- 絵本『つみきのいえ』あらすじと感想
- 海の上の不思議な家
- おじいさんの回想
- 思い出がつまった家
- アニメ『つみきのいえ』
うみのなかにわすれものをとりに。
『つみきのいえ』絵本
絵・加藤久仁生
文・平田研也
『つみきのいえ』は 2008年に発表された12分の短編アニメーションです。
私が目にしたのは絵本バージョン。ほのぼのとした絵が可愛く、切なさがこみ上げてきました。
別館『アニメの缶づめ』では、アニメーションのレビューも書いています。
『つみきのいえ』あらすじ
きっと切なさに涙する
水没しかけている街に、おじいさんは1人で住んでいました。ある日、彼は物を下に落としてしまい・・・。
『つみきのいえ』感想
海の上に建つ不思議な家。お爺さんは たったひとりで住んでいました。なぜ今もそこに住み続けるの? 絵本を読みながら不思議に思いました。
海の上の不思議な家

おじいさんの家は海の上にあります。
水没しかけている街。淡く優しいタッチの絵ですが少しもの悲しさを感じます。他の住人は ほとんど出ていってしまったようですね。
積み木のように上へ上へと建てていく。想像すると、とても不便なんです。なぜおじいさんは、こうまでして住み続けるのでしょうか? しかも、ちっとも寂しそうではないんですよね。
おじいさんの回想
切なくて泣いてしまいました。
ある時、お爺さんは下の階に物を落としてしまいます。(映像ではお気に入りのパイプですが、絵本では大工道具になっていました) 潜水服を着て探しに行くのですが・・・。
落し物は3つ下の家にありました。その時にふと過去の出来事を思い出します。
お婆さんが亡くなった日のこと。
お爺さんはさらに下の階へと潜っていきます。最愛のおばあさんとの思い出がつまった家。下の階へ、下の階へ・・・。たくさんの出来事を回想します。
町でカーニバルがあったこと。子供たちが孫を連れて遊びに来たこと。お婆さんが美味しいパイを焼いたこと・・・。
心の奥に仕舞われていたものが次々と溢れ出てきたんです。
家にはたくさんの思い出がつまっていますよね。たまに実家に帰るとホッとする自分がいて。そこには 私の部屋があり、小さい頃使っていた机があります。思い出とともに。
懐かしさを感じました。おじいさんもそうなんじゃないかな。
思い出がつまった家

「つみきのいえ」には お爺さんとお婆さんの思い出がたくさんつまっていました。
悲しいことばかりではなくて、楽しかった出来事や嬉しかったこと。むしろそっちの方がたくさんあるのでしょうね。だからお爺さんはひとりでも楽しそうにしているんです。
思い出とともに、おばあさんと一緒に生きている。過ぎ去った日を思いながら強く生きていこうとするお爺さんの生き方に勇気を貰えました。
心の中にはいつも最愛の人がいて。海の中に忘れ物をとりにいくように、ふとした瞬間に思い出す。
この家は不便かもしれないけど、おじいさんにとっては宝物。これからもずっと積み木の家で暮らしていくんだろうな。
アニメ『つみきのいえ』心に染みる12分間の映像

12分間のアニメーションは、絵本よりもさらに寂しさ倍増ですが心に染みます。
YouTubeでも見れてしまうんですよね。でも感動してDVDを買ってしまいました。
お爺さんの失った時間。もう決して戻ることのない日々の回想シーンは泣けます。その後に現実にお爺さんがひとり佇む姿が切ない。
セリフがなく映像とBGMだけで展開されるストーリーですが、主人公の気持ちや人生が十分に伝わってきました。鉛筆で描いたような絵のタッチは 力強さと儚さが感じられて好きです。
物語を深く理解するためにはナレーションありのタイプも良いと思いますが、映像だけのタイプの方がしっくりくるんですよね。余計な言葉はいらない。
最愛の人を亡くした方が見ると大泣きしてしまうかもしれません。とても素敵なアニメーションでした。
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