『白昼夢の森の少女』あらすじ・ネタバレ感想文|恒川光太郎のダークファンタジー世界|ほんのたび。読書感想文とあらすじ
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『白昼夢の森の少女』あらすじ・ネタバレ感想文|恒川光太郎のダークファンタジー世界

ひだまりさん。
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この記事に書かれていること
  • 『白昼夢の森の少女』あらすじと感想文
  • それぞれの短編のレビュー

少しだけネタバレあります。

切なさと怖さと憧れと。

恒川光太郎さんの小説『白昼夢の森の少女』感想です。10の短編集。

ヒヤリとするホラーファンタジーでした。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

どれも傑作。美しい異世界が魅力だよ。

『白昼夢の森の少女』あらすじ

ダークファンタジー短編集

あらすじ

人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは―。(表題作「白昼夢の森の少女」より) ダークファンタジー10の短編集。

本の目次
  • 古入道きたりて
  • 焼け野原コンティニュー
  • 白昼夢の森の少女
  • 銀の船
  • 海辺の別荘で
  • オレンジボール
  • 傀儡の路地
  • 平成最後のおとしあな
  • 布団窟
  • 夕闇地蔵

『白昼夢の森の少女』ネタバレ感想文

ショートショートもまじった10話、どのお話も良かったです。

表題作「白昼夢の森の少女」「銀の船」「布団窟」「夕闇地蔵」は異世界感が強くて、恒川ワールドを存分に楽しめた1冊でした。

ひつじ。
ひつじ。

短編それぞれのレビューを簡単に書いてるよ。

古入道きたりて

ひとことで言うと

「古入道きたりて」は、この世のものではない古入道、山をひとまたぎにする巨人がでてくる物語。

背中や肩には森がそのまま載っている。頭の上には帽子のように、塔が建っている

でもあまり怖くありません。どこか懐かしいような穏やかな気持ちになる感覚。古入道が歩くのをしんみり見ているのが好き・・・と言う老婆の気持ちに共感しました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

このお話、けっこう好き。

焼け野原コンティニュー

ひとことで言うと

「焼け野原コンティニュー」は、ゲーム感覚の面白さがある物語。

主人公の男は記憶が消えるのをくり返す。コンティニューしてしまうお話です。

コンティニューとは

ゲームの世界で continue(コンティニュー)と言えば、ゲームオーバーになった時にやり直すこと。

例えば、ロールプレイングゲーム FF(ファイナルファンタジー)では全滅するとゲームオーバーとなります。セーブしたところからもう一度やり直すことになるんですよね。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

何度も記憶が消えるなんて、主人公の立場になってみると残酷。

しかも「プラズマドラゴン」が破壊した世界で。

白昼夢の森の少女

ひとことで言うと

表題作「白昼夢の森の少女」は、恒川さんおなじみの異世界感が強くて不思議なお話。

面白かったです。蔦の中に絡めとられた人々(緑人)と共有の夢(異世界)が魅力に満ちていました。

現在、おおむね二百名ほどの意識が混ざりあい、この共有夢を作りあげている

ここが好き!

夢と現実の境目があいまいなこと。共有夢は穏やかで幸せな世界に感じること。

共有夢の世界が魅力的でした。

銀の船

ひとことで言うと

「銀の船」が1番ファンタジー色が強いお話でした。

空を飛ぶ巨大な船がこの世界に存在すると、ずっと信じていた

時空船ブリガドーン。大人には見えない空に浮かぶ船です。主人公の女の子は船に乗り、終わりのない旅をする。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

船の中で生活すれば不老不死なんだね。

『白昼夢の森の少女』の中では「銀の船」が一番好きです。

海辺の別荘で

ひとことで言うと

「海辺の別荘で」は、椰子の実から生まれた女が父の仇をうち、海辺の別荘にたどり着くお話です。

恒川さんのショートショート。怖さと不思議であふれていました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

椰子の実から生まれるって、桃太郎の椰子の実バージョン。

おとぎ話のような不思議さがあります。でもこの世界では現実のことで、すんなりと溶け込めるところが楽しい。

オレンジボール

ひとことで言うと

「オレンジボール」は、保健室のベッドで目を覚ましたぼくが毬になっちゃう物語。

こちらもショートショート。ボール(ぼく)の視点で描かれたほろ苦ストーリーです。モノを大切にしようと感じた1話でした。

ルル(黒縁メガネの女の子)に拾われたボールが、彼女のほろ苦い青春を共に過ごす。

ボールの視点が優しくてほっこりしました。ボールに心があることを彼女は気づいてないけど、ほんのりと心が温かくなります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

私のまわりにあるモノも、ずっと私を見つめ続けてくれているのかも。

傀儡の路地

ひとことで言うと

「傀儡の路地」は、幽霊やオカルト要素が強いお話です。

ドールジェンヌという人形に操られる人々が描かれていました。これはホラーですね。

―操られている。人形が何かをいう。そうすると、その通りに行動してしまう

ひだまりさん。
ひだまりさん。

想像すると怖い。

小さいころに流行った「こっくりさん」を連想しちゃいました。

こっくりさんとは

何人かで10円玉の上に手をのせて、「こっくりさん」を呼ぶと10円玉が勝手に動くという心霊現象。

ドールジェンヌは、こっくりさんよりも怖いかも・・・。最後まで読むと、ドールジェンヌが可哀想にもなりました。

平成最後のおとしあな

ひとことで言うと

「平成最後のおとしあな」は、他人の家に不法侵入したあげく、地下に閉じ込められてしまう絶望的な1話。

不思議でコミカルなお話でした。恒川さんにしては異色かもしれませんね。

閉じ込められた主人公の元に電話がかかってきます。それが彼女(?)、平成のスピリットでした。

私は平成のスピリットです。時代の終わりにいろんな形でみなさまの前に出現します。そして時代が終わると消滅します

ひだまりさん。
ひだまりさん。

平成が終わった今読むのに相応しいお話かも。

出来れば終わる前に読みたかったけど。平成のスピリットと一緒に、私の平成30年間を振り返りたくなる物語でした。

布団窟

ひとことで言うと

「布団窟」は布団の中が異世界に繋がっている、ちょっぴり怖いお話です。

温かくて居心地の良い布団の中。特に冬は寒いから布団から出たくなくて、時間ギリギリまで留まるのが私の日常です。

恒川さんの手にかかれば、安心感がある布団の中も怖い異世界に早変わり。ぶにょりとした得体の知れないモノに触れたところにヒヤリとしました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

最後は主人公の夢想が語られてるけど、案外、真実だったりするのかもね。

夕闇地蔵

ひとことで言うと

最終話「夕闇地蔵」は、ホラーな異世界が味わえる物語。

もしも見えている世界が人とは違ったら?主人公・地蔵助の見える世界は他の人と違いました。

私の目に映る世界は白と黒。その濃淡で作られています

モノクロの世界。昔の写真みたいな感じ?と思っているとそうでもないらしい。人はみんな真っ黒に見えて、細部はどこかしらぼやけていて曖昧。

地蔵助の視界が気になりました。目を凝らして見る第2の層では人はみんな金色の炎に見えたり、普通の人には見えない不思議な生物(雨蛇さま)がいたり。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

見えてないだけで、この世界には雨蛇さまのようなものが存在してるのかも。

『白昼夢の森の少女』レビューまとめ

『白昼夢の森の少女』10の短編集、簡単な感想でした。

「古入道きたりて」「焼け野原コンティニュー」「白昼夢の森の少女」「銀の船」「平成最後のおとしあな」あたりが好きです。

ひつじ。
ひつじ。

特に「銀の船」が絶品だった。

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