- 多崎礼さんの小説『煌夜祭』あらすじと感想
- 恐ろしくも切ない魔物たち
- なぜ魔物は存在するのか
- 『煌夜祭』解説&ネタバレ (登場人物)
ネタバレあります。ご注意ください。
どうして魔物は こんなに美しくて、こんなに儚げなんだろう
多崎礼さんの小説『煌夜祭』感想です。Twitter でレビューをあげている方がいて、面白そうと思い読んでみました。
SNS ってこういうとき良いですね。ふとした時に目にとまり素晴らしい本に出会ったりもする。
『煌夜祭』あらすじ&登場人物
魔物と語り部の物語
魔物が人を食うという冬至の夜、年に一度の煌夜祭は開かれる。十八の諸島を巡って、世界各地で集めた物語を語り部たちが披露する。恐ろしくも切ない魔物の物語を―。今年もまた冬至の夜になり、二人だけの煌夜祭が始まった。
- ナイティンゲイル
- トーテンコフ
『煌夜祭』感想
切なくて美しい物語でした。これがデビュー作というのだからすごい! 中盤から止められなくなり一気読みです。
ジャンルはファンタジー? ライトノベルのようにも感じる読みやすい小説でした。
「煌めく」 という文字を使った夜祭『煌夜祭』
年に1度、冬至の夜に語り部たちが物語を披露する。それぞれの話は短編ですが、順番に読んでいって1つの長編になるというような感じです。
ラストに向けて全てが1つにまとまっていく様子はドキドキしました。
恐ろしくも切ない魔物たちのお話
主な語り部たちは2人。ナイティンゲイルとトーテンコフです。彼らが話すのは恐ろしくも切ない魔物のお話でした。
ここで描かれているのは優しい心を持った魔物ばかりでした。殺しても死ななくて冬至の夜だけ魔物の姿になり人間を食べる。
彼らは人間を食べたいと思っているわけではないんです。
切なくなりました。
自分は人間だと疑わずに、突然、魔物は生まれてきます。いつか大切な人を食べてしまうかもしれないと恐れる彼らはみんな死にたいと願う。でも魔物は死ぬことができません・・・。
運命は残酷です。だれも好き好んで魔物として生まれてきたわけではないから。
どうして魔物は―こんなに美しくて、こんなに儚げなんだろうな
ほんとに彼らは美しくて儚くみえました。
なぜ魔物は存在するのか

疑問が浮かびました。
なぜ魔物は存在するのか。なぜ死なないのか。
人々から忌み嫌われている彼らだけど、存在しなければならない理由がありました。全てには意味があるということが最後まで読むとわかるんです。
彼らは守りの存在。いなくてはならない存在だったんですね。
魔物として生まれた王子、そして王子に寄り添ってきたクォルンの運命を思うと泣きたくなりました。
魔物が死ねるのは魔物に食べられたときだけ。ガヤンに、「あの人を食べてやってくれないか」 と頼んだクォルン。・・・切ないです。
儚くも美しい物語
不死身な彼らを儚く思いながらも全体的には美しいと感じるファンタジーでした。不思議に満ちていて完成された世界観。
『煌夜祭』解説&ネタバレ (登場人物)
最後まで読むと登場人物たちがこんがらがってしまいました。
・・・ということで思いっきりネタバレになりますが書いておきたいと思います。
こういうことです。
- ナイティンゲイル・・・ガヤン (♂)
- トーテンコフ・・・ムジカ (後のクォルン) (♀)
ムジカに姫と呼ばれていたガヤンですが、男ですよね・・・?
でも最終的にはこうなります。
トーテンコフ → ガヤン (ガヤンはトーテンコフの仮面を受け取り、トーテンコフとして生きていく)



