『カラフル』あらすじと読書感想文・名言|愛にあふれた世界と天使のプラプラ|森絵都
- 『カラフル』あらすじと感想文
- 死んだはずのぼくと天使のプラプラ
- 心が揺れた、ひろかの言葉
- 見えているようで見えていなかった愛
- 『カラフル』名言
- ホッとする結末
少しだけネタバレあります。
カラフルな愛おしいこの世界。
森絵都さんの小説『カラフル』あらすじと感想文です。黄色の表紙が目をひきますね。とても素敵な物語でした。
コメディ・タッチだから軽く読めるけど、しっかりと心に響くものがある。
心がほわほわと温まって、でもリアルにグサッともくる。1冊読んで、すっかり森さんのファンになりました。
読んでよかった。
『カラフル』簡単なあらすじ
心が疲れたときにおすすめ
「おめでとうございます! 抽選にあたりました! 」死んだはずのぼくの元に現れた天使。抽選に当たったおかげで、自殺を図った中学三年生の少年、小林真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうちに、家族やクラスメイトとの距離が変っていく。
『カラフル』ネタバレ感想文|ハートフルな青春小説
『カラフル』は、ハートフルな青春小説です。
10代向け(?)児童文学だけど、大人が読んでも楽しめる物語。読み終わったあとに自分を見つめ直したくなりました。
世界は自分に向けられた愛であふれているんです。
でももし、愛に気づかないで死んでしまったら・・・? この物語の主人公「ぼく」、そして小林真くんがそうでした。
なかなか深いんだ。
人生に再挑戦!?死んだはずのぼくと天使のプラプラ
主人公の「ぼく」は前世の罪を思い出すために、人生に再挑戦することになりました。自殺した小林真の体にホームステイして・・・。
ガイド役の天使のプラプラがいい加減で可愛いんだよね。
死んだはずの「ぼく」の魂に明るく語りかける天使のプラプラです。
死んでも生き直せるんだったら、私も望むかもしれません。・・・抽選に当たったというのがクスッと笑えますが。
真くんは自分にも周りにも絶望して自殺をした少年でした。
母の不倫が発覚し、父にも不信を抱き、兄にはいじわるをされる。極めつけは好きな女の子の裏の顔を知ってしまい人生がイヤになる。
些細なことのように思えるけど、まだ中学生の彼には人生を左右してしまうような大事です。・・・悪いことって重なるものなんですよね。
心が揺れた、ひろかの言葉
真くんが好きだった、ひろか。明るく可愛くて援助交際をしていた彼女の言葉に心が揺れました。
ひろか、きれいなものが好きなのに、すごい好きなのに、でもときどきこわしたくなる。ひろかの手でぐちゃぐちゃにこわしたくなる
ひろかの気持ちがわかる。
中学生の頃って、思えばいろんな悩みを抱えていました。今考えると小さなものだけど、その頃はその世界が全てなんですよね。
自分のことがわかっているようで、わかっていなくて。自分を正当化したり、自分の醜いところに気づいて愕然としたり。
そうしているうちに私はこんな人間で・・・と、折り合いをつけていけるんです。
見えているようで見えていなかった愛
自分がいっぱいいっぱいの時って、周りが見えていないから独りで生きているような孤独感を感じたり・・・。
今までそれに気づかなかったこともあるかも。
主人公の「ぼく」は最後に気づくんです。不倫していた母も、不信を抱いていた父も、いじわるだった兄も、真に対する優しさであふれていることに。
真には一色しか見えていなかった。
この物語では自殺した彼のかわりに「ぼく」が気づくことができました。でも気づかずにそのままだったらと思うと怖くなります。
『カラフル』名言
心に響いた文章がありました。
人は自分でも気づかないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。どれがほんとの色だかわからなくて。どれが自分の色だかわからなくて
自分の色って、今でもよくわからない。
綺麗な色、くすんだ色・・・。いろんな色で成り立っている私だけど、大人になるにつれてカメレオンのように保護色に染まることも上手くなる。自分にはこんな色もあるんだと発見すると楽しいです。
カラフルな人が作る世界だから、世の中はカラフル。
人と関わることで愛を感じたり憎悪を感じたり。でも自分の視界が狭いと、その片方しか見えなくなってしまう。自殺した真くんのように・・・。
そんな時は世界が一色に見えるかもしれません。でもそれは思い込みで、ほんとうは周りの優しさや愛であふれていて世界はカラフルなんです。自分が気づかないだけで。
一色の世界なんてイヤだよね?
『カラフル』ホッとする結末
真くんの体にホームステイした「ぼく」は、最後に前世の罪を思い出します。
彼の罪とは・・・?輪廻転生した「ぼく」はどうなってしまうのか。
ラストの展開は予想ができたけど、その通りになってホッとしました。
周りにいる人の様々な色を見ることができるように、独りよがりにならずに生きていきたいものですね。
いつも人の優しさや愛を感じれる人間(ひつじ)でいたいと思った。