『少年アリス(改造版)』あらすじ・ネタバレ感想文|美しい言葉に魅入られて|長野まゆみ
- 『少年アリス』あらすじと感想文
- 夜の理科室と人の子ではない生徒たち
- ブリキの月と貝の星
- 繊細で美しいことば
少しだけネタバレあります。
繊細で美しいファンタジー
長野まゆみさんの小説『少年アリス』(改造版)感想文です。『少年アリス』改造版は、『少年アリス』を大幅に改稿したものです。長野まゆみさんの独特な世界観を存分に楽しめました。
幻想的なファンタジー小説。
世界観が素敵なんだ。
『少年アリス』あらすじ
ファンタジー小説
本を教室に忘れてきた蜜蜂は、友人のアリスと共に、夜の学校に忍び込む。誰もいないはずの理科室で不思議な授業を覗き見た彼は教師に獲えられてしまう……。
『少年アリス』ネタバレ感想文
『少年アリス』は幻想的で素敵なファンタジーでした。
「理科室」や「カラスウリ」「二人の少年」など、宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』を思い描きますね。
あの世界観に似てる雰囲気で良かったよ。
夜の理科室と、人の子ではない生徒たち
『少年アリス』は2人の少年が登場します。アリスと蜜蜂(みつばち)です。
名前からして中性的な感じがするアリス。長野さんが描く男の子は美しいイメージで好きです。
蜜蜂が忘れてきた本を取りに行くために、彼らは耳丸という犬と一緒に学校に忍び込みました。夜の理科室で奇妙な光景を目にするのです。
授業を受けている見知らぬ生徒たちの姿・・・。
夜の学校って不思議なことが起こりそうな予感がするし、ちょっぴり怖い。
そっと様子を伺っていたアリスは、先生に見つかってしまいます。人の子ではない生徒たちと不思議な授業。不思議な世界に足を踏み入れてしまったようです。
「ブリキの月」と「貝の星」
生徒たちが作る「ブリキの月」と「貝がらの星」が幻想的で素敵でした。
生徒たちは、空に浮かぶ月と星を作っていたのです。・・・夜に空を見上げて、あの月と星も生徒たちが作ったのかもしれないと想像して楽しくなりました。
ファンタジーを読むと、その不思議な世界に憧れを抱かずにはいられなくなりますよね。
これもひとえに、長野さんの独特で美しい文章表現にあるんだろうな。
『少年アリス』繊細で美しいことば
長野さんが描く言葉が美しい。
独特な表現力は自然に異世界へと導かれます。冒頭から素敵な表現で、長野ワールドに引き込まれました。
『少年アリス』は花や鳥などの名前が至るところにでてきて、自然美を感じる作品でもあります。
言葉って美しいと思いました。絵と一緒に花の色も浮かんできます。
改造版の前の『少年アリス』も読みたくなる。