読み始めたら止まらない小説
ミステリー&ホラー、ファンタジー、古典、SF・・・と、15冊を厳選! どれも逸品で読み出すと止まらなくなる本ばかりです。
もくじ
ドキドキが止まらない!最高のミステリー小説
まずは、ミステリー小説から3作品をピックアップしました。どれも絶品で面白かったものばかりです。
『22年目の告白―私が殺人犯です―』浜口倫太郎
私が殺人犯です。
これほど美しく理知的で紳士的な殺人犯が かつていただろうか―。美しい青年・曾根崎雅人が書いた原稿。それは 時効が成立した事件の犯行を告白したものだった・・・。
映画にもなりました『22年目の告白』です。時効が成立した連続殺人事件の告白本。果たしてそれは出版されるべきなのか―。
藤原竜也さんが美しく理知的な殺人犯を演じています。映画は見ていないのですが 一気読みでした。内容も面白いことながら、
まさに映画向きの作品です。これからどうなるの?と、最後まで気が抜けず寝不足必須でした。意外にもラストはほっこりします。

『三月は深き紅の淵を』恩田陸
読書好きなら共感できる!?
鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話・・・。
『蜜蜂と遠雷』で直木賞を受賞した恩田陸さんの過去作『三月は深き紅の淵を』です。赤い表紙が素敵ですね。幻の1冊の本をめぐる短編集。
『蜜蜂と遠雷』よりも恩田陸らしい・・・というと少し語弊があるかもしれませんが、印象に残っている物語です。「読書」 が日常にある安心感のような気持ちを味わえます。
そして 「三月は深き紅の淵を」 を読んでいるのに、それを読みたくなってしまうような不思議な感覚・・・。これだから読書はやめられません!!

『殺人症候群』貫井徳郎
殺人を犯した者は 幸せな末路など訪れない
捜査課が表立って動けない事件を処理する警視庁内の特殊チーム。リーダーの環敬吾は一見無関係と見える複数の殺人事件の繋がりを探すよう部下に命じる。一方、看護婦の和子は、事故に見せかけて若者の命を次々に奪っていた・・・。
貫井徳郎さんの症候群シリーズ『失踪症候群』『誘拐症候群』に続き3作目になります。『殺人症候群』だけがずば抜けて衝撃作でした。
・・・正直、この本をピックアップするか迷ったのですが、衝撃を受けたのは確かです。かなりヘビーな物語なので好き嫌いは分かれるかもしれません。
テーマは 「復讐の是非」
「復讐」は正義か悪か・・・。殺人者の末路までもがしっかりと描かれており、読み応えがありました。同時に嫌悪感もわきあがり、なんとも言えない複雑な気持ちを味わえます。

貴志祐介のホラー小説が怖すぎる!!
貴志祐介さんの小説は、独特の世界観と止まらない面白さがあります。
イチオシなのが『新世界より』。SF・ホラー長編ですが、間違いなくハマります。今日はそれに続きオススメな2作品を紹介。
『クリムゾンの迷宮』貴志祐介
超過酷なゼロサムゲーム
知らずにゼロサムゲームに参加させられた9人の男女。目覚めたら、そこは知らない世界だった―!彼らの運命は・・・。
とてもスリリングで怖いのですが、読み始めると面白くて止まらなかったです。ドラクエなどのロールプレイングゲームをしているような感覚が味わえました。
目が覚めて見知らぬ場所にいたら? そして過酷なゼロサムゲームが始まるのです。・・・想像するとゾッとする。でもこのドキドキ感がクセになります。

『悪の教典』貴志祐介
もしも先生が殺人鬼だったら?
ルックス抜群の英語教師、蓮実聖司は、生徒に人気の先生。しかし彼は、自分勝手なサイコパスだった・・・。もしも、学校の先生がサイコパスだったら? 戦慄のホラー小説。
貴志祐介さんのホラーと言えば『黒い家』、そして本作『悪の教典』は外せません。背筋も凍るサイコパスの恐怖を描いた物語です。
印象的だったのは 高校英語教師・蓮実聖司の好印象ぶり。身構えて読んでいたら肩透かしをくらいました。・・・さ、爽やか。
油断していると途中からそのサイコパスぶりが発揮されます。後半は怖すぎて夜に読めませんでした。

