- 高田大介さんの小説『烏の伝言』あらすじと感想
- 仲間たちの強い絆
- 烏を操る鳥飼の言葉
- 追われるものと追うもの
- 心が震えた瞬間
- 「ことば」から見える真実
少しだけネタバレあります。
伝言に託された真実―。
高田大介さんの小説『烏の伝言』感想です。『図書館の魔女』の続編『烏の伝言』。本作も600ページ超えのボリューミーな1冊でした。
続編と言いながらも 主人公や登場人物たちがガラッと変わりスピンオフ作品。前半は物語に入っていけなくて少し戸惑ったけど、中盤から怒涛のごとく面白くなりました。
前作のレビューはこちら。
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『烏の伝言』あらすじ
超弩級リブラリアン・ファンタジー
『図書館の魔女』続編。誰かが誰かを追い、誰かが誰かを裏切っている。裏切り者は誰か?
『烏の伝言』感想
1番強く感じたのは絆の強さでした。
剛力のワカンと、二ザマの近衛隊ツォユ (赤髪) がカッコ良いんです。キャラに深みがあって読めば読むほど好きになってしまう。
不満があるとすれば 本作にはキリヒトが登場しないことです。名前だけは出てきましたが。
仲間たちの強い絆
剛力と近衛と子供たちの集団・鼠。初めはバラバラだった彼らの心が「仲間」として絆を深めていく。「仲間」を見捨てずに助け出すシーンは心を打たれました。
彼らには彼らの弁えがあるんです。
信念に従って行動する姿がカッコ良い。前作とは雰囲気がガラリと違いますが、これはこれで素晴らしい作品でした。
もう1人外せない人物がいます。カラスを操る鳥飼。彼がまた深みがある良いキャラなんですよね。
烏を操る鳥飼の言葉

剛力の仲間の鳥飼・エゴン。左目が潰れていて醜い顔の彼は満足に言葉を話せず、周りからは馬鹿だと思われている人物でした。
読み進めていくと 彼は馬鹿ではないと思い知るハメになります。最後の最後に。
「ことば」というのはただ単に「音」ではないということです。
音はなくとも言葉は存在しています。それを今回も感じました。
追われるものと追うもの
剛力と近衛隊と鼠と廓。追われるものと追うものが描かれています。誰が追われるもので 追うものは誰か? 謎解きのようでした。
裏切り者は誰?真に追われている者は誰?
山の民と兵士と、みなしごたちが港を駆け抜けるのです。猿 (ましら) との場面はヒヤリとしました。ユシャバを助け出すところはスリリングです。
マツリカ様は ここでもマツリカ様でした。
心が震えた瞬間
心が震えた瞬間が2つありました。
【① 黒幕を追い詰めるシーン】
トゥアンが言ったたった一言の言葉に心が震えました。「どうして?」の一言から怒りや悲しみ、やるせなさなど多くの感情が伝わってきます。こんなにも辛い「どうして?」を、私は初めて読みました。
【② 嬉しくて震えた瞬間】
剛力や近衛、鼠たちと途中から行動を共にしていたカロイ。ちょっと怪しい彼の正体が分かったとき。「カロイは・・・だったんだ!!」思わず叫んでしまいました。(←家で読んでて良かった) 嬉しくて嬉しくて。
『烏の伝言』は単独でも完結しています。でも『図書館の魔女』を読んでからの方がオススメ。その方が感動が2倍味わえるからです。
「ことば」から見える真実
前作『図書館の魔女』もそうですが、本作も「ことば」が織り成す物語です。それをかき集めて真実にたどり着く図書館の魔女・マツリカ。今回も読む力は半端ない。
2通の「伝言」が意味するもの。裏切り者は誰か―。
最後に真実が見えてきます。ほんとうにこの小説は怒涛のごとく面白い。今から次作が楽しみでなりません。



