『かがみの孤城』あらすじ・読書感想文|感動の結末!辻村深月ファンタジー小説

- 『かがみの孤城』あらすじ・読書感想
- 7人の子どもたち
- 願いの鍵さがし
- マサムネの決意
- 圧巻のラスト
少しだけネタバレあります。
読書感想文にもオススメ!
辻村深月さん『かがみの孤城』読書感想です。2018年、本屋大賞受賞作。辻村さんの本は数冊しか読んだことがないから、最高傑作かは判断できないけど、断言はできます。
これは本当に素晴らしい物語!!

心に響くから読書感想文にもオススメだよ。
他の人のレビューを読んでみたのだけど、「辻村さんの初期の頃の作品に近い」との印象を持った人が目立ちました。初期のころの本も読みたくなってきますね。
『かがみの孤城』あらすじ
ほっこり優しくなれる小説
どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―。
『かがみの孤城』ネタバレ感想文|心に響くファンタジー小説
『かがみの孤城』は、心に響いて泣けるファンタジー小説です。
夢中で読みました。辻村さんが描く子ども心が深いですね。・・・ハッとなるんです。舞台となる鏡のお城がとても素敵な場所でした。

ここで描かれている孤城に行きたい!!
行きたいと願い、そこに集まる7人の子どもたちと一緒に時間を共有している気になる。・・・これは、とても至福な時間です。
かがみの孤城に集う7人の子どもたち

「かがみの孤城」は、学校にもいけず何かしら心に闇を抱えた子どもたちが集まる場所でした。
フリルのドレスをきて、オオカミのお面をかぶった女の子「オオカミさま」がいて。9時から17時の間だけ、カガミでつながっています。

こういう不思議に満ちた場所、憧れるよね。
私は学校には行けていたし不登校ではなかったけど、本当にこんなところがあったら救われる子たちはたくさんいるんだろうな。ここで描かれている子どもたちのように。
リオン以外はみんな不登校児でした。現実世界では会わずにお城の中だけで時間を共有する彼ら。やがて現代へと繋がっていくのは、見事です!

辻村さんが描く子どもたちを見ていると、自分も中学生に戻った気になる。
願いの鍵さがし

孤城で願いのカギを探すことになった子どもたち。見つけたら1人だけ願いを叶えてくれるようです。
願いのカギ探しなんてワクワクしますね。でも1人だけというのが現実的・・・。しかも後半で残酷なことが明らかになるんです。
願いが叶った瞬間、ここで過ごしたことを全部忘れてしまう。
よくある展開だけど、せっかく知りあって仲良くなった友だちを忘れてしまうのはイヤですよね。

願いは叶えたいけど、思い出や記憶を失うのはつらいかも。
マサムネの決意
一緒に過ごす中で、うち解けていく子どもたちが印象的でした。
でも主人公のこころが学校に行かなくなった理由や、その他の子たちの環境も明らかになって心がザワザワします。

子どもの心は繊細なんだ。
学校に行くと言ってケガをして再び孤城に現れたウレシノ。友だちとのイザコザで学校に行けなくなった、こころ。
イジメでも、ひとりひとり事情は違っていて一括りにできないものがありますね。彼らの感情や思いが痛いくらい伝わってきました。
マサムネは、ある相談を持ちかけます。
登校する一日だけ、一緒に学校に行ってほしい。
一日だけ、学校に・・・。リオン以外の6人はみんな、同じ中学校に通っているということが分かったのです。だからマサムネが登校しようと思っている一日だけ。
助け合うこと。
この本を読んでいると、その言葉の重みに気づきます。

どもたちは今まで1人で闘っていたんだ。
カガミのお城でみんなと過ごすうちに仲間意識が芽ばえる。1人ではできないことも誰か一緒だったならば勇気がもらえますよね。
約束をした彼らは、頑張って友だちのために登校しようとします。でも・・・。結果は彼らが望んでいたものにはなりませんでした。
助け合っている世界と圧巻のラスト
彼らがみんな雪科第五中学の生徒だったことには意味がありました。それを書くと壮大なネタバレになるので書かないけど、ラストは圧巻です。
- なぜ雪科第五中学の子どもたちなのか
- オオカミさまの正体
- 願いの部屋と鍵のなぞ
伏線がいたる所にちりばめられていて最後に全てつながるのが気持ち良い。喜多嶋センセイにはびっくりしました。
君は、ひとりじゃないからね。
そんな作者・辻村さんの想いが伝わってくるようです。人との出会いは必然で、この世界に暮らす私たちはお互い助け合っているんですよね。

いま1人で闘っている子に読んでもらいたい。その子の両親や周りの大人にも!