思わずほっこり、泣ける小説3選
続きまして、ほっこりと癒される小説を集めました。ほのぼのと泣けます!
『かがみの孤城』辻村深月
読み終わったあとに優しくなれる小説
心に傷を負い、家に引きこもっていた中学生のこころ。ある日、突然部屋の鏡が光りだして・・・。
間違いなく本書は傑作!!夢中で読みました。
ジャンルはファンタジーです。様々な理由で学校に行けなくなった子どもたちが集まる孤城。そこにはオオカミのお面をつけた女の子がいて・・・。
辻村深月さんは子ども心を描くのが上手いですね。孤立した子どもたちが打ち解け、助け合うシーンは心がなごみました。最後は圧巻。・・・泣けます。

『カラフル』森絵都
心が疲れたときにオススメ
死んだはずのぼくの元に現れた天使。抽選に当たったおかげで 別の人の体にホームステイすることに・・・。
言わずと知れた名作、森絵都さんの『カラフル』です。児童文学から1冊ピックアップしました。軽く読めますが、しっかりと心に響くものがあるんです。
1度死んだハズの男の子が他人の体にホームステイして、世界にあふれている愛を実感する物語。
自分の視野が狭いと なかなか優しさに気づかなかったりしますが、世界はそれであふれている。愛したり憎んだり、人はさまざまな感情を持っていますね。
この1冊には たくさんの 「学び」 と 「愛」 が 詰まっています。心が疲れたときに読んでみてはいかがでしょうか。

『東京すみっこごはん』成田名璃子
愛情を実感できた小説
東京にある古ぼけたご飯屋さん。そこは、様々な人が集まる 「共同の台所」 だった。美味しいご飯に、心も体も元気になる1冊。
東京にひっそりとあるご飯屋さん。そこは他人同士が使う共同台所でした。
ちょっと風変りな「すみっこごはん」には さまざまな人たちがやって来ます。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人・・・。
食を通して人の優しさが実感できる物語でした。
温かいごはんには 作り手のたくさんの愛情が詰まっているんです。・・・だから美味しい。明日の自分は今日の自分よりマシなんじゃないかと前向きになれる気がしました。
ポロポロと泣けてきます。良書でした。

読み継がれている名作2選
最近よんだ三島由紀夫さんの1冊と、古典から1冊をピックアップしました。これは名作ですね。
『命売ります』|三島由紀夫が描く皮肉とユーモア
ユーモアあり、驚きあり!?
「命売ります」 新聞の広告を見た人たちが、羽仁男の元を訪れる。彼らは羽仁男の命を買おうとするのだが・・・。三島の皮肉とユーモア溢れた物語。
なんとなく堅苦しいイメージがあった三島由紀夫ですが、それが吹き飛んでしまいました。ユーモアたっぷりで読みやすい!!そしてスリリング。
突然 生きるのに疲れて自殺未遂をした羽仁男は 命を売ろうとします。
命を売ろうとするも売れず、死ぬのが怖くなったときには命を狙われる・・・。著者の皮肉を存分に感じた物語でした。羽仁男の死生観や心の移り変わりが興味深かったです。

『平家物語』古川日出男 (訳)|栄華から没落へ
さまざまな人間ドラマ
時代は平安末期。平清盛を主として栄華を極めた平氏一門。しかし、それも長くは続かなかった。源氏により都を追われはじめるのだった・・・。
誰もが1度はふれたことがあるのではないでしょうか。『平家物語』です。敦盛の最期や、弓の名手・那須与一などは 学校の教科書にも掲載されていますよね。
本書は800ページ越え、平清盛をはじめ平家の栄華から没落までを描いたものになっていました。結論から言うと、かなり面白かったです。
建礼門院、安徳天皇、平敦盛・・・、それから源氏サイドから源義経、木曾義仲・・・。源平時代に生きていた さまざまな人々が登場。
決して読みやすくはないけど、人間ドラマが描かれていて・・・。特に安徳天皇の入水、平家が滅びても細々と生きる建礼門院のシーンは ジーンとしました。

