- 高田大介さんの小説『図書館の魔女』1、2巻あらすじと感想
- 言語学者が描く言葉のファンタジー
- 魔女が奏でる手話と指話
- キリヒトの正体
少しだけネタバレあります。
第1部「図書館の魔女と手の中の言葉」
第2部「地下の羇旅と暗殺者の所在」
高田大介さんの小説『図書館の魔女』1、2巻 感想です。ファンタジーだけど ファンタジーらしからぬ物語でした。
『図書館の魔女』あらすじ
読み始めると止まらない!!
ある日キリヒトは 図書館の魔女・マツリカに仕えることになった。「ことば」 を操る彼女は 自分の声を持たない少女だった―。
『図書館の魔女』1、2巻 感想
これは面白い!!かなりのボリュームですが止まらなくなりました。上下巻あわせて¥5000を越えるという分厚さ。
私が読んだのは文庫版です。
4冊で、4巻目は文庫なのに¥1000する・・・。でも読み始めると厚さは全然気になりませんでした。むしろ最後の方になると読み終わるのが勿体ないくらい寂しい気持ちになりました。
あぁ、終わってしまうと悲しみに暮れて 読み切った満足感を味わいながら、まずは1巻と2巻のレビューです。
言語学者が描く言葉のファンタジー

ジャンルはファンタジー。
でも魔法とかは出てこなくて、代わりにあるのは言葉、言葉、言葉。ファンタジーだけどファンタジーらしからぬ物語でした。
難しい単語が出てくる出てくる。スマホ片手に読み進めました。全部調べていくととてつもなく時間がかかりそうなので、そのニュアンスを想像しながら読みました。
『図書館の魔女』は「言葉」について、どこまでも深く追求しています (それについては 次回のレビューで)。
舞台は一ノ谷の高い塔 (図書館)
山育ちの少年・キリヒトは 高い塔の魔女・マツリカの元に仕えます。この少年がちょっと不思議で愛着の持てるキャラでした。
舞台が一ノ谷の高い塔 (図書館) なのも、本好きの私としては魅力に感じます。マツリカという少女の膨大な知識と、頭の回転の良さに圧倒されました。
図書館に行きたくなってきました。
魔女 (マツリカ) が奏でる手話と指話

テーマは言葉
『図書館の魔女』は「ことば」がテーマの物語ですが マツリカは声を持ちません。「伝える」手段は 手話と指話でした。
手話はわかるけど指話は初めて聞く言葉です。その文字の通り指と指で話すことでした。触れることによって伝える言葉。
2人が手を繋いで「話す」シーンが度々でてきます。マツリカとキリヒトの心がほぐれてきて、想像すると微笑ましい。ほのぼのしました。
キリヒトの正体
前半は和やかに、でもマツリカの慧眼に驚かされながら進んでいきます。
2人の他にも高い塔にはハルカゼとキリンという司書がいます。彼女たちも優秀な人物で良いキャラでした。
ほかの人のレビューでは、前半よりも中盤以降が一気に面白くなると言ったものが多いです。私は最初っからハマってしまいました。
特に彼の正体が明かされてからは・・・。
キリヒトは 不思議な少年でした。文字が書けないのに図書館付きになり、感覚が鋭く微かな音も聞き分けられる。
キリヒトはどうして高い塔の魔女に仕えることになったのか?
2巻目の後半でその理由が明かされます。彼女の命を狙う輩に出くわしたときに一瞬見せた表情。
キリヒトはうすく笑っていた。それは悲しげな、切ない笑顔だった。
この一文を私は後から何度も読み返すことになります。彼の気持ちを考えながら。胸がキュッと締め付けられました。
2人の運命。物心ついた時から彼らには使命があって・・・。そう思うと切なくもホロホロとしました。
至福の時間
次回は3巻と4巻のレビューです。
図書館の敵・ミツクビが遣わす刺客との対決、二ザマ帝とアルデシュとの会談が描かれていて ますます面白くなります。

1、2巻が 「静」 なら、3、4巻は 「動」。物語は一気に動き出します。
存分にその世界に浸っていましたが、まだ浸っていたい!と思ってしまうほど。これから読む人が羨ましい。


