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「風の古道」 恒川光太郎『夜市』より【あらすじと感想】レンに会いたい!美しく懐かしい異世界

この記事に書かれていること
  • 恒川光太郎さんの短編小説 「風の古道」 あらすじと感想
  • 未舗装の道と、ねこバス
  • 美しく懐かしい異世界
  • 古道が生んだ奇跡・レン
  • 人生の分岐点

少しだけネタバレあります。

どこか懐かしい異世界 「古道」

恒川光太郎さんの短編小説 「風の古道」。前回に続き『夜市』より、今回は 「風の古道」 のレビューです。こちらも めちゃくちゃ良かったです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
ホラーだけどファンタジーのような美しくも哀しい物語でした。

「風の古道」 あらすじ

哀しみの余韻がなんとも言えない!

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
7歳のときに初めて迷い込んだ未舗装の道に、友だちと再び足を踏み入れた主人公。そこは大昔から日本にある特別な道だった。限られた人にしか見えない神々の道―。不思議な青年・レンに導かれながら家路を辿る途中でハプニングがおこる。友だちが拳銃で撃たれて死んでしまったのだ。彼らは友だちを蘇生させるために雨の寺へ向かうが・・・。

「風の古道」 感想

「夜市」 も良かったけど、書き下ろしのこちらの方が私好みです。ここで描かれている 「古道」 に懐かしさを感じました。

未舗装の道と、ねこバス

不思議な未舗装の道

大人になった主人公の回想で物語は進んでいきます。7つのときに 彼が迷い込んだ未舗装の道。存在しているのに存在していないような不思議な道でした。

ひっそりと、確かに不思議なそれはありました。まるでそこだけ時間枠がズレているような感じ。それから5年後に、今度は友だちのカズキと一緒に足を踏み入れます。

どうやら古道は 外からは見えないらしい。

宮崎駿さんのアニメ映画『となりのトトロ』を連想しました。正しくは トトロに出てくる 「ねこバス」 です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
「ねこバス」 も、中からは見えて外からは見えないんですよね。
ひつじくん。
ひつじくん。
あの世界観に憧れたな。今でも 「ねこバス」 乗りたいと思うくらい。

20代の方は トトロ、知ってるかな? 私世代では 知らない人はいないというくらい有名なアニメ映画です。1988年上映なので、もう30年くらい前なんですね。

美しく懐かしい異世界

ホシカワの願い

恒川さんの描く異世界は美しく懐かしい気持ちになります。

トトロを連想したからかな。一度足を踏み入れたら簡単には戻れない 「古道」。怖さも感じますが、それよりも訪れてみたい気持ちの方が勝ってしまいます。

少年たちが出会った青年・レンの回想シーンで、レンとホシカワのやり取りに心が奪われました。

おまえは外の世界に憧れるが、わしは逆よ。こっち側が好きなんだ。ずっと願っていた。土になるならこっち側の土になりたいとな。

おまえ→レン。わし→ホシカワです。古道で生まれたレンは、決して外の世界には行けません。対してホシカワは外の人間です。

ホシカワの気持ち同様に 異世界に美しさと憧れを感じます。・・・でも どうだろう。永久に 「古道」 で暮らすとなると躊躇してしまうだろうな。主人公の気持ちがわかります。

古道が生んだ奇跡・レン

「古道」 には決まりがありました。

古道の所有物は 決して外の世界には持ちだせない。

そこで生まれたレンは古道の所有物。死ぬまで古道を旅する永久放浪者です。

最後の方で レンの出生の秘密が明らかになりました。それを読むと ここは不思議な場所だなと思います。誰にでも開かれるわけではないけど、それが開かれたとき奇跡は起きる。

「となりのトトロ」 でサツキがメイを探すとき ねこバスが現れたように。「風の古道」 で母が恋人を失ったとき 道が開かれたように。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
誰かを想う強い思いがあれば奇跡は起こるのかもしれませんね。

主人公の少年も奇跡を望むひとりです。

カズキが拳銃で撃たれて死んでしまいます。雨の寺という場所で生き返らせることができると聞いた彼らは、奇跡を願い旅を続けます。

カズキを生き返らせることはできるのでしょうか?

人生の分岐点

異世界が 「道」 というところが乙な感じです。

様々な分岐点があって、どこまでも続いている。古道を旅し続ける永久放浪者・レンですが、私たちもみんな永久放浪者のようなものなのかもしれません。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
私の人生にも 様々な分岐点があります。

歩いて走って時には立ち止まりながら、永遠に人生の古道を旅し続ける。レンと自分を重ねて見ていました。

決して自分の古道からは出られないけど、外からやってきた少年たちと旅するように2人になったり、また独りになったり・・・。

そんなことを考えてると、1冊の絵本が思い浮かびました。阿部海太さん『みち』です。

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幻想的な世界に魅了された1冊でした。人生の歩む 「みち」 がテーマの絵本。

恒川さんが描く 「みち」 も感慨深かったです。神々の道、死者が歩く道、はたまた妖怪たちの道・・・。

ホラー感もありますが ファンタジーのような幻想的な世界でもあります。懐かしい気分にもなりました。

『風の古道』は 哀しみの余韻が半端ない結末

恒川光太郎さん『夜市』。表題作に続き、「風の古道」 のレビューでした。

2話とも ラストは哀しみに包まれます。その余韻が何とも言えなく良いんですよね。怖くて美しくて哀しい結末。心が静まり返ります。

レンに会いたいなと思いました。

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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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