一気読み必須!夢が広がるSFワールド5選
最後はSFから5作品をご紹介。どれも夢が広がって、ワクワク必須の小説でした。
『クラインの壺』岡嶋二人
仮想現実の恐怖
上杉が関わることになったヴァーチャルリアリティ・システムの制作。ゲームだと思っていたそのシステムは、しかし・・・。
バーチャルリアリティ・システム制作で仮想世界を体験することになった主人公が、思いもよらない体験をすることになる物語。ゲーム好きな人は まず楽しめるのではないかと。
こういう小説につきものの、バーチャルかリアルかわからなくなる恐怖。それを存分に味わえます。「クラインの壺」 とはなかなかピッタリのタイトルですね。
この小説を読んでいたら、仮想も現実も裏表一体なんじゃないかという気がしました。

『タイムマシンでは、行けない明日』畑野智美
タイムマシンで過去は変えられる?
高校生の丹羽光二は恋をしていた。相手は同級生の長谷川葵。初めてのデートの日、彼の前から永遠に姿を消してしまった彼女。彼女を救うため、タイムマシーンに乗って過去へと急ぐ光二だったが・・・。
もう一度 会いたい!好きになった女の子を救うため、タイムマシンに乗って “あの日” に行く主人公のほろ苦ストーリー。
展開に少し混乱しましたが、なるほどこういうのもアリなんだと新鮮でした。今までにはない小説。面白くてどんどん読めてしまいます。

『タイム・リープ あしたはきのう』高畑京一郎
ラノベを超えた本格SF小説
高校に通う鹿島翔香は ふしぎな出来事に遭遇する。昨日の記憶が全くないのだった。彼女は不安に思いながらも 若松和彦に相談するが・・・。
時間を扱ったSF小説。かなりレベルが高い本です。括りではラノベになるけど、それに留まらない面白さがありました。本格的なSF小説と言っても良いくらい。
ひとつひとつがパズルのピースのような感じで、最後にピタっと収まるのには脱帽でした。とにかく1度読んでみてほしい小説。

『夢みる葦笛』上田早夕里
SF、ホラー、ファンタジー・・・すべてが味わえる
妖しくも宝石のごとく魅力を放つ珠玉の傑作短編集。人工知性、地下都市、パラレルワールド、人の夢―。想像を超える全10編を収録。
『夢みる葦笛』は 10編からなる短編集。どれもがレベルが高く完璧。上田さんのSF小説は 世界観が半端なく素晴らしいですね。
人工知性、異生物、パラレルワールド・・・。
美味しいとこどりした小説でした。少しホラー感がありヒヤリとしますが、どのお話も長編で読みたくなります。
人間と人工知性、果たして怪物はどちらか? 読み終わったあとに心がズシンときました。文句なしにオススメの1冊です。

『華竜の宮』上田早夕里
陸地の大半が水没した世界
25世紀、大多数の陸地が水没した世界―。そこで暮らす人々は、陸上民と海上民に別れて暮らしていた。外交官である青澄誠司は、彼らの対立の仲裁に奮闘していた。その頃、この星に試練が再びおこることが発覚し・・・。
海洋SF小説『華竜の宮』の舞台は、ホットプルームにより陸地の大半が水没した世界。そして迫り来る新たな大異変―。果たして人類の運命は?
こちらはかなりの長編です。『華竜の宮』に続き『深紅の碑文』と続いていくのですが、とても面白い。
海で暮らしやすくするために人間を改変した海上民、陸地で暮らす陸上民との壮絶な争いが描かれていました。

読み始めたら止まらない面白い小説まとめ
15冊ほど紹介しましたが、どれも面白く一気読みしてしまう作品でした。ぜひ読書の参考にして下さい。
- 『22年目の告白―私が殺人犯です―』
- 『三月は深き紅の淵を』
- 『殺人症候群』
- 『クリムゾンの迷宮』
- 『悪の教典』
- 『かがみの孤城』
- 『カラフル』
- 『東京すみっこごはん』
- 『命売ります』
- 『平家物語』
- 『クラインの壺』
- 『タイムマシンでは、行けない明日』
- 『タイム・リープ あしたはきのう』
- 『夢みる葦笛』
- 『華竜の宮』
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