・・ちょっぴり切ないけど心が温まる素敵なお話でした。
悲しまないネコ

ある時は王様のもとで、またある時は船のりのもとで、またある時はサーカスのもとで・・・。
猫が死んだとき周りの人はみんな悲しくて泣きました。でも彼は1回も泣かなかった。王様も船乗りもサーカスも嫌いだったんです。
彼が好きだったのは自分だけでした。
そう思いましたが、最後まで読むと彼が愛おしくて愛おしくてたまらなくなります。
幸せ時間
自分しか愛せなかった主人公は、ある時1匹の白い猫と出会います。そして恋に落ちる。やがて子供がたくさん生まれ幸せな時が訪れます。
はじめて他者を愛することを知った主人公。ただ無意味に100万回生きるよりも 愛する人と生きる方が幸せですね。
でも幸せな時って長くは続かないものです。やがて訪れる死。白い猫は死んでしまいました。
なぜ生きるのをやめたのか?

こんなにも人の心をつかんで離さない絵本はありません。最愛の相手を失った主人公は泣き崩れます。今まで誰も好きにならず涙も流さなかった彼が。
彼は生きるのをやめました。
なぜ やめたのだと思いますか?
- 彼女がいない世界では生きていても意味がないと思ったからか。
- 彼女と一緒にいたかったから死を選んだのか。
- 生きていくことに絶望したからなのか。
彼女のいない世界
もし彼女に出会わなかったら。
彼は今でも死んだり生きたりを繰り返していたかもしれません。ずーっと。決して誰も好きにならず愛情も知らずに・・・。でもそれって幸せなことでしょうか?
ただ無意味に100万回を生きるよりも、たった一度きりでも愛情を知る人生の方が充実している。
愛する人と過ごす幸せを知った彼。彼女のいない世界は生きていても意味がないと思ってしまっても仕方がないですね。
ラストに共感!
彼に生きて欲しかったのか、そうでないのか。自分でもよくわかりませんが、このラストに共感する私がいます。
きっと天国で仲良くやってるよねと願いながら本を閉じました。


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